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20/22

決着、真のクリスマス作戦

 2年も開けて何やってるんだって言われるでしょうが、マジで忙しい。その上、情勢がヤバイし、判定結果が3回ほどやっても………でしたからね。


 「これから行なわれる作戦で我々の命運が決まる。テロリストとなるか、英雄となるか、諸君らの尽力によって決まる。各員の奮戦に期待する。我々は日帝共に奪われ、朝鮮中華同盟に名ばかりの独立を与えられた愛すべき祖国の大地を取り戻し、再び、大韓帝国の旗を青瓦台に掲げようではないか!」

 リビングメイルに乗り込んでいるキムダイル大佐から発せられるその言葉を噛み締め、大韓帝国軍兵士は全員敵の姿を今か今かと待ち構えていた。




 「作戦開始時刻です。皆様、どうぞご無事に」

 強襲揚陸用ボバーが艦隊より発艦していった。それに合わせ、旧型の200ミリクラスの牽引式自走砲、ロケット砲などをを無理やり持ち込み、強力過ぎる敵の対空システムのため、使い物にならない艦載機の代わりに露天甲板に展開させ、仮設砲台へと変わった空母。船影は不格好だが、支援火砲としてはありがたく、上陸地点へ到着したならば、敵が使っているのと同じタイプのリビングメイルが新ソ連側から提供されていたようで、上陸後、対空砲型、要塞砲型へと変化していった。


 「くそ、やっぱり有力なランカーやトップレギオンは殆ど参加してねえ。メインは新日本帝国軍部隊ばかりだ」

 「航空機支援が要請できない。情報を可能な限り共有しろ!偵察機あげただけで対空砲火の雨で落とされやがる!」


 ほとんど使い捨てに近い扱いの偵察機の瞬間的な情報だけでも対空砲座の位置情報をつかめるが、それはコストが悪すぎる作戦だったりする。


 「こちら、新ソ連所属技術研究局技術研究教導団、リビングメイル運用試験隊『リビングデッド』だ。これより砲撃支援を行う。目視、または偵察ユニットなどによる情報をリンクしてくれ。その地点に向けて砲撃を行う。ただし、砲撃という特性上、誤射となりうる可能性を考慮してもらいたい。それでは砲撃を開始する」


 新型を奪われたというメンツの回復、新型の技術試験、運用テスト、そういう思惑を見せつつも、高火力システムの運用力が欲しい今、新ソ連は堂々とランカー部隊も送ってきていた。


 「データ連動により、敵対空砲を確認、目標地点を振り分け開始、リビングデッド各機。砲撃準備、撃ち方始め!」

 

 後方司令部を兼ねているだろう支援車両で命令を出すオペレーターの声に合わせてリビングメイル砲戦仕様が砲撃を開始していく。轟音と共に放たれる大口径砲弾が目標目掛けて放物線を描き、着弾する。物量と炸薬の組み合わせで対空砲台はどんどん壊されていくようだった。


 「数多数、敵のレーザーロックシーカー確認、中継機ドローンによるミサイル誘導システムと判明、ミサイル警報!対空型は警戒!」

 

 対空仕様に換装されているモデルは両腕に装備されているガトリングカノンと対空ミサイルで襲来する無数のミサイルに迎撃を開始していく。打ち出されるミサイル、曳光弾で輝くガトリングの弾道、爆発する敵からのミサイル。それらによる轟音と閃光が辺りを支配していく。


