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新しい出会いとカスタマイズの心得

日本国に所属することとなったわけだが、その日本は戦乱の最中、多くの問題を抱えつつ、国を守るために戦う兵士たちがそこにいた

レギオンフラッグ内 新日本帝国領内暫定首都・大阪


かつての東京は存在せず、北朝鮮のテロリストが持ち込んだと思われる大型核弾頭がお台場付近にて爆発。方法としては公海を通るルートで長距離移動してきたロシア側の旧型潜水艦を用いた自爆とも、第三国経由の貨物船に搭載したもの、果ては濃縮ウラン以外は日本国内で調達したではないかとも推測された。

ともかく、かつての摩天楼東京は一瞬にして核の炎に包まれ、放射能により汚染された。

運良く時の天皇陛下ご一家は公務にて東京から離れていたとはいえ、総理大臣を始めとする大臣官僚の多くが消えた衝撃は大きかった。なぜなら憲法、自衛隊法、どの法律を持っても、大臣が全滅した場合の想定はなされていなかった。故に法律にがんじがらめにされていた自衛隊は緊急展開しにくい状態となった。

災害派遣に関しては地震であれば即座に動け、洪水なども知事の判断があれば問題なく行える状況となったが、放射能という恐怖には生き残った住民は耐え難い苦しみとなった。


そこで暴論という憲法解釈を持ち出した男がいた。その男の名前は東京都知事、現在は新日本帝国首都東京方面復興委員長を兼務する岩原進次郎である。

岩原は与党の中では論客で反日運動の裏には中国や韓国の政治的アピールがあると論破するコメンテーター出身。その岩原に送りつけられたのが核弾頭ではないかという説もある。


ともかく、岩原が最初にやったのは自衛隊の緊急展開を知事命令で行うということであった。

議員、官僚の多くが死亡、または負傷により行動不能となり、大臣もいなくなっている現在、極端な話、自治体レベルの要請で防衛出動が出来るという憲法解釈を無理やり押し通したのである。


それには理由があり、東京壊滅に呼応して対馬に集まっていた韓国人が隠し持っていた銃火器で暴動を開始。また釜山と北九州を往復するフェリーに戦闘部隊を乗せて送り込み、現地の暴力団と契約していたのか、共に橋頭堡を築くことに成功。九州北部と対馬を巡り、激しい応戦が繰り広げられていた。


かつての観光名所、対馬は戦場となり、要塞となっていた。九州も宮崎、鹿児島などの中部、南部の防衛戦力をかき集め、北九州の奪還には成功。現在は逆に釜山を抑えることに成功していた。



「・・・・とまあ、こんなところが現在の旧日本領の現状だ。東南アジア戦線、インド戦線は一進一退だな。というのも武器の性能、人員の数、立地条件などで進展がない。まあ、ここで注目すべきは対馬だ」


大柄の将校が示す情報は拡大マップへと注目された


「対馬は現在、要塞都市として機能している。というのも朝鮮中華統一連邦がここを抑えると、また北九州が危険だし、制海権問題も生まれる。ここで制海権を抑えられると東南アジア、インド方面への輸送路が途絶える。ゆえに海軍護衛艦と対潜哨戒機が頑張っているが、対馬は拠点として抑えたいというわけだ。無論、君たちはフリーランスだからあまり軍規には縛られん。とはいえ、我々が不利になれば君たちへの支払う賃金にも困るし、最悪、大規模戦闘で負けると為替レートで使えない軍票での支払いとなる。飯を食いたければ頑張って欲しい」


そう言い残すとNPCの将校はマップの情報を消し、T-heartsの画像を出してきた。

その姿は極めて簡単な作りの鎧。人工筋肉の補正を感じさせるも、装甲はボディアーマーにブーツ、アームパーツのみというデザインの軽量鎧というとファンタジー世界でいえばレザーアーマーみたいな印象を与えるだろうが、作りはどちらかというと日本風の鎧。簡単な胴丸とかいうイメージだろうか。


「日米共同開発型のガーディアンは優秀な機体だが、旧式だ。汎用作業機というコンセプトを完成させた名機であるのは事実だが、各国の開発速度は凄かった。そこで日本は日本の技術力だけでという意味で開発が進められ、生まれたのが特殊装甲甲冑1型甲【胴丸具足】。NBC対応能力を排除してスラスターを強化、対衝撃・対刃装甲を強化したバージョンだ。NBC対応能力を外したのは実戦では今のところ、その種の武装の使用が確認されていないからだ。武装ハードポイントは両腰、両肩、両腕、背中。軽量化のせいで二の腕、太ももなどの部分は装甲の代わりに強化人工筋肉で補強されている。そのためか一部のマニアにはコレを改造して実際にいた戦国武将の甲冑を再現していたりするそうだ」


