ブートキャンプ 新人への洗礼・訓練継続
射撃の基本を学んだ俺、小松 匠が操るキャラ、アルフォード・オーランド。戦争のイロハも知らない俺だが、ガチでシビアな設定とゲームバランスに心はますます惹かれていく。次なる訓練はなんだろうか?
周囲の空間が歪むと今度は廃墟となった都市部がフィールドとなっていた。重機関銃の弾痕か、抉られた壁に戦車砲弾かミサイルかで壊されたのか、半壊している建物などもあった。その廃墟の真ん中にある道路の上に立っていた。周囲は正に人影がなく、不気味なほど静か、先ほどと同じように狙撃されるのではと思ってしまうほどだった。
「さて、今、持っているM4カービンだが、オプションが装備できるのはわかるな?ピカティニーレールシステムという国際規格で統一されているスコープやレーザーサイト、ダットサイトなどが装備できる。とりあえず。M4を構えてみろ」
そう言われれば素直に銃を構えてみる
「まずはダットサイトだ。ドットサイトとも言われ、無倍率のハーフミラーにレーザーを当てて狙いをつけやすくするシステムだ。調整さえできていれば素早い攻撃が出来る。次はスコープだ」
狙いをつけている銃の上には赤いレーザーを反射するハーフミラーがあり、銃の向こうにいる教官の頭部に赤い光が狙いをつけていた。教官の合図とともにダットサイトは消え、スコープへと切り替わる
「それは倍率1.5倍の倍率固定式スコープだ。狙撃用には倍率可変型の物を使うが、アサルトライフルあたりなら、その程度でいい。ライフルによってはアサルトライフルで狙撃を行う場合もあるからな。慣れておいたほうがいいアクセサリーだ。では次はレーザーサイトといこうか」
スコープが代わり、今度は銃口の下からレーザーが照射され、教官のボディに赤い光があたっていた。
「レーザーサイトは高出力の光を飛ばす、それで敵への命中率を上げるというものだ。問題は周囲が霧などだと目立つことだな。そして追加武装がある」
銃の下に急に重さが追加されたかと思うと、そこには大きな銃口の武装が増えていた
「定番の武装の1つ、M203グレネードランチャーだ。アンダーレールに装備できる」
【M203グレネードランチャー アクセサリー
装填弾数 1発
使用弾薬 40×46mmグレネード
特殊弾薬使用可能
解説:歩兵の支援火器として迫撃砲とライフルグレネード、手榴弾の射程を埋める武装としてベトナム戦争に投入された。初期型は木製ストックをつけている中折式単発銃方式をとっていたが、それでは使用する兵員の自衛力が落ちることからM16用のオプションパーツとして追加装備できるように改良されている。M16A2ではライフルのハンドガードそのものを専用のものと交換せねばならなかったが、現行のM4カービンなどではアンダーレールにネジで止めるだけなので取り外しとメンテナンス性が向上している】
「グレネードランチャーは榴弾以外にも、いろいろな弾が使える。催涙弾、閃光弾、照明弾、散弾などだな。状況に応じて装填して使う必要がある。ただし、弾を用意しないといけないがな。そして最後はショットガンだ」
グレネードランチャーが消えると今度は別の武装がグレネードランチャーに変わって今度はショットガンが現れた
【M26 MASS ショットガン
装弾数 5発
使用弾薬 12ゲージ弾
特殊弾薬使用可能
解説:特殊部隊や法執行機関などが都市部局地戦や対テロ作戦などで使用することを想定して作られたショットガンで通常の散弾以外にもドアをブチ破る特殊スラッグ弾、催涙弾やゴム弾などの非殺傷性弾薬を使用することできる。ピカレィニーレール規格のアンダーレールに取り付けることができることから汎用性が高い。またボックスマガジンを採用することより従来のチューブ式マガジンとは異なり再装填の時間の短縮、弾薬の変更の迅速化が可能となっている。問題はボルトアクション式ゆえに再装填までに時間がかかることぐらいだが、従来型のポンプアクション式に比べれば取り回しがしやすく、また、そういう時は素直にライフルかハンドガンを使用することでカバー出来るはずである】
「まあ、こんなところだな。これらも開発が進めば新規に武装が増えていく。まあ、基本的にはクエストこなして行けばいいというわけだ。さて、次はアクセサリーの1つ、銃剣を使うとしよう。これは少々特殊だ」
教官の言葉に合わせてショットガンの代わりに銃口のすぐ下にナイフ型の銃剣が装備されていった。