 「総員、出撃!白虎隊いくぞ!」

 日本のランカーチーム、白虎隊が名乗りをあげて抜刀、突撃を敢行していた。

 それに負けじと、他のメンバーも戦場へと向かって進んでいった。


 強襲揚陸に成功し、橋頭堡を確保した上陸部隊は戦車や装甲車も展開を開始していく。

 激しい砲撃と突撃でお互いに損耗が多くなるが、それでも意地とメンツ、核への忌避感から歩みは止まらず、進撃していく。


 「都市部が見えてきたぞ。廃墟だが、こういう戦闘では奇襲が怖いぞ」


「後方より高速機動部隊が接近、ブリタニアの特殊部隊、調査兵団だ!」


 ビル群にアンカーを打ち込み、自由自在にワイヤーアクションの要領で空を飛ぶその姿はアニメマニアのコスプレだが、武装が本物だ。対人仕様の銃器型、近接仕様の刀剣型と多くの武装が有るが、いずれも高速でのワイヤーアクション併用での行動を想定している武装だったりする。 

 

 「あれって防御装甲を削って軽量化した超高機動型T-heartsをパワーアシストユニットにしたってやつだろ。すごい高機動性能で山岳森林戦向けの装備だよな」

 「だが、平野部では使えないと評判だ。ワイヤーアクションのためだけの装備だからな」


 とはいえ、都市部強襲戦闘には十二分に向いているらしく、ビルの外壁に沿って飛翔を繰り返していく。


 「調査兵団より各員へ。巨大な砲台を装備した機影を確認。指定ポイント情報を送る。付近に対空砲モデルも、がああぁ!」


 対空砲モデルという言葉を聞くと激しい砲撃音が鳴り響き、兵団員の通信が途絶した。


 「くそ!やつら、大型砲搭載機を完全に護衛機で囲んでやがる。立体機動装置じゃ対応ができない、対空砲装備型以外にも狙撃型とかも持ち込んでやがる。超電磁砲装備だ。長距離から壁抜きされるぞ!」

 

 大型砲より小型だが、狙撃用に特化したものらしく、大型のバッテリーユニットらしきものと連結した大口径砲しか持っていない機体が精密に狙うのは地上の部隊、戦車前部という一番分厚いはずの装甲を一撃で撃ち抜くその威力を喰らえばリビングメイル装備でも倒せるだろうという威力。


 「リビングデッド隊から各部隊へ、支援砲撃を行う。指定エリアより退避されたし。なお、誤爆については保証しない」


 冷酷な宣言がなされると長距離榴弾砲装備型のリビングメイルがマップデータを参照して曲射砲撃で数撃てば当たるといわんばかりの砲撃を開始。それに対して大型狙撃砲装備型の敵が冷静に一機づつ仕留めていくという曲芸を見せていた。


 「こちらリビングデッド砲撃管制、砲撃は有効打なるも、狙撃により砲撃支援機が大破、擱座多数。搭乗者は死亡。無人運用プログラムを使用し、砲撃可能な機体で再砲撃を行う。なれど、精度調整、移動不能。命中率低下につき、退避を勧告する」


 その通信が入ると同時に砲撃警報が鳴り響く。無人でも遠隔操作できる機体だけでの砲撃は命中率が極端に落ちる。友軍誤爆も何度か確認されるほどだった。


 その砲撃を無視するかのように敵の砲撃型が起動を開始、一発の砲弾を撃ち込む。なんともない砲弾が突如として爆発を起こし、周囲に熱と爆風が襲い掛かり、砲撃陣地が一瞬にして高温の熱と強力な圧力で押しつぶしていく。


 「燃料帰化爆薬の次世代型兵器、サーモバリック弾頭だ!どこからあんなものを手に入れた!」


 普通ならまともに手に入らないはずの決戦兵器、燃料気化爆薬が条約違反兵器に指定されてしまい、代りにと改良を重ねた新兵器が何故かテロリストの手に落ちていた。


 「リビングデッド、シグナルロスト。敵機体、なおも通常榴弾で攻撃を継続。味方戦力は壊滅状態」


 砲撃仕様の砲弾が味方を吹き飛ばしていく。調査兵団も、白虎隊も、一般プレイヤーも容赦なく吹き飛ばす砲弾の雨、近づけば狙撃され、対空仕様の機関砲でミンチになる。


 これが地獄というべき状態だろうか?