画面には機体のデザインを赤くした赤揃えというバージョンとかいろいろカスタムされている物があった。


「以上で基本的な情報となる。質問がなければ銃を支給する。諸君らがチュートリアルで見た89式改良型以外にも拳銃が支給される。これが基本のバージョンだ」


『SIG・ザウエルP226

 装弾数:15+1発

 使用弾薬 9ミリパラべラム

 アンダーレール装備

 解説:旧自衛隊で採用されていたSIGザウエルP220の後継型として採用されたバージョン。外見ではわかりにくいがP220で採用されていた垂直に弾薬を並べるシングルカラム方式マガジンから左右交互に弾薬を並べるダブルカラム方式マガジンへと変更されたことにより単純に火力を倍に出来たと言える。グリップがその分太くなったが、P220採用時の日本人の平均的身長から、かなりの増加が見られるなどからハンドガンとしては取り扱いやすい物となっている。長時間、泥水に付けても作動する堅牢な作りなどから、アメリカ軍のハンドガン採用トライアルにも提出されたが、問題はベレッタM92などより販売価格が高い、マニュアルセーフティーがないなどからアメリカ軍では採用されなかった。セーフティーはハンマーをハーフコック位置まで安全に持っていくデコッキングレバーがある』


「市街地では拳銃のみの携行が許される。無論、自衛と犯罪阻止の目的、双方同意の上の決闘以外の発砲は厳禁だ。ルールを破った行ったものは憲兵隊に手配されるぞ。任務は作戦司令部で受けられる。任務時のみ、拳銃以外の武装が持ち出される。大事に使えよ」


右腰のホルスターに受け取ったP226にマガジンを込めると薬室に初弾を装填せず、ホルスターに収めた。デコッキングとはハンマーを途中で止めておくことで薬莢の雷管を叩かないで暴発させないようにする装置のことだ。古い銃だと、ハンマーを親指で抑えながら引き金を引いてゆっくりと戻すという危なっかしい作業が必要だった。とりあえず、今は戦闘中じゃないし、市街地だ。薬室に弾薬が入っていなければ暴発はないという古典的な安全策をとり初弾を装填しないでいた。無論、クイックドローはできないが、そういう状態にならないようにすればいいだけだろう。


「では解散だ。各自、自由に行動していいぞ」


自由行動の許可がでたため、とりあえずはという風に露店を見て回ることになった。

「さあさあ、新人さんはいらっしゃい。各種カスタマイズ用のアイテムがあるよー」

「対馬防衛ラインへの増援部隊、強襲作戦への参加希望いない?今なら新人さんでも行けるよー」


司令部を出て大通りを歩いていると他のMMOでも名物の依頼人員集めや露天が集まっていた。

「へえ・・・すごいな。こんな無茶苦茶な設計で自動小銃をコンパクト化させるなんて。というか、マジでエアガンの世界だな」

「へへへ・・・あんた、いい目利きだね~。まあ、暴れ馬だけど見てみる?一応、片手持ちでのバラマキもできるけど、生身だとAKタイプ以下の命中精度になるわ。試し打ちなら私の後ろに射撃訓練場でレンタルガンで使えるように登録してあるから。使ってみてね」


露天の女性兵士がそういうと案内のメモを渡してくれた。そう言われると試してみたくなるのがガンマニア。

案内のメモを受付のお姉さんに渡すと、出てきたのは極端に銃身を切り詰め、ストックも取り外したソードオフモデルと軽機関銃だった。


『89式改・超短銃身化改造モデル

 装弾数:30+1発

 使用弾薬:5.56mmNATO弾

 解説:89式をベースに徹底的な軽量化を図ったモデル。命中率よりも市街地での火力を優先したモデルでサブマシンガンとしても使える。スキル:アサルトライフル、スキル:サブマシンガンの対象であり、義体化を済ませていた場合、片手で使用できるほどの軽さである。なお、生身だとバランスが悪く、命中率が落ちてしまう。なお、一部では100連ドラムマガジン装備でT-hearts装備時のメイン武装にする場合もある』


『89式改良型・軽機関銃化モデル

 装弾数:100+1発

 使用弾薬:5.56mmNATO弾

 解説:命中精度の高いモデルをベースに着脱式パイポッドの構造を活かし、銃身を延長した軽機関銃モデルとなっている。STANAGマガジンのシリーズの中で使用できる100発ドラムマガジンを採用。当初、自衛隊側も仮想敵国のAKタイプの設計思想を受けて、89式ベースの本モデルの開発を検討したが、当時の同盟国アメリカ軍がMINIM軽機関銃を採用したことにより、本モデルの研究は頓挫。凍結された』


そんな二丁を借りてシューティングレンジに入ってみた。映画などで見られる、間仕切り板のある狭い場所の向こうには最大50mほどの室内。まずはサブマシンガンとなっている超短銃身モデルを手にした。


「セレクターをフルオートにして・・・・」


目の前に現れた標的に向かって引き金を引いてみると、激しい銃声と共に右手で保持していた銃が暴れだし、マトモな狙いも付けられず、銃口が下から上へと跳ね上がっていった。そして30発の弾薬が打ち尽くされ、ようやく振動が収まった。


