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第27話:豪華絢爛なる移動要塞! 荒野を駆けるハーレム・ゴー

王都と商都を繋ぐ街道から外れ、一行は獣人国ガルダルクへと続く未開の荒野へと足を踏み入れていた。メティスを発った俺たちが今乗っているのは、カトレイアがその莫大な私財を投じ、フィオナが錬金術の粋を尽くして改造した超巨大型魔導トレーラー『ハーレム・ゴー』号だ。

「……信じられない。これ、本当に『馬車』なの? 揺れが全くないわ」

リリアが、ふかふかのソファに身を沈めながら、驚きの声を漏らした。

車内は外見からは想像もつかないほど広く、空間拡張魔法によって高級ホテルのスイートルーム並みの居住性が確保されている。

「ふふ、驚くのはまだ早いわよ、リリア。この車両はね、路面の凹凸を魔力で吸収する『重力相殺サスペンション』を搭載しているの。どんな悪路だろうと、ユートス様に不快な思いはさせないわ」

フィオナが自慢げに胸を張り、俺の隣にぴったりと座り直した。

この豪華な旅路を支えているのは、設備だけではない。

「ユートス様、冷たいお飲み物はいかがですか? 喉を潤すのに最適な、メティス名産の果実水ですわ」

そう言って跪き、銀のトレイを差し出したのは、カトレイアが厳選した精鋭メイド隊の一人、セーラだった。

彼女たち20名は、出発の直前にカトレイアの手によって集められた。

元傭兵の女性兵士が10名。そして、あらゆる家事と護身術を叩き込まれた戦闘メイドが10名。

彼女たちは皆、俺がリヴァイアサンを討った英雄譚に憧れ、自ら「魂の契約」を志願した者たちだ。

「……ありがとう、セーラ。みんなも、長旅になるがよろしく頼む」

俺が彼女の頭を軽く撫でると、セーラは顔を真っ赤にして、幸せそうに目を細めた。

『メイド隊10名、女性兵士10名との「集団仮契約」を継続中。……魂のストックが増大し、現在の全ステータスは基礎値の25倍を維持しています』

脳内に響くシステムの声。

一人一人の魔力はまだ未熟だが、20人が一斉に俺に想いを寄せることで、俺の紋章には絶え間なく純度の高い魔力が供給され続けている。これが【無限召喚】の本当の恐ろしさだ。契約人数が増えれば増えるほど、俺の強さは幾何級数的に膨れ上がっていく。

「ユートス様、前方に異常を確認いたしました。……魔物ではありません。避難民と思われる一団です」

御者席で魔導レーダーを監視していたエレインが、鋭い声を上げた。

俺はソファを立ち、前方を確認する。

荒野の先、乾いた風が吹き抜ける街道に、ボロボロの衣服を纏った一団が見えた。

狼の耳、猫の尻尾、熊の屈強な体。皆、獣人たちだ。

「……あれは、私の同胞たちだわ! まさか、もうあそこまで侵略の手が……!」

ガルラが窓に張り付き、狼の耳を不安げに震わせる。

俺たちはトレーラーを停止させ、外へと降り立った。

避難民たちは、突如現れた巨大な鉄の塊に怯えていたが、その中にガルラの姿を見つけると、堰を切ったように泣き崩れた。

「ガルラ様! ああ、ガルラ様……! ガルダルクはもう地獄です……! 四天王フェンリルが放った『狂犬病の呪い』が広まり、戦士たちは正気を失い、同族同士で殺し合っています!」

「……何だって!? フェンリルは……あの誇り高き伝説の狼は、そこまで堕ちたのか!?」

ガルラが怒りに拳を震わせる。

避難民の中には、怪我を負った若い女性獣人たちも多かった。

俺は彼女たちの前へと歩み出た。

「……安心しろ。俺が来たからには、その呪いも、フェンリルも、全部俺が片付けてやる」

俺は右手の紋章を掲げた。

「スイ、全員を包み込め! ――【浄化のクリーン・レヴィア】!!」

召喚されたスイが空へと舞い上がり、数千の小さな雫となって避難民たちに降り注ぐ。

その雫が肌に触れた瞬間、彼女たちを蝕んでいたどす黒い呪いの霧が消え去り、傷口がみるみるうちに塞がっていく。

「あ……体が軽い……。お腹の奥の嫌な熱が、消えていく……」

「貴方は……貴方は、神様なのですか?」

救われた獣人の娘たちが、涙ながらに俺を見上げる。

その瞳に宿ったのは、救済への感謝、そして圧倒的な強者への「服従」と「憧憬」だった。

『新たに獣人族の避難民15名との「一時的契約」が成立。……魔力供給効率がさらに上昇します』

俺のステータスは、彼女たちの祈りを受けるたびに、再びその限界を突破しようとしていた。

「ガルラ、案内しろ。……獣人国の入り口で、まずはその『狂犬』の鼻っ面を叩き割ってやる」

俺は再びトレーラーへと乗り込んだ。

背後では、救われた娘たちが、俺の背中に向かって祈るように跪いていた。

100人ハーレム国家。その構成員が、今この荒野から急速に増えようとしていた。

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