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第1話: 転生の始まりと神の贈り物

「……あぁ、また今日も終電か」

高橋悠人たかはし ゆうと、25歳。職業、システムエンジニア。世間一般で言うところの「社畜」だ。

目の下にどっぷりと溜まった隈、青白い顔。鏡を見るまでもなく、自分が限界なのは分かっていた。

連日の100時間を超える残業。上司からの罵倒。やりがいという名の搾取。

「俺の人生、このまま終わるのかな……」

深夜のオフィス街。ネオンの光が、ひどく遠くに感じられた。

駅へと向かう横断歩道。信号は青。だが、その時の俺の意識は、半分ほど微睡まどろみの中にあった。

キィィィィィィィッ!!

鼓膜を突き刺すような、激しいブレーキ音。

反射的に顔を上げると、そこには視界いっぱいに迫るトラックのヘッドライトがあった。

「あ……」

逃げる暇も、恐怖を感じる間もなかった。

鈍い衝撃。体が浮き上がる感覚。そして、全てが真っ暗な闇に飲み込まれていった。

……はずだった。

「――ねえ、起きて? そんなところで寝てると、魂が風邪を引いちゃうわよ?」

鈴の音を転がしたような、透き通った声。

ゆっくりと目を開けると、そこは「無」の世界だった。上下左右、どこまでも続く純白の空間。

そして目の前には、この世の美しさを全て凝縮したような絶世の美女が座っていた。

光り輝く金髪、吸い込まれそうな蒼い瞳。背中には、透き通るような羽が生えている。

「……女神、さま?」

「正解! 私はルミナ。この世界……というか、多次元を管理している神様の一人よ」

ルミナと名乗った女神は、いたずらっぽく微笑んだ。

「ユウト。貴方の人生、ちょっと短すぎたわよね。ブラック企業でボロボロになって、最後は居眠り運転のトラックに跳ねられるなんて。私、見ていて可哀想になっちゃって」

「そう……ですね。自分でも、散な人生だったと思います。……俺、死んだんですよね?」

「ええ。でも、朗報よ! 貴方には『異世界転生』の権利が与えられました!」

女神はパチンと指を鳴らす。すると、俺の前にホログラムのようなウィンドウが現れた。

そこには『エルドラド』という文字と、剣と魔法が支配する美しい大陸の地図が映し出されていた。

「今、このエルドラドは魔王の脅威にさらされているの。そこで、貴方には救世主として第2の人生を歩んでほしいの。もちろん、タダでとは言わないわ。神様特製の『チート能力』、授けちゃうわよ?」

「チート能力……?」

俺の心臓が、ドクンと跳ねた。

アニメや小説で憧れた、あの展開だ。孤独で、誰からも必要とされなかった俺が、特別な力を。

「貴方に授けるのは――ユニークスキル【無限召喚インフィニット・サモン】よ」

「無限……召喚?」

「そう。魔物、精霊、そして……女の子。あらゆる存在を、貴方の魔力が続く限り無制限に召喚し、契約できるわ。しかもね、ここからが重要なんだけど……」

女神は俺の耳元に顔を近づけ、甘い吐息と共に囁いた。

「契約した相手の能力は、全て貴方に『共有』されるの。1人契約すれば1人分、100人契約すれば100人分の強さが、貴方の肉体に上乗せされる。つまり、ハーレムを作れば作るほど、貴方は無敵になるってこと」

脳内に、衝撃が走った。

誰とも繋がれず、孤独に働くだけだった俺が、100人の仲間……それも美女たちと繋がり、共に強くなる。

「やって……みます。そのエルドラドって世界に、俺を連れて行ってください」

「いい返事ね! それじゃあ、貴方の魂をエルドラドの辺境へと送るわ。名前は――そうね、これからは『ユートス』として生きなさい」

女神の手から放たれた光が、俺の体を包み込む。

暖かくて、優しい光。

「あ、言い忘れてたけど。最初はちょっと『弱い』かもしれないから、工夫して生き延びてね。頑張ってね、最強の召喚士様?」

女神のウィンクを最後に、俺の意識は再び浮上した。

次に目を開けた時、そこは――見渡す限りの深い緑、見たこともない巨木がそびえ立つ、エルドラドの「辺境の森」だった。

「ここが……異世界。……よし、まずは【召喚】だ!」

俺は高鳴る鼓動を抑えきれず、右手を前方に突き出した。

だが、この時の俺はまだ知らなかった。

最初に召喚されるのが、プルプルと震える「最弱のアイツ」だということも。

そして、そのアイツと共に、100人の美女を従える伝説が幕を開けることも。

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