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第13話:王都の剣姫! 誇り高きアリエル

エレインから紹介された「特別クエスト」。

それは、王都近郊にある『忘却の地下迷宮』に生息する、凶暴なオーガの群れの討伐だった。

通常、Bランク以上のパーティでなければ受けられない難関クエストだが、エレインの「計らい」で俺たちは特別に許可を得た。

「ここが地下迷宮か……。嫌な匂いがするな」

俺は腰の短剣に手をかけながら、暗い石造りの階段を降りていく。

隣にはリリア。そして、俺たちの前にはもう一人、見知らぬ剣士の少女が立っていた。

「……あなたが、ギルド長が推薦した『召喚勇者』? 悪いけど、私の足手まといにだけはならないでね」

凛とした声。

ポニーテールに結ばれた燃えるような赤髪。腰には細身のロングソードを差し、白銀の軽装鎧に身を包んだその少女は、この王都で「剣姫」と謳われる天才剣士、アリエルだった。

彼女は没落した名門貴族の令嬢であり、家を再興するために一人で戦い続けている、孤高の戦士だ。今回のクエストは、ギルド側の要望で彼女と合同で行うことになったのだ。

「足手まとい、か。随分な自信だな。リリア、どう思う?」

「……私は、ユートスが一番強いと思ってるわ」

リリアが不機嫌そうにアリエルを睨む。女同士の火花が散る。

「ふん、召喚士なんて魔物に戦わせて自分は安全な場所にいるだけ。そんな戦い方、私は認めないわ。……行くわよ!」

アリエルはそう言い捨てると、迷宮の奥へと疾走していった。

「おい、勝手に行くな!」

俺たちが追いかけると、広間に出たところで、アリエルが十数体のオーガに包囲されているのが見えた。

「グガァァァッ!」

巨大な棍棒を振り上げるオーガたち。

アリエルは電光石火の剣技でその攻撃を受け流し、一撃、二撃とオーガを斬り伏せていく。

だが、数は圧倒的だ。

「はぁっ、はぁ……! まだ、まだ終わらないわ!」

アリエルの剣筋が、疲労でわずかに乱れる。

その隙を突き、一体のオーガが背後から棍棒を振り下ろそうとした。

「アリエル、後ろだ!」

俺は瞬時に【無限召喚】を発動させた。

「スイ、三号、四号! 『スライム・シールド』!」

三体のスライムがアリエルの背後で壁となり、棍棒の衝撃を吸収する。

「なっ……!? スライムが……!?」

驚くアリエルの前で、俺は【能力共有:疾走】を発動し、オーガの懐に飛び込んだ。

「――『雷光突き(サンダー・ボルト)』!」

ボーン・ドラゴン戦で得た魔石の欠片を加工した、雷属性の魔剣。その一撃がオーガの胸を貫き、感電させて絶命させる。

「……助けなんて、いらなかったのに」

アリエルが悔しそうに唇を噛むが、その瞳には驚きが隠せていなかった。

「意地を張るな。ここはチーム戦だ。……リリア!」

「了解! 『風嵐の連射サイクロン・バースト』!」

リリアの放った風の矢が、残りのオーガたちを次々と串刺しにしていく。

俺とリリア、そしてスライムたちの完璧な連携。

それは、一人で孤独に戦ってきたアリエルにとって、見たこともない光景だったはずだ。

「……すごい。召喚士が、こんなに前線で戦うなんて。それに、その子たち(スライム)との信頼関係……」

最後の一体が倒れた時、アリエルは剣を鞘に収め、俺の方を真っ直ぐに見つめた。

「……ユートス、だったかしら。さっきの言葉、撤回するわ。あなたは……本物の戦士よ」

アリエルの頬が、戦いの高揚感か、それとも別の理由か、わずかに赤らんでいた。

「私の剣を貸してあげる。……あ、勘違いしないでよね! 今回のクエストが終わるまでよ!」

お決まりの「ツン」を見せるアリエル。

だが、俺の【能力共有】は、彼女と心が通じ合った瞬間、新たな力を俺に授けていた。

『アリエル・フォン・グランツとの共鳴を確認』

『共有能力【神速の剣技】【騎士の矜持】を獲得しました』

俺の中に、アリエルが長年積み重ねてきた剣の極意が流れ込んでくる。

「……アリエル。君の剣、確かに受け取ったぜ」

俺が彼女の手を握ると、アリエルは「ひゃっ!?」と声を上げ、顔を真っ赤にして俯いた。

その様子を見ていたリリアが、「ちょっとユートス! 私以外の人とそんなに親しくしないで!」と間に割り込んでくる。

王都での初仕事。

それは、最強の剣士を仲間に加えるという、最高のスタートになった。

だが、迷宮の最深部から、さらなる不穏な気配が漂ってくるのを、俺は見逃さなかった。

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