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2-22 方向なき疾走者 2

「エスタ、朝ごはんできましたよ。今日は熟成肉のいい感じに仕上がったやつで、すごく美味しいお肉なんです」


朝のリースの声に、エスタは目を覚ました。

小さな家の食卓で、うつ伏せになって眠っていた彼女は、ゆっくりと体を起こす。

柔らかな朝日が足元まで差し込んで、心の隅々まで温かく満たしてくれる。

エスタは子猫のようによじよじと体を動かしながら、かつて「かつての人生の地平線」にいた頃と同じ、丁寧で控えめな声で答えた。


「……ありがとう、リース……」


二人は、フォークとナイフが軽やかに触れ合う音だけを響かせながら、朝食を食べ進めていた。まるで小さなダンスの調べのように。


「……ねえ、リース。なんだか、ちょっと静かすぎない?」


エスタは最後の肉を飲み込んでから、ぽつりと小さな声で呟いた。

空になった皿にフォークを置き、テーブルの向こう側に座る少年の顔をじっと見つめる。


「はい、すごく静かですね」


リースは丁寧な声でそう返し、柔らかな笑みを浮かべた。

彼は決して美形というわけではないのに、なぜかエスタの心を不思議と強く惹きつける何かを持っていた。

その笑顔を見た瞬間、エスタはくすっと笑ってしまった。


「君ってさ、たった十四歳なのにね……」


「エスタだって十五歳じゃないですか?」


リースは笑顔で彼女をからかい、くすくすと小さく笑いながら立ち上がった。

そしてエスタの目の前の皿を手に取る。


「今日は僕たちに仕事が入ってるんです。だから、僕が皿を洗ってる間に、エスタは準備してくださいね」


そう言い終えると、彼は小さく鼻歌を歌いながら歩き去っていった。

エスタも食卓から立ち上がり、着替えに行こうとしたけれど――ふと、自分の姿に気づく。

すでに冒険者の服をきちんと着込んでいるではないか。


「あ……なんか、忘れてたことあるような……?」


リースは厨房から出てきた。

しかし彼が着ているのは冒険者の服ではなく、高貴な貴族のための正装だった。

白いスーツが灰色の髪によく似合い、両手に白い手袋をはめ、左肩には茶色のマントが掛けられている。

金糸で刺繍された装飾が施され、金のコードが胸から肩のエポレットへと繋がっていた。

左手に持っているのは、真珠の頭部に宝石を散りばめた杖だ。

エスタは目の前の光景に息を呑んだ。

知らない、気高さに満ちたリースの姿。

彼女の瞳が震え、息が詰まる。

やっとのことで、言葉を絞り出す。


「……冒険者の仕事……じゃないの?」


「僕、『そういう仕事』だなんて一言も言ってないですよ」


彼は両手を肩より上に上げ、わざとらしく首を左右に振った。

眉を寄せて、露骨に嘲るような表情を浮かべる。

そんな態度はリースらしくない。

エスタは恐怖を感じ、腰の剣を強く握りしめた。

しかし、何か言い返す前に――背後の扉が大きな音を立てて開いた。


「来たわね。さあ、歓迎してあげましょう」


エリゼはその扉の前に立っていた。

燃えるような赤い髪が、恐ろしく逆立っている。

両手には、真っ赤な火球を握りしめていた。


「さあ来なさい、エスタ」


リースが先に歩き出し、エリゼの立つ場所へと向かう。

彼女は何も言わず、ただ赤い火球を床に投げつけた。

炎はまるで油をまかれたように瞬時に家中に広がり、木造の家を猛烈な勢いで飲み込んでいく。

熱がエスタの体を焼き、息すらできなくなるほどだった。

苦痛のなかで、リースが振り返った。


「これで終わりにしよう」


白い手袋をはめた手がエスタの腕を掴み、炎の中へと引きずり込む。

