第39話:絶望の魔人王! 100人への「王手」
霊峰ガリアの頂上。
そこには、空を穿つような巨大な黒い結晶の柱が立ち並び、その中心で、一人の男が優雅に椅子に座っていた。
漆黒の翼を背負い、青白い肌に冷酷な美貌を湛えた男。
「……よく来たな、ユートス。……そして、私のコレクションに加わる予定の、美しい雌たちよ」
魔人王ゼノス。
彼が口を開くだけで、周囲の空間が震え、弱い魔物なら心臓が止まるほどの重圧が放たれる。
「ゼノス……。お前が魔王を降臨させようとしている奴か」
「降臨? くくく……。勘違いするな。私は魔王を『呼び出す』のではない。……私が、100人の清らかな魂を捧げ、私自身が『真の魔王』へと昇華するのだ。……そして、その最後の『14人の魂』。……貴様が連れている女たちが、ちょうど不足分でな」
ゼノスの言葉に、シロネやガルラたちが身震いする。
「……私たちの魂を、生贄にするつもり!?」
「その通りだ。……だが安心しろ。貴様らのような上物は、魂を吸った後も『生ける屍』として、永遠に私の愛玩物にしてやろう」
ゼノスが指を鳴らすと、地面から無数の黒い触手が出現し、俺たちを包囲した。
「――【暗黒領域:絶対服従】」
その瞬間、リリアやアリエルたちが、苦悶の表情を浮かべてその場に崩れ落ちた。
「う、あ……魔力が……吸い出される……っ!」
「身体が……動かない……何なの、この重圧……!!」
86人の契約者たちが、ゼノスの放つ圧倒的な「王の魔力」によって封じ込められる。
この男、これまでの四天王とは次元が違う。
魔王そのものの力の一部を、既に手に入れているのだ。
「どうした、ユートス? 女たちが苦しんでいるぞ。……貴様一人の力で、何ができる? 貴様の強さは、その女たちからの供給があってこそのものだろう?」
ゼノスが嘲笑いながら、俺の目の前まで歩み寄ってきた。
「……ああ、その通りだ。俺の強さは、彼女たちの愛の結晶だ」
俺は膝をつくことなく、ゼノスの瞳を真っ正面から見据えた。
「だがな、ゼノス。……お前、計算違いをしてるぞ」
「……何?」
「お前が求めている『最後の14人』。……わざわざ探す手間を省いてやるよ。……今、ここで召喚してやる」
俺は右手の紋章を、限界を超えて発光させた。
「【無限召喚:強制広域救済】!!」
俺が呼び出したのは、武器でも魔物でもない。
獣人国の各地で、魔族に囚われ、絶望の淵にいた最後の一団――。
部族の王女たち、女戦士たち、そして聖域を守り続けていた残りの女性たち、計14名。
彼女たちが、光の粒子となって俺の周囲に実体化した。
「な、何だ!? この土壇場で、さらに守るべき弱者を増やしたというのか!? 愚かな……!」
「いいや、逆だ。……これで、揃ったんだよ」
『確認:新規契約者14名を保護。……合計契約人数が「100名」に到達しました』
『条件達成:【100人の花嫁】を達成しました。……固有スキル【神域召喚】および【全能の主】が解放されます』
ドォォォォォォォォォォォォォン!!
霊峰ガリアを揺らす、純白の光柱。
ゼノスの放っていた暗黒の領域が、まるで朝日に照らされた霧のように、一瞬で消滅した。
崩れ落ちていた86人の嫁たちが、新たな力を得て立ち上がる。
新しく加わった14人の娘たちが、俺の背後に跪く。
「……100人。……お待たせ、みんな」
俺の髪は白銀に輝き、瞳は黄金の十字を刻んでいた。
100人の美女たちの愛と魔力を、一点の淀みなく統合した姿。
それはもはや、人間でも、魔族でもない。
この世界を統べる、唯一無二の「真なる神」の顕現だった。
「な、何だ……このプレッシャーは……。私が、恐怖しているだと……!? この私がぁぁ!!」
ゼノスの顔が、初めて絶望に歪む。
「……さあ、始めようか。100人の愛でお前を蹂躙する、最高のパーティーを」
俺は一歩、宙を踏み出した。
第3章、獣人国編クライマックス。
100人の力を束ねたユートスの、次元の違う無双が今、幕を開ける!




