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日本語が変で、すいません
鬱蒼と樹木は茂り、空を覆い日光を遮る。
更に草が木の隙間を埋めるように生え、蔓が無造作にあたりの草木に絡みついている。
そのため昼でもあたりは暗く、不気味さを醸し出している。
動物達は身を潜め、時折何かの鳴き声が響く。
それが、よりいっそうこの森の不気味さを増す。
その森を旅人の風貌をした少女が、一人歩いていた。
堂々と道を進む姿は、恐怖も不安も感じていないようで、旅慣れている印象を与えた。
―少女の横の茂みから悲鳴にも聞こえる鳴き声が上がった。
「いぎゃぁああ!!」
鳴き声に負けず劣らず、少女から悲鳴があがる。身を竦ませ、先ほどの雄々しい姿はどこへやら。目には涙も浮かんでいる。
少女の耳に羽音が入る。茂みに目をやると、黒い羽根が舞っている。
頭上で、また鳴き声がした。
彼女はおそるおそる上を見上げる。
そこには一羽のカラスが止まっていた。
「驚かせないでよ……。」安堵し、溜め息をつく。鳥一羽に大声を上げた恥ずかしさから、ずれていない荷物を抱えなおした。
そして、少女はブツブツと毒づきながらまた足を進める。その頭上では、カラスが彼女を嘲笑うかのように鳴きつづけていた。
少女は不機嫌に足音をたて歩き続けた。
暫く進んでもカラスの笑い声は少女に届き、耳障りであった。とうとう我慢できず、後ろを振り返り怒鳴りちらした。
「あー!!うさいっうるさい!!」
フーフーと息を荒く、来た道を睨みつけている。
少女のその様は、可愛らしい子猫が威嚇しているようだ。
興奮していた為か、近くにまで何かが迫っているのも気付けなかった。
更に生い茂る背の高い草に視界が狭まれていたためでもある。
近くの木々が揺れ、少女はようやくそれに気がついた。
そちらを、怒りの滲んだ目で睨みつけた。
「また、私をからかうつもりって訳…!!」
体をそちらに向け突き進んだ。
少女は、カラスが潜んでいると早合点していた。
「丸焼きにしてやる」
少女のものとは思えない、ドスの利いた低い声。そしつ、肩にかけた猟銃に手をかけた。
後ろから不意打ちで殴りつけつもりのようだ。
少女が短気であることがわかる。
気配を殺し一歩一歩とすすんだ。茂みに近づき猟銃を振りあげた。
その瞬間、少女は自身の腹何かが飛び込んでくるのが見えた。
そして鈍い痛みが体中に広がる。ぐわっと彼女の鼻先を何かが横切る。
吹き飛ばされていたようで、尻餅をついた。
「ぎゃっ」
少女は息をのむ。目の前に、熊が立っていた。
鼻先を掠めたのは、熊の振り下ろした腕のようだ。
後ろに転んでなければ、鋭い爪に捕らわれていた。
全身に汗が噴き出した。やらなければ、やられる。まさにその状況である。
少女は、立ち上がろうとする。
「嘘、でしょ。」
恐怖から腰を抜かしていた。
震える手で必死に落とした武器を探した。
近くでうなり声が聞こえた。だが彼女は熊から目を反らせなかったため確認ができない。
うなり声は近づき、彼女にぴったりと付き添ってきた。
「大丈夫、今エミリオが倒すから」
いつの間にか、少女の後ろに男性が立っていた。思わず、彼女は後ろを振り返る。
男性は微笑んでいた。
その仕草は彼女を一気に安心させるものだった。少女の頭に大丈夫、その言葉が反響する。
「助かった…の……?」
言葉にすると同時に、緊張の糸がきれ、気を失っていた。
少女は薄れる意識の中、熊の絶命する声を聞いた。
ありがとうございます