表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

1

日本語が変で、すいません

鬱蒼と樹木は茂り、空を覆い日光を遮る。

更に草が木の隙間を埋めるように生え、蔓が無造作にあたりの草木に絡みついている。

そのため昼でもあたりは暗く、不気味さを醸し出している。

動物達は身を潜め、時折何かの鳴き声が響く。

それが、よりいっそうこの森の不気味さを増す。

その森を旅人の風貌をした少女が、一人歩いていた。

堂々と道を進む姿は、恐怖も不安も感じていないようで、旅慣れている印象を与えた。

―少女の横の茂みから悲鳴にも聞こえる鳴き声が上がった。

「いぎゃぁああ!!」

鳴き声に負けず劣らず、少女から悲鳴があがる。身を竦ませ、先ほどの雄々しい姿はどこへやら。目には涙も浮かんでいる。

少女の耳に羽音が入る。茂みに目をやると、黒い羽根が舞っている。

頭上で、また鳴き声がした。

彼女はおそるおそる上を見上げる。

そこには一羽のカラスが止まっていた。

「驚かせないでよ……。」安堵し、溜め息をつく。鳥一羽に大声を上げた恥ずかしさから、ずれていない荷物を抱えなおした。

そして、少女はブツブツと毒づきながらまた足を進める。その頭上では、カラスが彼女を嘲笑うかのように鳴きつづけていた。

少女は不機嫌に足音をたて歩き続けた。

暫く進んでもカラスの笑い声は少女に届き、耳障りであった。とうとう我慢できず、後ろを振り返り怒鳴りちらした。

「あー!!うさいっうるさい!!」




フーフーと息を荒く、来た道を睨みつけている。

少女のその様は、可愛らしい子猫が威嚇しているようだ。

興奮していた為か、近くにまで何かが迫っているのも気付けなかった。

更に生い茂る背の高い草に視界が狭まれていたためでもある。

近くの木々が揺れ、少女はようやくそれに気がついた。

そちらを、怒りの滲んだ目で睨みつけた。

「また、私をからかうつもりって訳…!!」

体をそちらに向け突き進んだ。

少女は、カラスが潜んでいると早合点していた。

「丸焼きにしてやる」

少女のものとは思えない、ドスの利いた低い声。そしつ、肩にかけた猟銃に手をかけた。

後ろから不意打ちで殴りつけつもりのようだ。



少女が短気であることがわかる。

気配を殺し一歩一歩とすすんだ。茂みに近づき猟銃を振りあげた。

その瞬間、少女は自身の腹何かが飛び込んでくるのが見えた。

そして鈍い痛みが体中に広がる。ぐわっと彼女の鼻先を何かが横切る。

吹き飛ばされていたようで、尻餅をついた。

「ぎゃっ」

少女は息をのむ。目の前に、熊が立っていた。

鼻先を掠めたのは、熊の振り下ろした腕のようだ。

後ろに転んでなければ、鋭い爪に捕らわれていた。

全身に汗が噴き出した。やらなければ、やられる。まさにその状況である。

少女は、立ち上がろうとする。

「嘘、でしょ。」

恐怖から腰を抜かしていた。

震える手で必死に落とした武器を探した。

近くでうなり声が聞こえた。だが彼女は熊から目を反らせなかったため確認ができない。

うなり声は近づき、彼女にぴったりと付き添ってきた。

「大丈夫、今エミリオが倒すから」

いつの間にか、少女の後ろに男性が立っていた。思わず、彼女は後ろを振り返る。

男性は微笑んでいた。

その仕草は彼女を一気に安心させるものだった。少女の頭に大丈夫、その言葉が反響する。

「助かった…の……?」

言葉にすると同時に、緊張の糸がきれ、気を失っていた。

少女は薄れる意識の中、熊の絶命する声を聞いた。


ありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