「こういった都市部局地戦では曲がり角を曲がると敵とばったりという可能性もある。そこまで接近したりすると、この銃剣の射程に入る。基本は薙刀や槍と言う風に思えばいい。基本の構えは利き腕を引き金のほうのストックと銃の繋ぎ目を握り、利き腕でない方は銃身を覆うハンドガードを握る。銃のストックを当てる打擊、槍のように突く刺突、薙刀のように振るう斬撃の3つがある。これもモーションキャプチャーを取り込んで支援AIで支援してくれる。もちろん慣れると素早い動きになる。色々と面白いところでな。慣れると色々出るそうだ。現実世界では不器用な奴がメカニックマンになったり、ひ弱な奴がライトマシンガンを抱え、走り回ったりする。面白い世界だ。というわけで今回もやってもらおうか。敵は歩兵。同じく銃剣装備だ。ただし、反撃してくるぞ」
そういうと現れた敵歩兵は銃剣をつけたライフルを素早く突き出してきた。その突きに反応するように体が動いた。同じく銃剣付きのライフルでその突きを受け流し、反撃に右手を振り上げた。握っているストックが相手の顎に当たってくれるも、まだ敵歩兵は倒れない。そのまま、振り上げた銃剣をそのまま、振り下ろし斬撃へと繋げていく。
「きついぜ・・・死なないと分かっていても相手がガチで刃物持って襲ってくるんだからな」
俺はそう呟きながらも、チャンスを伺うと向こうが銃剣で斬りかかってきた。
ホンの少しだけバックして斬撃を回避できれば一気に銃剣を相手の胸元に突き立てた
「くたばれ!!」
刺し貫く感触、敵の身体の傷口から溢れる鮮血、中学校の時の調理実習とか肉を切り裂いだ感じと思えばいいだろうか。生々しい感触が両手に襲ってきた。
「・・・嫌な感じだ。これでゲームなのかよ」
まるで本物の人体を差し貫いたような、手応えと血の流れる温かさが感じられた。
思わず、口に手を当てたが、吐き気はするも吐瀉することはない。
何しろ、ここは現実ではない。ゆえに感覚だけが襲ってきた。
「まあ、たいていの奴は、この銃剣戦闘で気分を悪くする。気にするなとはいわん。が、慣れてもらうしかない。極限までリアルとゲームのバランスを追求した、この【レギオン・フラッグ】では、この感触は後でいくらでも感じることになるからな」
そう言われると確かにそうだ。そのためか、いきなり警告文字が現れた。
『警告:このような戦闘による影響を考慮して当ゲームは最終的に不向きな人はしないように警告します。また、どうしても無理だという人はこれ以上の訓練継続を中止し、ログアウトすることを推奨します。ログアウトしますか?Y/N』
「上等・・・。この程度でやられていたらハードでシビアが売りのコイツは出来ないってな」
警告文のログアウトの答えをNOとしてやれば教官は嬉しそうに頷いてくれた。
「よし、本気で行くんだな。じゃあ、次は特殊武装を使った訓練をしてみるぞ。まずはアイテム欄を確認しろ。先ほど鹵獲したグレネードがあるはずだ。手に持ってみろ」
教官に言われた通りに奪ったアイテムとして破砕手榴弾があった。それを手に取ると、ぐっと右手で握り締めた。
「手榴弾には非殺傷型の音響手榴弾、催涙手榴弾、煙幕手榴弾。破片による殺傷を目的とする破片手榴弾、衝撃波で相手を倒す攻撃手榴弾、燃焼攻撃を行う焼夷手榴弾がある。基本的には使い方は簡単だ。安全ピンを抜く。すると、撃鉄が外れる準備がされる。次に投げる。するとグリップ部分のハンドルが外れ、バネ仕掛けで撃鉄を叩く。その結果、4秒後ぐらいに爆発を起こす。ちなみに殺傷力は高い。韓国軍では、この手榴弾投擲訓練で死亡事故を少なからず起こしている。ちなみに理論上、破片の殺傷力は人間が覆い被されば破片によるダメージは防げる。が、そのような行為をすれば戦死する。ゆえに最後の自決用武装としても使われる場合がある」
そう細かく説明してくる教官は真剣そのもの、映画などでお馴染みの手榴弾だが、それほどの威力を秘めているとは思っていなかった
『警告:破片手榴弾、攻撃手榴弾を至近距離で受けた場合はまず即死判定が出ます。投げ返すアクションをした場合でも運が良くて腕の部位破壊判定と痛覚ダメージ発生となります。なお、いわゆるトラップにも使用できます。鹵獲をするために死体を漁った場合、安全ピンを抜いた手榴弾が見つかる可能性もあります。また、安全ピンをワイヤーなどに繋げて行軍している相手に仕掛ける簡易地雷にもなります。トラップとして設置する場合は工兵技能が高いほど的確な設置が可能となります』
