第16話:聖王女の献身! 命を懸けた「真・契約」
「ガァァァァッ!」
ベリアルの大鎌が俺の肩をかすめる。防壁を張っていたにもかかわらず、皮膚が焼けるような痛みが走る。
(チッ、これが四天王の実力か……! スイの防御すら貫通してくるのかよ)
「ユートス様、危ないわ!」
リリアの援護射撃がベリアルの翼を狙うが、奴は一瞬で影の中に消え、俺の背後から現れた。
「死ね、人間!」
死神の刃が俺の首筋に迫る。
「……そこまでです、魔族よ!」
凛とした声と共に、エレノア王女が俺の前に飛び出した。彼女の手には、王家に伝わる聖なる宝珠が握られている。
「聖なる光よ……我が命を糧に、邪悪を退けん! 『ホーリー・バリア』!」
眩い光が俺たちを包み込み、ベリアルの大鎌を弾き飛ばした。
だが、その代償は大きかった。エレノアはガクリと膝をつき、口元から一筋の血を流す。
「……ひ、姫様!?」
アリエルが駆け寄るが、エレノアは弱々しく首を振った。
「……私の魔力は、もう……限界です。でも、貴方なら……ユートス様、とおっしゃいましたね。貴方なら、この国を……」
エレノアが震える手で、俺の手を握った。
「私と……『契約』を。王家の血に眠る『聖域』の力……貴方に、捧げます……」
『警告:対象の生命力が低下しています。通常の契約では対象が死亡する恐れがあります』
脳内でシステムの声が響く。
(嘘だろ……。救うために、彼女を殺せってのか?)
『解決策:対象の魂を貴方の紋章に「完全に」受け入れてください。肉体的な繋がり以上の、精神的合一が必要です』
「……エレノア。怖くないか?」
俺は彼女を抱き寄せ、耳元で囁いた。
エレノアは微笑み、俺の首に腕を回した。
「貴方の温かさ……信じています。……さあ、私を奪ってください」
俺は覚悟を決めた。
背後ではベリアルが体勢を立て直し、最大級の闇魔法を練り上げている。
「まとめて消し飛べ! 『デス・グラビティ』!」
重圧が俺たちを襲う。地面が陥没し、骨が軋む。
だが、俺はエレノアの唇を塞いだ。
契約の接吻。
これまで以上の、甘く、それでいて激しい魔力の奔流。
「ん……んぅぅ……っ!!」
エレノアの体がビクンと跳ね、彼女の中に眠っていた聖なる魔力が、俺の紋章を通じて爆発的に解放された。
『エレノア・アステリアと「真・契約」が完了しました』
『聖属性究極スキル【ゴッド・サモン】が解放されました』
『能力共有:全ステータスが10倍に上昇します』
俺の全身が、黄金の光に包まれる。
「……お待たせ、ベリアル。……ここからは、俺のターンだ」
俺の手には、光り輝く伝説の聖剣が握られていた。




