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社畜はスローライフの仕方がわからない  作者: 真白 歩宙


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キメラの雷鳥さがし 21

 雑多な賑わいの冒険者ギルド。入口の扉を開けて入ると、一瞬視線が集まり再び各々の話に戻っていく。ギルドのこの空気感、最初の受付を彷彿させた。


「ねぇ、この依頼じゃない?うわーこの報酬金じゃ誰も受けないよ。」

「北区の葡萄農園の依頼。モンキーチキンの駆除。依頼主はソコア、この人ね」


 ファルが報酬金額が割に合わないから、今まで残っていたのだと言う。そんな依頼書をサッと取り外し、受付に持って行ってしまうルート。

 受付嬢が報酬金額の少なさを確認している。

 通常、割に合わない依頼は、受付で確認し、慈善活動の一種として扱われるという。要は、人格者ポイントに追加されて一定の基準を満たすと、お金より栄誉を取る素晴らしい人格者のパーティーとして登録データに記録されるのだとか。


「ルート、この依頼は何で割りに合わないの?」


 冒険者ギルドで依頼を受けた後、もう一人の探し人の所へ向かっていた。

 ナフヴァーロのラノ商人は、鑑定をした時に東地区の居酒屋に居た筈だ。それをルートに伝えると、宿屋に増設された居酒屋ではなく、いわゆる商人や旅人が情報交換するような酒場に居たという。


「居酒屋に種類があるの?私の世界にもいろんな種類のお酒を飲む場所があったけど、こっちの世界と少し勝手が違うのかな?」


 どう違うと言われても、私自身が新人歓迎会とか歓送迎会とか、友人と飲みに行くbarぐらいしか知らない。まるで、RPGゲームの飲み屋とか酒場的な情報収集用の酒場があるとは驚きだ。

 大通りの冒険者ギルドから東地区の中に入り、目的の酒場を見つけた。コロラージュと書かれた看板は記憶に新しい。簡素なテーブルだけが並んだ立ち飲み屋だった筈だ。

 そう思えた酒場に、夜は椅子が設置されるのか座って酒を飲んで話し合う商人や職人、冒険者が集っている。


「ヒマリ、頼めるか?」

「分かったわ」


 すぐさま鑑定を始めて、全員の情報を手に入れる。


「あの人がラノさんね」

「ヒマリはファルとカウンターに居てくれ」


 直ぐ近くのカウンターを指さして、ルートはラノさんの居るテーブルに声をかけた。


「マスター、葡萄のジュースを1つ頼むよ。私にはエールを」


 オーダーに頷いてジュースとエールを出すコロラージュのマスター。耳をそばだてていると、近くのルート達の声が聞こえてくる。


「あんたの訛りはナフヴァーロか?」

「おや?同郷かい?」

「ああ。シオンヒークの片田舎の出でな。同郷の言葉を聞いて懐かしく思ってしまってな、一杯奢らせてくれないか?」


 無口だと思っていたルートが饒舌なのも驚いたけど、コミュニケーション能力高くない?!

 あれよあれよという間に、ラノ商人の居るテーブルに溶け込んでいる。


読んで下さって、ありがとうございます。

毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。

貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。

誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。



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