「よし、早速実演だ。後ろを向いてみろ。向こうには何もない。敵もいないが、味方もいない。遠投には申し分ない広さの道路だ。早速ここから投げてみろ。あー、失敗しても、戦死判定と痛覚ダメージは出すが、すぐにリスポーンさせてやる。やってみろ」
「了解、じゃあ、遠慮なく・・・!」
まずは安全ピンを抜いて手に持った破片手榴弾をおおきく振りかぶって、思いっきり高く、遠くへと投げてみた。地面に転がったのと、ほぼ同時に信管が起爆したのか着地点を中心に爆発が起きて周囲に破片を撒き散らした。敵がいれば恐らくは即死、運が良くても破片のせいで動けない状態になっているだろう
「いい感じだ。基本はどの手榴弾も同じだ。後は実戦で使いこなすことだな。ちなみにライフルやピストルのマガジンのように基本的にはグレネードポーチを装備することで手榴弾の装備数を増やすことができる。まあ、工兵技能を鍛えるのでなければピストルベルトについているグレネードポーチ、手榴弾4つ分で十分だと思うがな」
『警告:装備重量にも影響されますが、グレネードポーチを増やすことで手榴弾の装備数を増やすことができます。なお、クレイモアなどの設置型地雷、C4などの爆薬を使う場合はバックパックで運ぶ必要があります。クレイモア、C4などの場合は工兵技能を一定以上上げていないと使うことができません。注意してください』
「よし、歩兵の基本、射撃、近接戦闘、手榴弾はマスターしたな?特殊武装の続きはこれだ」
教官がそう言うと再び、周囲の空間が歪んでいき、目の前に現れたのはいわゆるピックアップトラックである。ただ、その荷台には据置型の重機関銃が装備されていた。
「テクニカル、またはジャンクードと呼ばれる簡易戦闘車両だ。防弾性能は皆無、被弾すれば大打撃だが、十字砲火でも受けない限り、走り回っている車両に弾を当てる奴はそうそういない。機動力こそ、このテクニカルの長所だ。まあ、・・・貧乏部隊なら、この種の車両も使うはずだ。武装はその荷台にある重機関銃だ。構えろ」
荷台に乗り込み、その車両の機関銃に触れてみればすぐに操作方法はわかった。機関部の上蓋を開き、銃の左に据え付けられている弾薬箱から金属のベルト状につながった弾を機関部に載せ、蓋を閉じ、重たいコッキングレバーを力いっぱい一回引いて装填してみた
【ブローニングM2HB-QCB 重機関銃
装填数 110発/ベルトリンク方式
使用弾薬 12.7mm×99弾
解説:1933年に米軍が正式採用した大口径機関銃。設計自体は古いが安定した性能と生産性、12.7mmという対人、対物を問わない強力な攻撃力ゆえに戦闘機、ヘリコプター、装甲車や戦車の砲塔部の車長用機関銃など、様々な役目で使用。弾道観測用に曳光弾、対装甲用に徹甲弾を順番に装填しており、通常弾と混ぜて使うのが普通である。なお、HB-QCBとはヘビーバレル・クイックチェンジバレルの略称であり、FN社が改良を加えて銃身を交換しやすくした改良型である。基本的に銃座を設置して使用する。一般的なマシンガンと異なり、引き金を引くのではなく、両方の親指の部分に当たる発射ボタンを押すシステムになっている】
手に持っているその重機関銃のスペックが視線に現れ、銃の後方の左右にあるグリップを両手で握り締め、次の言葉を待った。
「テクニカルの運用方法はとにかく走りつつ的確に弾幕を貼る。問題は引き金を引き続けると無駄な弾薬が使われるからな。弾薬は的確に、かつ効率よくばら撒く。機関銃関係では共通の使い方だ。ゆえに基本は指切り射撃となる。数発撃っては戻し、また数発撃っては戻す。これの繰り返しだ。映画みたいに弾薬は無制限じゃないんだからな。それではテクニカルを走らせる。だから市街地に潜む敵兵を倒してこい」
教官の合図と共に急に暴走するように加速するテクニカル。それに合わせてか、周囲から歩兵が現れ、遮蔽物に潜みながら銃撃してきた。
「12.7mmなら、ある程度の遮蔽物は貫通できる!簡易レーダーと目を頼りに銃撃を避けるテクニカルにダメージを与えないように反撃しろ!」
その声に急ハンドルで曲がるテクニカルの銃座からM2を発射していく。一発ならドガシャン!とでも表記すればいいのだろうか。そんな重たい銃撃音が親指で操作する発射ボタンの動きに合わせてドガゴゴゴゴゴン!と連続して鳴り響き、敵に向かって弾が放たれて1発当たるだけで腕が簡単に吹き飛び、腹部に風穴があき、敵兵の戦闘力は失われていく。両腕で振り回す銃口の先にある物は砕け散り、窓から見える敵兵を壁越しにすら攻撃できる。狙いを定め、スイッチを押す。数発発射して、獲物を探し、またスイッチを押す。その間も敵兵からの銃撃を受け、テクニカル本体には数発当たるが、俺自身には当たることなく、また、テクニカルの運転には支障のない程度の弾痕がトラックの荷台の床などに命中していく。
