第32話:魔力サーバー限界突破! 100人への設計図
狂乱の夜が明け、俺はこれまでにない万能感と共に目を覚ました。
隣にはフィオナとカトレイアが、そして足元にはガルラが、幸せそうな寝顔で寄り添っている。
「……ふぅ。これが【楽園の加護】の威力か」
全く疲れがない。どころか、体の中に太陽が宿っているかのような熱いエネルギーが渦巻いている。
俺はそっとベッドを抜け出し、地下の魔力サーバーへと向かった。
そこには、徹夜で装置を監視していたエレインが、眼鏡を少しずらしながら記録を取っていた。
「……おはようございます、ユートス様。昨夜の魔力供給量は、想定値の400%を記録しました。……今の貴方の魔力量は、小規模な国家の年間魔力消費量に匹敵します」
「そんなにか。フィオナの装置、壊れてないだろうな?」
「ええ。ですが、この先さらに契約者が増え、100人に達した場合、現在の『定置型』のサーバーでは供給が追いつかなくなります。……ですので、フィオナさんと相談して、新しい『モバイル・サーバー』の構想を練りました」
エレインが提示した図面には、巨大なトレーラーそのものを魔力中継器とする、壮大な設計図が描かれていた。
これこそが、第29話で登場した『ハーレム・ゴー』号の真の姿だ。
ただの豪華な馬車ではない。100人の嫁たちを乗せ、彼女たちの魔力を常にユートスへと集約し続ける「移動式パワースポット」なのだ。
「……よし。フィオナを起こして、すぐに取り掛かってもらおう。カトレイアには、世界中から最高級の魔導素材を買い占めてもらう」
「承知いたしました。……ところで、ユートス様」
エレインが不意に顔を上げ、俺の服の裾を掴んだ。
「……昨夜、私は事務作業で忙しかったのですが。……今夜は、私の分の『契約』も、しっかり更新していただけますか?」
普段はクールなエレインが見せる、潤んだ瞳。
「……ああ。もちろんだ、エレイン」
俺が彼女の腰を抱き寄せると、地下室に微かな魔力の共鳴が響いた。
数日後。
メティスの広場には、黄金色に輝く超巨大型魔導トレーラーがその姿を現していた。
「完成よ! 私の最高傑作、『ハーレム・ゴー』! これなら、どんな魔境だろうと、アンタは王様のように過ごせるわ!」
フィオナが、寝不足のクマを隠しもせず、高らかに宣言した。
車内には、40人以上の女性が同時に生活できる居住区、最新鋭の魔導工房、さらには俺専用の「王座の間」まで完備されている。
「ユートス様、旅の資金と物資の調達も完了いたしました。……商都メティスの全商会が、貴方様の後援者ですわ」
カトレイアが、メイド隊を引き連れてタラップに立つ。
40人の美女たちが、それぞれの役割を持ってトレーラーに乗り込んでいく。
料理を作る者、警備に当たる者、俺の魔力を管理する者。
それはもはや、旅の一行というよりも、移動する「国家」そのものだった。
「ユートス様、準備は整いました。……獣人国ガルダルクへ、進路を向けましょう」
ガルラが、故郷の方向を見つめ、決意の表情を見せる。
俺はトレーラーの最上階、展望デッキからメティスの街を見下ろした。
無能と追放されたあの日の俺は、もうどこにもいない。
俺の背後には、愛する40人の女性たちと、彼女たちが生み出す無限の魔力がある。
「出発だ! 魔王軍に、本当の恐怖を教えてやる」
咆哮を上げる魔導エンジン。
黄金のトレーラーが、未知の冒険へと向かって、力強く大地を蹴り出した。