エスタは悲鳴を上げた。

その瞬間、リースは幸せそうな笑みを彼女に向けた。

炎がすべてを飲み込み……そして闇が彼女を飲み込んだ。



自分の悲鳴がまだ耳に残っている。

重い瞼をゆっくりと開くと、目の前には古びた木の天井が広がっていた。

エスタは力を振り絞って体を横に転がす。

隣のベッドに横たわっているのは、メイド服を着た女性だった。

反対側に体を向けると、そこには領主の屋敷の衛兵が寝ていた。


「…最悪…」


彼女は喉の奥から小さな声を漏らし、再び仰向けに転がった。

浅い息が詰まり、瞳が虚ろに揺れる。


「そう、あの屋敷で…私…」


直撃を受けた強烈な魔術攻撃で体が歪むほどの痛みが、再び鮮明によみがえってきた。

エスタは苦々しく歯を食いしばった。

片腕を上げ、目を覆うように額に当てて、大きく息を吐き出した。


まだ生きて戻れたことに喜ぶ間もなく、一つの声が響いた。


「こんな時間に、リースはどこへ消えたんだ?」


どこからか修道女の騒々しい声が部屋に響き渡る。

続いて聞き覚えのある若い修道士の返事が、エスタの胸を締め付けた。


「リース……リースとエリゼお嬢様は……アッシュズの一味に加わったそうです……」


「はあ? そんなことあるわけないでしょ!?」


修道女が大声で叫んだ。周りに負傷者が寝ていることなどお構いなしに。


「僕……僕もよくわからないんです。

リースは二日前、エリゼお嬢様を探しに行くって言って出て行って……それきり帰ってこなくて……ただ、アッシュズの一味に加わったっていう報告だけが……」


「何だって!?」

エスタは大声で叫んだ。

体が悲鳴を上げているのも構わず、力を振り絞って体を起こし、座った。

視線は机の向こうにいる二人の修道士に向けられる。

一人はルーファス、もう一人は知らない修道女だった。

だがエスタはもうそんなことはどうでもよかった。


「ルーファスさん! 今の話、本当なの!?」


「ひぃぃっ!! 本当ですぅ!!」


彼女は恐ろしいほど低く唸るように叫んだ。

一方のルーファスは敏感に反応し、甲高い声を上げて目をぎゅっと閉じ、体を震わせた。

まるで怯えた子供のように。

しかし、目を開けて見つめた瞬間、エスタの表情は血も肉も食らいたいようなものではなかった。

まるで自分の世界が目の前で崩れ落ちていくのを目撃した子供のような顔だった。

次の瞬間、その顔のエスタが立ち上がった。

ふらふらとよろめきながら、倒れそうになるほど歩き出す。

ルーファスが慌てて声を上げた。


「エスタ!!」


「私…大丈夫です…」



エスタは苦しげに声を絞り出した。

ルーファスにそれ以上質問させる間もなく、彼女の姿は二人の目の前で闇に飲み込まれていった。

まるで最初から存在していなかったかのように。


「僕…どうしたらいいんだ…」


ルーファスは心配でいっぱいの声で呟いた。

隣に座る修道女はただ口をぽかんと開けたまま、何も言えずに固まっていた。


泥だらけの足跡が、静かに虚空から現れた。

重厚な鉄の扉が小さな体に押されてゆっくりと開く。

中には光の欠片もなく、風のないのに清潔な匂いだけが漂っていた。

そこは、マリーナ教会の巡礼儀式を行うための部屋――以前、リースと一緒にエスタが入ったことのある場所だった。

エスタは虚空から自分の姿を現し。

古い紋様が刻まれた床の上に体を投げ出す。

闇の中を導いてくれた魔術が、瞳から解けていく。

彼女の目の前には、何もなかった。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! どうして!? どうして私はエリゼを疑わなかったの!?」


