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社畜はスローライフの仕方がわからない  作者: 真白 歩宙


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キメラの雷鳥さがし 28

「実はお2人に説明しておきたい事があります。この黒い後、モンキーチキンの血痕です」

「使役されてるのなら血なんて‥‥」

「ジユさん、そうなんです。普通なら血痕なんて付かない。これは、モンキーチキンのSOSです。腕輪を付けている以上命令には逆らえないけど、お世話になった農園の食べ物をこれ以上荒らしたくないと思っているモンキーチキンは仲間を守るためにも、冒険者に意思表示を残したんです」


 それを聞いたアプランさんは、そうだったのかと葡萄の葉っぱを見ながら項垂れ、そしてゆっくりと話し始めてくれた。


「私どもの農園はここ数年、ずっと農薬を使っていないのです。虫が付かないから‥‥以前は、少しの作物が無くなる程度だったので、駆除も考えませんでした。そんな時期に被るように、虫が作物に付かなくなったんです」

「まさか、奴らが虫を駆除していてくれたっていうんですか?!」


 ジユさんが驚いてアプランさんに聞き返したけど、それに答えたのはファルだった。


「モンキーチキンの好物は、昆虫なんだよね。草を食べるピョンピョン虫から、芋虫、どれも貴重な栄養らしくって。たまに果実や作物を食べるらしいけど、農園には最高の魔獣だから、依頼内容が不自然でさ」


 恐るべし、冒険者のあるある常識と思っていたら、ルートがアプランさんに交渉を始めた。


「このままモンキーチキンを駆除したら、ここの農園は虫駆除剤を使うことになるだろう。味も落ちるし、値も落ちる。但し、農園主がモンキーチキンを許して保護するなら、彼らは理想的な協力魔獣として農園を守ってくれる」


 農園主としての答えを出せと、アプランさんと小作人長のジユさんに切り出している。


「俺は思い違いをしていたんだな、まさか、あいつ等がそんな事をしてくれていたなんて。駆除なんかできないぜ」

「そうだな、ジユ。我々は魔獣というだけで、嫌悪してしまっていた。不勉強だったのは我々なのに。恩恵を受けていたのに」


 感情的だったジユさんが反省して、アプランさんが本来のモンキーチキンの姿を知って、過去の彼らの働きに感謝して涙した。


「ルート殿、ファル殿、ヒマリ殿、どうかモンキーチキンを助けてやってくれませんか。傷を負っているなら、手当もしてやりたいし、空いている小屋があるから、そこを彼らの拠点にしてもらってもいい」


 アプランさんの心からのお願いにルートは黙って頷き、ファルはニッコリ良かったと魔法陣を起動させた。


「その依頼、受けた。これから使役者の討伐に行く」

「さ、追跡魔法で追うから、ヒマリもこっちに来て」


 ようやく整ったとばかりに、ルートもファルも生き生きとしていた。


ここまで読んで下さって、ありがとうございます。

貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。

読んで頂けることが、執筆活動の励みになります。

誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。

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