第89話:愛の迷宮都市! 210人の個室と「秘密の回廊」
結婚式を終えたユートスと210人の花嫁たちが向かったのは、帝国の新居――もとい、世界最大の居住空間『エデン・ラビリンス・パレス』であった。
フィオナの魔導技術とセレスティアの空間魔法、そしてユートスの無限の魔力を注ぎ込んで造られたこの宮殿は、内部が「無限拡張空間」となっており、外見からは想像もつかない広さを誇っている。
「……ユートス様。各花嫁たちの個室、及び共同スペースの調整、完了しましたわ。……もちろん、貴方様がいつでも、どの部屋にも『一瞬で』到達できる隠し通路も完備しております」
フィオナが、少し扇情的な微笑を浮かべて宮殿のマスターキーをユートスに手渡す。
「隠し通路、か。……210人もいると、移動だけで一日が終わっちまうからな。……助かるよ」
ユートスが宮殿の扉を開くと、そこには210人の個性が反映された、夢のような光景が広がっていた。
アリエルの部屋は、彼女の騎士道精神を象徴する白銀の装飾。
リリアの部屋は、精霊たちが舞い踊る生い茂る森の楽園。
エキドナの部屋は、妖しくも美しい夜の魔界を再現した幻想的な空間。
「……ユートス様。……私の部屋、一番近くに設定してくださって、嬉しいですわ」
聖女イシュタルが、柔らかな寝衣姿でユートスの腕を掴む。
「……待って! 私の部屋だって、ユートス様が一番通りやすい位置にあるはずよ!」
「ふふ、空間魔法を使える私を差し置いて、そんな議論は無意味だわ」
セレスティアが冷静に、しかし瞳に独占欲を滲ませて参戦する。
210人の美女たちが、それぞれの部屋にユートスを招き入れようと競い合う様子は、まさに「至福の戦争」。
だが、ユートスは知っていた。
この宮殿の真骨頂は、中心にある「大広間」にあることを。
そこには、210人全員が一度に入れる巨大な黄金の浴場と、ユートスを囲んで全員が雑魚寝できるほど広大な特製ベッドが鎮座していた。
「……いいか、みんな。個室も大事だが……俺が一番好きなのは、こうしてお前たち全員の顔を一度に見られる時間だ」
ユートスが指先を鳴らすと、宮殿内の魔力が同調し、210人の嫁たちのステータスが共鳴し合う。
嫁たちの肌はユートスの魔力で艶やかに輝き、その美しさは次元を超えて上昇していく。
「……あ、あぁ……。ユートス様の魔力が、宮殿全体に満ちていく。……幸せすぎて、意識が溶けちゃいそう……」
誰かが漏らした感嘆の声が、宮殿の壁に響く。
その頃、旧王都の牢獄で労働に勤しむ元貴族たちは、遠くに見える宮殿から漏れ出す「幸福のオーラ」に当てられ、ただ虚脱感に苛まれていた。
「……あの光、何だ……? 見ているだけで、自分の人生がゴミ屑のように思えてくる……」
「……あれが、ユートス様が愛で満たした宮殿だ。……我々には、一生触れることすら叶わぬ、本当の楽園なのだ……」
復讐とは、相手を打ちのめすことではなく、相手が絶対に到達できない高みで、最高に幸せな日常を送り続けること。
ユートスは、210人の嫁たちと戯れながら、その真理を世界の歴史に刻み込んでいた。
「……さあ、みんな。今夜は、誰の部屋から『巡回』しようか?」
「「「「「「私です、ユートス様!!」」」」」」
210人の女神たちの愛の咆哮が、新時代の宮殿に響き渡った。
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