第91話:次世代の予感! 210人の花嫁と、生まれてくる希望
ハーレム帝国の建国から、さらに数ヶ月。世界は「ユートスの魔力」という無限のエネルギーによって、飢餓も病も争いも存在しない、文字通りの『エデン』へと変貌を遂げていた。
しかし、この楽園において、210人の花嫁たちが今最も熱を上げているのは、政治でも経済でもなかった。それは、一人の男――ユートスの血を継ぐ「次世代」への期待である。
「……ユートス様。……本日、フィオナとセレスティアによる魔導診断の結果が出ましたわ」
宮殿のプライベート・ガーデンにて、聖女イシュタルが少し震える手で、一枚の羊皮紙をユートスに手渡した。
「……結果? 一体、何が分かったんだ?」
ユートスが尋ねると、周囲を囲んでいたアリエル、リリア、エキドナたちが一斉に頬を赤らめ、期待に満ちた瞳で彼を見つめた。
「……ユートス様。私たちの、そして貴方様の魔力が……あまりにも高密度で調和した結果。……現在、私を含む上位20名の花嫁の体内に、新しい『神性の種』が宿っていることが確認されました」
「――っ!? 子が、できたのか?」
ユートスの言葉に、庭園全体が歓喜の魔力に包まれた。
『称号【創世の父】を獲得。……契約人数210名によるステータス倍増 2^{210} が「遺伝」の領域に適用されます。……生まれてくる子供たちは、誕生した瞬間から神域のステータスを保持します』
ユートスは呆然とした。嫁の数だけ強くなる自分の能力が、まさか子供たちにまで継承されるとは。
もし子供が100人、200人と生まれれば、この世界は「ユートスの一族」によって、銀河規模の繁栄を約束されることになる。
「……ユートス様! 騎士としての私ではなく、母としての私を……これからも、ずっと愛してくださいますか?」
アリエルが、まだ平らなお腹を愛おしそうに撫でながら、ユートスの腕に縋り付く。
「当たり前だ。……アリエル、みんな。……俺は、この子たちが笑って駆け回れる世界を、永遠に守り抜く。……210人の嫁と、その子供たち。……俺の『ストック(家族)』は、もう誰にも奪わせない」
ユートスがアリエルを強く抱きしめ、その額に誓いのキスを落とすと、宮殿の空には黄金の粉雪が舞い散った。それは帝国の全住民に「新しい命の誕生」を知らせる祝福の光。
その頃、旧王都の廃墟で細々と暮らしていた元勇者アレスは、空を彩る祝福の光を見上げ、自らの股間を押さえて泣き崩れていた。
「……子供だと……? あのユートスに、神の如き力が継承されるというのか……。……俺の血筋は、ここで絶えるというのに……っ!!」
アレスにはもう、女を愛する力も、明日を夢見る気力も残っていない。
ユートスが「未来」を創り出していく一方で、自分たち旧世界の住人は「過去」として朽ちていくのみ。
この「絶対的な生命力の差」こそが、追放された男が最後に突きつけた、最も残酷な格付けであった。
【作者からのお願い】
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