彼女は闇の中で絶叫した。

拳を床に何度も叩きつけ、手が熱くねばつくまで殴り続けた。

剣を握るはずの手が感覚を失うほどボロボロになると、今度は頭を石の床に叩きつけた。

温かいものが顔中に流れ落ちていく。


「女神に名前を捧げたのに……この世界の運命を書き換えたのに! なのにどうして……リースとエリゼが闇に落ちたの!?」

彼女は死ぬほど叫び続けた。

やがて力尽きて倒れ込み、迷える魂のような呻き声を漏らした。


「どうして…どうして…私がこの世界の主人公のはずなのに…こんなの、酷すぎるよ…」



「いやだ、なんてこと……!」


温かな女性の声が、どこからか響いてきた。

ランタンの光が、誰かの急いだ足音に合わせて揺れながら近づいてくる。

重い鉄の扉が大きく開かれ、数人の人影が現れた。


「エスタちゃん!!」


マリッサが駆け寄り、床に倒れ伏していたエスタの体を抱き上げ、自分の胸にしっかりと抱きしめた。

彼女はエスタを強く抱き締め続け、エスタの声はただ嗚咽だけになった。


「もう大丈夫よ、エスタ。私がここにいるから」


マリッサは、まるで母親が幼い子をあやすような優しい声で囁いた。

エスタは血まみれの手でマリッサの服を強く握りしめ、血がべっとりと染み込んでいった。


「お前、本当に問題ばかり起こす子ね、エスタ。……いや、『ミトラ・ラントン』と呼んだほうがいいかしら?」


後から響いてきたのは、英雄と呼ばれる老人の声だった。

彼が持つランタンの光が、ゆっくりと近づいてくる。

黒く輝きのない瞳が、声の主へと向けられる。

老修道士ラントンはランタンをそっと床に置き、エスタに向かって手を差し伸べた。

無言のまま、青い光と温もりが彼女の全身に広がっていく。

ほんの一瞬で、先ほど自分でつけた傷が跡形もなく癒えていた。

エスタは眉を寄せ、ストレスで顔を歪めた。

乾いた声で、悔しさをにじませながら呟く。


「おじい様……今さら顔を出しても、もう遅いんじゃないですか?」


「本当に……これ、本当のことなの?」


マリッサがそれを聞いて、高い声で叫んだ。

そして、苛立ったように老修道士ラントンのほうを睨みつける。


「俺が間違ってるって言うのかい!?」


「そうだよ、ジジ! 鉄蜂を倒した時から、孫娘を迎えに出てこなかったのが間違ってるんだ!!」


三番目の男の声が響き、続いてその人物がすぐ後ろから入ってきた。

グレイモアはマリッサの背後に立ち止まり、腕を組んで不満げな目で老英雄ラントンを見つめた。


「この件、私も完全に同意よ。こんなの、酷すぎるわよね」


最後に加わったのは、黒髪の賢者だった。

頭の上には小鳥の精霊がちょこんと乗っている。

彼女の瞳にはまだ黒い呪印が残っているが、今はもう機能していない。


「ちょっと待て! なんで急にみんなで寄ってたかって来るんだよ! こんなの不公平だろ!!」


老修道士ラントンは抗議の声を上げたが、効果はなさそうだった。

みんな一斉に顔を背け、それぞれ別の方向を向いてしまった。

エスタだけが、何が起こっているのか全くわからなかった。

彼女は力のない声で、尋ねる。


「みんな……どうしてここにいるの?」


その声も言葉も、いつものエスタとは違うほど丁寧だった。

これが彼女の本当の姿……

つまり、エスタが前世で本来の自分だった姿……。


「ここでみんなで集まって会議してるのよ~」


大賢者アルティシアは、気楽な声でそう言った。

まるで今起こっていることが大したことではないかのように。


「秘密の会議……ですか」


エスタはそう呟いて、深くため息をついた。

マリッサの胸から体を起こそうとするが、マリッサは彼女を強く抱きしめたまま、優しく囁く。


「まだダメよ、エスタ。あなたはこの会議でとっても大事な人なんだから」


その言葉が響いた瞬間、エスタの胸に再び何かが突き刺さるような痛みが走った。

敗北感、過ちによる後悔が、一気に彼女の心を襲いかかる。


「私…何もできないんです…」


喉から漏れた声は、みんなが感じ取れるほど弱々しかった。


「あの日、もし私がリースとエリゼと一緒にいたら…こんな風に戦って完敗することもなく、アッシュズに二人を取られることもなかったのに…」


彼女の手が再び強く握りしめられる。

嗚咽が漏れるたび、周りのみんなが顔を見合わせた。

そしてグレイモアが顔を向け、真剣な表情で口を開く。


「アイツのことはもういいんだよ。あんなガキのことなんか心配しなくていい。

今お前が心配すべきは俺たちの方だ。特に俺だよ」


顔はどれだけ真剣くさくても、グレイモアの声は狡猾で、本気の欠片も残っていないほどだった。

それが隣に立つアルティシアを徐々に縮こまらせていく。

そしてついに、我慢の限界が来たのか――彼女は爆笑を吹き出した。


「ははははは! あの子のことなんて本当に心配いらないわね~はははは!」


「そんなに笑えることか?」


「だって、本当に心配してる問題って、先生様の財布が後輩ちゃんを助けるために払わなきゃいけないことじゃない? ははははは!」


「うるせえ!!」


グレイモアは顔が赤くなり始め、振り返って大声で言い返した。

だがそれは全然怖くなかった。

一方、エスタはアルティシアの口から「後輩ちゃん」という言葉が飛び出した瞬間、困惑した表情を浮かべながら、二人の間を行き来する視線を投げかけた。

アルティシアはエスタと目を合わせ、ゆっくりと彼女の前に歩み寄って止まり、手を胸に当てて体をかがめた。


「正式にご挨拶します。私はアルティシア。

あのずる賢い爺さんの直弟子ですの。

ある意味では、リースの直系の先輩、ということになりますよ」


「はい…私、エスタです」


「ありがとうよ。あなたと後輩ちゃん…えっと、リースが、アッシュズの罠だってわかってたのに、私を助けに来てくれたのよね」


「でも、私…」


エスタは視線をそっと下げた。

最初頃のリースがそうしていたのと、寸分違わぬ仕草だった。

アルティシアは視線を逸らされた瞬間、優しくエスタの顎に手を添えて顔を上げさせ、再び目が合うようにした。

そして、口を開く。


「あなた……前世の記憶、持ってるわよね?」


その言葉を聞いた瞬間、エスタの瞳が大きく見開かれた。

どうしてアルティシアが知っているの?

自分は誰にも――リースにさえ――一度も口にしたことがないのに……?


