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夜が更け、樹海は昼とは違う姿をみせる。昼に寝ていた生き物が動き始めていた。
梟の鳴き声が闇を引き寄せる。
2人の男に、1匹が薪を囲んでいた。
近くには小さな少女が寝かせられている。
「この子はここにどんな用があるんだろうね?」
「さぁ。」
「旅人みたいだけど、こんな女の子がだよ?心配にならないの??」
二人は少女を見つめた。凶暴な熊に暢気に近づいてるのを見つけ、彼女だけではケガだけでは済まないと判断し加勢した。少女は格好だけの旅人で、熊に驚き腰を抜かしていた。
更に、気絶してしまったというオマケつきで。
安易に助けてしまった事を、狩人は早くも後悔していた。
「ん、別になぁ。」
火にかけている鍋をかき混ぜている医術士はため息をつく。
睨むように隣に座る狩人に嫌みを呟く。
「君は、人の事には本当に淡泊だね」
「お前はおせっかいだけが取り柄なやつだよ。」嫌みにも動じずヘラヘラと狩人は笑う。
「だけじゃないし…。」また、医術士はため息をついた。
彼との共同生活を始めため息が増えた気がする。後ろで犬が小さく鳴いた。
―少女が起きた事を知らせている。
「起きたみたいだ。見てきて。」
狩人は肩をすくめる。
面倒くさいと態度で表した。しかし、立ち上がり彼女の元へ行った。
医術士は彼の背中を見送ると軽く微笑んだ。
お節介なのはお互い様のようだ。
人を気にしてない素振りをしながらも、彼が少女の様子を何度も横目にみていたのを知っていたからだ。
「素直じゃないんだから。」
狩人に聞こえないように呟いた。