 「航空支援要請!砲撃支援要請!」

 「さっきからやっているけど、電波妨害と射程距離の問題で狙えないって。レーザーロック式のミサイルはレーザー飛ばした奴が超電磁砲持ちに仕留められるわ、ミサイル本体は破壊されるわ。対応できねー!」


 引くも地獄、進むも地獄。堅牢な要塞陣地を攻めるのには最悪の状況、航空支援も砲撃支援もない。敵は逆にバカスカ撃ちまくれる状況。ターキーショットと言われる状況だった。


 『こちら、NUSA所属戦略爆撃機部隊、ポイント指定を確認した対空砲の届かぬ高高度から攻撃を開始する。ただし、マーカーデータを信じるため、近接の友軍機にも被害が及ぶ危険性がある。覚悟して欲しい』


 NUSAが投入できる高高度移動型戦略爆撃機フォートレス。迎撃可能な戦闘機は数少なく、下手に限界高度を超えると対地衛星により破壊されるレア兵器だったりする。

 それが投下していく爆弾は無数の無誘導爆弾。その証拠に爆撃着弾予測エリアは敵味方を関係なくまとめて潰すというエリア制圧爆撃だった。

 弾頭が禁止兵器のクラスター弾頭でないだけ、まだ、人道的な行為だろうか。作戦には被害が当たり前という投資目的に沿ったプランで爆撃が始まる。確認されたリビングメイル目掛けての爆撃は田畑を耕すように全てを壊していき、敵も味方もスクラップに変えていく。


 そして時間ばかりが過ぎていき、被害が大きくなった頃、ついにその時はやってきた。


 「全世界に存在する大韓帝国臣民の諸君、待たせた。ついに裁きの時はきた。悪しき秩序を持って欲望にて我らを蔑ろにしたる者たちに聖なる怒りの鉄槌を落とすこととなった。さあ、刮目せよ。朝鮮人民は3000年待ったのだ!帝国に勝利あれ!」


 キムダイルの言葉が聞こえると壊しきれなかったリビングメイルから放たれるのは小さな砲弾。しかし、ソレは悪魔の実。射程距離限界で設定されていたソレは着弾することなく上空で爆発し、閃光と放射能を撒き散らし、すべてを焼き尽くす核の炎を紡ぎ出した。

 そう、我々は敗北し、彼らは勝利したのだった。


 『イベントの結果、朝鮮半島の所有権は独立国家である大韓帝国の物となりました』

 『大韓帝国は核保有と核弾頭使用により制裁対象となります』

 『大韓帝国は独自通貨の発行権限を手にれました』

 『大韓帝国の独自通貨は現段階では軍票と同じと判断され、支配域のみでの決算が可能となります』

 『大韓帝国の独自通貨発行により、今後大韓帝国の勢力拡大により国際的決算に通貨が使用できる可能性があります』

 『旧北朝鮮、韓国の支配権が大韓帝国に移譲されました』

 『新日本帝国軍は釜山防衛、対馬防衛陣地を構築することとなりました』

 『朝鮮中華統一同盟は大韓帝国を国家として容認しました』

 『朝鮮中華統一同盟と大韓帝国は軍事同盟を結びました』

 『朝鮮中華統一同盟は大韓帝国に軍事顧問団を派遣することとなりました』

 『朝鮮中華統一同盟と大韓帝国は経済同盟を結びました』

 『朝鮮中華統一同盟と大韓帝国は通貨の借款を開始しました』


 『これにより、同時にバージョンアップが行われる事となりました。明日の1200時から1400時までログイン出来なくなります。またバージョンアップにより様々な機能が追加されます』


 新国家の樹立と共に新たな機能が追加される。それは興味あるが、今はとにかく疲れた。今日はログアウトしよう

 



 

 はい、なんとか書いてみました。

 計算した結果、情勢的に参加しない奴らが多い。支援戦力少なく、火力は乏しいのに、相手側は準備万端。というわけで敗北判定です。

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