第19話:聖王の謁見と、新たなる旅への予感
翌朝。
眩しい太陽の光が、豪華な寝室のカーテンの隙間から差し込んでいた。
俺が目を覚ますと、左右から心地よい重みと、甘い花の香りが伝わってきた。
「……ん、ユートス……行かないで……」
左側では、リリアが俺の腕を枕にして、幸せそうな寝息を立てている。
右側では、エレノアが俺の胸に顔を埋め、まるで宝物を抱きしめるようにしがみついていた。
さらに足元の方では、アリエルがシーツにくるまって丸くなり、エレインはソファで資料を持ったまま、安らかな顔で眠っている。
(……昨夜は、本当に凄まじかったな)
契約者同士の魔力同調という名目で行われた「儀式」は、俺の想像を遥かに超える熱量を持っていた。一人一人の個性が、魔力となって俺の中に溶け込み、今や俺の体はかつてないほどの万能感に満ち溢れている。
俺はそっと二人を起こさないようにベッドを抜け出し、窓の外を眺めた。
王都の人々は、瓦礫を片付け、市場に店を出し始めている。復興の力強さに、俺は胸を打たれた。
「おはようございます、ユートス様」
いつの間にか目を覚ましていたエレインが、眼鏡をかけ直して微笑んだ。
「お疲れのところ恐縮ですが、一時間後に国王様との謁見が予定されています。……英雄としての『正式な褒賞』と、今後の話があるそうです」
「ああ、分かってる。みんなを起こして、準備をしよう」
一時間後。
俺たちは、アステリア王国の玉座の間に立っていた。
そこには、威厳に満ちた初老の男性――国王アルベルトが、家臣たちを引き連れて座っていた。
「勇者ユートス。そして、彼を支えし乙女たちよ。……この国の危機を救ってくれたこと、心より感謝する」
国王が立ち上がり、俺の前に歩み寄った。
「貴公がいなければ、アステリアは地図から消えていた。この功績に対し、余は貴公に『辺境伯』の爵位と、王都近郊の広大な領地を授けようと思う。……さらに、我が娘、エレノアとの婚約も進めたい」
周囲の家臣たちから、どよめきが起こる。
一介の召喚士が、いきなり辺境伯。しかも、王位継承権を持つ姫との婚約。
これは現代で言えば、平社員がいきなり副社長に昇進し、社長の娘と結婚するようなものだ。
「……光栄な話です、国王様」
俺は一歩前に出て、真っ直ぐに国王の目を見つめた。
「ですが、俺にはまだ、やらなければならないことがあります。四天王ベリアルは逃げ延び、魔王の脅威は消えていません。領地を治め、安泰な生活を送るには、世界はまだ危うすぎる」
リリア、アリエル、エレインも、俺の言葉に力強く頷く。
「俺は、この足で世界を回り、魔王軍を根絶やしにしたい。……そのための支援をいただけるなら、爵位よりもそれが一番の褒賞です」
国王は驚いたように目を見開いたが、やがて快快とした笑い声を上げた。
「はっはっは! 欲のない男だ。だが、その気高さこそが勇者に相応しい。……よかろう。余は貴公を『王国特使』に任命する。あらゆる都市での活動を保証し、資金と物資を惜しみなく提供しよう」
「ありがとうございます、国王様」
俺は膝を突き、その決意を新たにした。
だが、謁見が終わった後、エレインが深刻な顔で俺に近づいてきた。
「ユートス様、先ほどギルドから緊急の報せが入りました。……お隣の『商業都市メティス』で、原因不明の『魔力の枯渇現象』が起きているそうです。……さらに、そこには世界最高の鍛冶師がいると言われています」
「魔力枯渇……それに、鍛冶師か」
俺の短剣も、ベリアルとの戦いで刃こぼれが目立ち始めていた。
最強の召喚獣たちをさらに活かすためには、俺自身が装備を整える必要もある。
「よし、次の目的地は決まったな。……みんな、準備はいいか?」
「どこへでも付いていくわよ、ユートス!」(リリア)
「私の剣が、貴方の道を切り拓くわ!」(アリエル)
「旅の経理とサポートは、お任せください」(エレイン)
「私も、貴方と一緒に世界を見たいのです」(エレノア)
四人のヒロインと共に、俺の冒険は王都を飛び出し、さらなる未知の領域へと広がっていく。
【無限召喚】の力。それは、100人の美女との絆を結び、世界を救うための旅。
その第一歩を、俺は力強く踏み出した。




