第98話:最後のステータス更新! さらば、社畜の俺
最終章は、一つの「区切り」を迎える。
ユートスは宮殿の地下にある、かつて自分を縛り付けていた「システムの根源」と対峙していた。
彼の視界には、物語の最初からずっと付き添ってきた、あの無機質な「ステータス画面」が浮かんでいる。
【名前:ユートス】
【職業:社畜(固定解除済み)】
【レベル:計測不能】
【スキル:魂のストック(無限)】
【契約嫁:210名(MAX)】
「……これまで、随分とお世話になったな。この画面があったから、俺は自分が『何者か』を見失わずに済んだ」
ユートスが画面に触れると、現在の圧倒的なステータスが数値として溢れ出した。
攻撃力:\infty
防御力:\infty
魔力:\infty
そして、幸福度:計測不能。
「……でも、もう、これはいらないんだ。……俺には、数値で測らなくても伝わってくる温もりがあるからな」
ユートスが念じると、その無機質なウィンドウが、さらさらと光の粒子になって消えていった。
もはや「スキル」や「倍率」という言葉で自分の強さを定義する必要はない。
210人の嫁たちと手を繋げば、それがそのまま「世界の法則」になる。
「……ユートス様? どうされたのですか、こんな場所で」
心配して追ってきたのは、学園長セレスティアと、聖女イシュタルだった。
「いや、なんでもない。……ただ、昔の自分に『お疲れ様』って言ってきただけだ」
ユートスは二人の肩を抱き寄せ、明るい地上へと歩き出した。
地上では、210人の花嫁たちがそれぞれの「得意分野」で、新しい世界の地図を作っている。
アリエルは子供たちのための騎士学校を。
フィオナは世界中の家事を自動化する魔導回路を。
リリアは砂漠を果樹園に変える大魔法を。
その全てが、かつてユートスが社畜として「誰かのために」働かされていた経験から着想を得たものだった。
「無駄なことなんて、一つもなかったんだな……。誰かのために働く苦しみを知っていたから、俺はみんなを楽にさせたいと心から思える」
ユートスが歩く道には、自然と黄金の花が咲き乱れる。
通りかかる民衆たちは、彼を「王」として拝むのではなく、親愛を込めて「ユートスさん!」と呼びかける。
それは、彼が築き上げたのが「恐怖による支配」ではなく「愛による調和」である証拠だった。
「……ねえ、ユートス。……そろそろ、最終回に相応しい『贈り物』を、世界中に届けてあげない?」
セレスティアが、いたずらっぽく微笑む。
「贈り物? まだ何か足りないものがあるか?」
「ええ。……世界中の人々が、私たちのように『愛する人と出会える確率』を100万倍にしてあげるのよ。……貴方の魔力があれば、運命の赤い糸を世界中に張り巡らせることなんて、簡単でしょう?」
「……ハハッ、最高だな。……よし、やろう。……俺が独り占めしてきた幸せを、今度は世界中にインフレさせてやる」
ユートスが両手を広げると、宮殿から数億の光の糸が世界中に向かって放たれた。
それは、かつて孤独だったユートスが自分自身へ送りたかった、「愛の予感」という名のギフトだった。
【作者からのお願い】
ステータス画面の消失。数値を超えた本物の愛を手に入れたユートス。世界中に幸せを配るその姿に感銘を受けた方は、ぜひ**【評価(★★★★★)】**をよろしくお願いします!いよいよ次話、第99話。完結一歩手前の「大団円の夜」が始まります!