「化物銃だな。義体化しているか、T-hearts装備時のメイン武装となるかだな。バランスが悪すぎる。で、今度は軽機関銃モデルか・・・」


100連発ドラムマガジンを装填してセレクターは3点バーストに合わせる。今度は軽快なタタタン!タタタン!という3発の発射音が引き金引くたびに生み出されていく。

引き続いてフルオートにセレクターを合わせると放たれる銃弾は弾幕と言えるものとなっていた。銃身が長く、重くなっている分、機動性は悪いが、命中率などは軽機関銃とは思えないような高さになっていた。


「こちらは義体化しなくても使える。だが少し重たいかな?とはいえ、狙撃銃のベースモデルになりそうだな」


銃の感想を心に留めて銃器保管庫担当の兵士に銃を返すと表にいる露天の女性兵士へと声をかけた。


「いい銃だったよ。暴れ馬と牛みたいな重たい銃だったが」

「まあ、いいじゃない。公式ギャンブル戦のバトルリーグとか、義体化さん、T-hearts使いにいい評判だし。ただ・・・パワー足りないから、もっと激しいやつを!だってさ。5.56mmだとパワーで負けるみたい。最低でも7.62mmは欲しいとか言われるけど。64式自動小銃って、レストアアイテム扱いな上に人気ないのよねえ。整備に手間かかるし、部品数多い。ついでに言えば旧式だから不人気だし。米国からの物が手に入ればいいのだけどねー。高いし」


バトリングという言葉に疑問を感じると首をかしげた


「ああ、新人さんだったね。バトルリーグというのは実弾演習型式の模擬戦でね。義体化歩兵やT-hearts使いが戦う、戦車みたいな機動兵器使わないのが基本的なルール。で、チーム戦やデスマッチ、色々ルールあるんだけどね。中では刀剣使いとかのバトルもあるわ。で、そういう戦闘やっている人には短銃身仕様は人気なのよねえ。パワーがないということ以外では問題ないから達人とかには人気ね。もちろん生身の歩兵同士の戦いもあるけど、そっちは迫力が義体化組とT―hearts使いが関わる対戦の方が大きいから初心者向けって感じね」


サンプルにどうぞという風にバトルリーグのパンフを受け取ると後で読もうとポケットに収めた。



「もちろん市場で中古品扱いのバージョンアップパーツとか取り扱っているから興味あったら連絡ちょうだいね。スコープにレーザーサイト。マガジンとか。戦場で拾って修理して格安販売。カスタムショップ店長のレイニーよ。薬莢とかでもいいから持ってきてね。ハンドリローダーで再利用してあげるから。あ、今回は無料でいいわ」


そういうとお近づきの印という風にトレード申請がきた。中身はレストアされたと思わしき傷ついた20連マガジンと徹甲弾20発分だった。


「89式の折り畳み銃床式、大抵は空挺仕様とか使われるアレって標準のマガジンは実は20連なのよ。で、それを回収してきたわけ。弾は同じく回収してきた薬莢を元に弾頭を徹甲弾にしたわけ。義体化歩兵やT―hearts相手には、これは最低限の必須アイテムよ。純正のルートで買うと高いけど」


素直に感謝の言葉を述べ、マガジンと弾を受け取ると相互にフレンド登録した。美人とフレンド登録。VRMMO世界の仮想アバター相手というのは分かってはいるが、でも少し嬉しいメルアド交換というわけだろうか。


そんな出会いを受けて次はどこへ行こうかと、フラフラと街を歩くことにした。新しい出会いを求めてだった。

はい、5ヶ月ぶりという無茶苦茶な時間が空いてしまったわけです。

申し訳ありません。時間をかけて書いていったのですが、時間がうまく作れず。また別の作品を作るーという無茶なことしたわけで完璧に私のミスです。


さて、銃に関してですが・・・。短銃身型はいわゆるカービンモデルをベースにさらに小型化するという方法が多いです。簡単にいうと銃床を取り外し、銃身をさらに短いモノにする。命中率よりも持ち運びのしやすさを優先したものです。サブマシンガンの世界ではMP5Kを隠し持つアタッシュケースガン、サブマシンガンの名機ウージーのバリエーションのマイクロウージー、ミニウージーなどがあげられます。


軽機関銃モデルはロシアなどでよく使われている方式です。同じ機関部パーツを使いまわすことで整備しやすさ(最悪ニコイチ修理する)、操作の覚えやすさ(基本はロングバレルのアサルトライフルなのでライフルさえ使えればすぐ使える)、という意味では評価できるのですが、やはり専門化したバージョンの方が安定した性能を持つのも事実です。


実際、100連ドラムマガジンも作ろうと思えば作れますが、自衛隊では米軍の規格に可能な限り添うことが戦略的なベストプランとなります。ゆえに米軍と同じミニミ機関銃を採用したのです。またベルト式の方がマガジン方式よりも軽量化しつつ、大量の弾薬を運べるという特徴もありますから、火力をばらまくという軽機関銃では極端な話、背中に弾薬を詰め込んだ弾薬装填バックパックユニットとか使うのも有りなわけです。


ただし、弾薬も含めたバックパックの総重量が重すぎるとかいうオチもありますが。

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