向こうの敵兵と同じく、こちらも運が悪ければ弾幕射撃の流れ弾でヘッドショットされる。防ぐ物は何もない。テクニカルの車体への命中音と掠める銃弾と放たれる銃撃音、それを打ち消そうとする重いM2の銃撃音。
弾切れを気にしながらもテクニカルの操縦をしているNPCのテクニックを信じ、銃撃を繰り返していく。
据え付け式の銃座とM2自身の重さから反動はほとんどない。しかし連続して飛び出してくる薬莢と銃口から見える曳光弾の流れが戦場の恐怖を感じさせてきた。
「ようし、いいぞ。車体への被弾は軽微、自分自身への被弾はないようだな。きちんと指切り射撃もできていた。ガンナーとしては合格だ。ちなみにテクニカルなどの車両は複数名いないと銃撃できない。まあ、ドライバーとガンナーがいなければそうなる。今回はガンナーとして訓練してもらったが、ドライバーとして訓練するのは正規軍に入ってからにしてもらうとしよう」
『警告:各国ごとに戦闘車両が異なっているので操縦方式は各国の正規部隊に入隊した際に学ぶものとします。なお、一般車両と同じ操縦方式のテクニカル、ハンヴィー、トラックなどは支援AIのサポートにより操縦が共通化されています』
「まあ、・・・戦車兵って専門職だもんなあ・・・。ということは、これで教練は終わりかな?」
そう考えていると教官は最後に一台のトレーラーを持ってきた。そこには少し使い込まれた感じのする・・・騎士甲冑のような物があった。
「T-hearts。正式名称は戦術重武装機動歩兵システム。簡単にいえば現代の騎士甲冑だな。だが、只の甲冑じゃない。基本構造は人工筋肉を多用し、装甲はアサルトライフルの弾も弾く。まあ、極端な話、最高の防弾装甲ということだな。動力は各部分に分散配置された大容量バッテリー、高機動移動の際にはスラスター用の燃料も使用する。機体駆動制御用を行うOSへのコマンド入力は筋運動反応センサーと視線で行う。つまり、今、装備している支援AIデータリンクシステムと同じく、自分の行動で示すわけだ。機体によっては固定武装があったりする。もちろん、手持ち武装としてライフルなども使うが、面白いことにミサイルも追加武装で装備できたりする。まあ、任務などで様々なバリエーションに合うだろうが、それからどれを選ぶかはお前次第だ。とりあえずここにあるのは最初期、基本的なシステムが組み込まれた日米共同開発型第一号機、ガーディアンだ」
古びた甲冑・・・ガーディアンに近づくと、ガーディアンの胸部や腕、足などが大きく開いていき、内部への乗り込みが可能となっていた。
「おいおい・・・近未来ロボット物のノリもありかい・・・こりゃ・・・マジで面白い」
こんな贅沢な物を出されては乗り込むしかない。俺はガーディアンの内部に入り込むと、それを感知したのか、ガーディアンは装甲を閉じていく。そういえば、最低な奴という異名を持つ鉄の棺桶が登場するアニメもこんな感じじゃなかっただろうか。
そのアニメの主人公みたいに死なないようにしないと。そう思いつつ、ガーディアンの装甲は閉じられ、暗闇の中へと閉じ込められたのだった。
というわけで、出てきました。手榴弾とテクニカル。意外かもしれませんが、日本の中古の小型トラックなどが紛争地帯では物資輸送から護衛用の軽戦闘車両になったりします。
その起源を遡ると、ジープにやはりM2重機関銃を載せる。もっと昔に遡れば自動車が生まれた頃に既に考えは出ていたようです。
ただ、第一次世界大戦当時は道路事情も悪く、戦場は野原の上、塹壕にこもっての機関銃と大砲の撃ち合い、隙をついての銃剣突撃がメインだったのでタイヤだと塹壕を突破できない。だから、タイヤよりも無限軌道、いわゆるクローラー(実はキャラピラ、またはキャタピラーは商標だったりします。ゆえに商標と知っている人はクローラーといいます)を使う装甲トラクターを武装化させた戦車が登場したりします。
さて、次回は暴れまわるのはT-hearts、tactical・heavy・armored・trooper・systemなんていう色物です。
そして何故、こんな兵器が生み出されたのか?どうして使われているのか?
近未来物にはありがちですが、暴れる姿をお楽しみください。