「どうして知ってるんですか?」


「だって、私を助けに来てくれたとき、妙な言葉をたくさん吐き出してたじゃない」


「うっ…」


そう言い終えると、アルティシアはエスタの顔から手を離した。

彼女はグレイモアの方を振り返り、悪戯っぽい顔を浮かべて、勝ち誇ったように喉の奥でくすくすと笑う。

一方グレイモアは、面倒くさそうにため息をつくだけだった。

エスタは部屋の中の全員を見回した。

しかし、誰一人として驚いたり信じられない様子を見せている者はいなかった。

彼女はついに、口を開く。


「どうして……誰も驚いてないの?」


「そういう人、私も二人は会ったことあるわよ~」


マリッサはエスタを抱きしめたまま、優しい声でそう言った。

そしてマリッサの言葉が終わるやいなや、間を置かせる間もなくグレイモアがすぐに言葉を継いだ。


「俺も一人、会ったことがあるぜ。口から汚ねえ言葉を吐きまくって俺を罵り、俺を『悪役』だって決めつけて、ありとあらゆる手段で攻撃してきやがった」


そう言い終えると、彼は低く唸るように鼻を鳴らし、唇を歪めた。

まるで過去の忌まわしい記憶を思い出したかのように。


「私も頭痛いわよ、そういうタイプにはね。

だって、数ヶ月前くらいに『そういう』女の子が一人現れて、エリゼを容赦なくいじめ抜いてたんだもの」


アルティシアはそう言いながら、ねっとりとした長いため息で言葉を締めくくった。

みんなの言葉を聞いて、エスタは言葉を失った。

口が水没したように、何も言えなくなってしまった。

これは明らかに『前世の記憶を持つ者』たちの被害者サミットじゃない……!

(リースは……まさか私の被害者じゃないよね? 違うよね?)

エスタは心の中でそう思いながら、恥ずかしさでドキドキする胸を必死に抑え込んだ。

だが、部屋の中の視線が徐々に、一人だけずっと黙っていた人物へと集まっていく。

老修道士ラントンは自分が注視されていることに気づくと、低く太い声で呟いた。


「俺が会ったのは、あのランタナ婆さんだ。金髪の剣の姫様さ。あのババアが俺に英雄の名を押し付けて……王に婚姻を願い出るしか逃げ道がなくなっちまったんだ」


老修道士ラントンはそう言いながら、優しく孫娘の頭を撫でた。


「ランタナ婆さんが前世の記憶を語り始めた日……それは髪が金色に変わった日だった。

お前も同じだ。

髪が金色に変わったその日から、俺は恐ろしくてたまらなかった。お前がランタナ婆の生まれ変わりなんじゃないかってな。

だが、お前が違うとわかった瞬間……俺は心底、嬉しかったよ」


彼は大きくため息をついてから、もう一言を続けた。


「だが結局、お前もあの婆さんと同じように、問題を起こすのが大好きだな!」


だが、視線を合わせたのはほんの一瞬だけだった。

エスタは再び顔を伏せ、苦々しい声で呟いた。.


「でも、もう遅いんです…リースはあの邪悪なものに触れてしまったから…闇に堕ちて、アッシュズ公爵になって…それから、もっともっと酷いことをたくさんしてしまうんです」


エスタの瞳が涙でぼやけ始めた。

夢の中で見た貴族の正装をまとったリースの姿が、頭の中で何度も繰り返し浮かんでくる。

ここにいるみんなが「大丈夫だよ」と言ってくれても、今のエスタの心はもうボロボロに砕け散っていた。

まるで、本当にリースを失ってしまったかのように。

だがその時、彼女を抱きしめていたマリッサが、優しく体を揺らしてエスタを現実に戻した。

そして、穏やかな声で言葉を紡ぎ始める。


「だからこそ、私たちにはあなたが必要なのよ」


「え?」


エスタが涙声で小さく漏らしたその瞬間、マリッサは優しく言葉を続けた。


「冒険者としての手段ではどうにもならない以上。 ここからは貴族としてのやり方で動くしかないわね」


マリッサはそっと腕を解き、エスタの正面へと移動した。

彼女は鋭く輝く瞳でエスタを見つめ、その視線の中には聖剣が宿っているかのような鋭さを湛えていた。


「あなたの前世の記憶の中には……『あいつら』の『場所』も入ってるわよね?」


まるで奇跡の力のように、マリッサの声がエスタの不安をすべて払拭してしまった。

エスタはマリッサの言葉に、はっきりと返事をする。


「はい、あります」


「よし。リースとエリゼを、無事に連れ戻すことを約束するわ」


だがその瞬間、マリッサの視線が変わった。

その目つきに、エスタは体が震えるほど抗えない圧力を感じた。


「それに、エスタ。男のこと、もう少しペースを落としなさい」


「………」

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