キメラの雷鳥さがし 5
ルートはギルドの冒険者プレートを手渡してきた。まるで軍人の認識票のような感じで、名前と職業や出身国が書いてあり、色はシルバーだった。
「シオンヒークのジスタノ王に頼んで、ヒマリの出身を作ってもらった」
「え?!」
「あーなるほどね。この世界の人間で鑑定士だったら、いくら優秀だといっても能力に限界があるもんね。だからシルバーなわけだ」
『あら、私にはルートとファルのプレートと同質に見えるわ』
ハンゾウ長老もトゥルエノのも同じように感じると口を揃えて言っている。それに突っ込んだのはファルだった。
妙に納得した様に、あーなるほどねとか、そういうことかとか言っている。
「王とギルドマスターに相談して、3人でB級用のものを3つ作ってもらった」
どういうこと?潜入捜査っぽく、身分も偽るとか?
「今回は敵や精霊の目から見て、俺達が銀プレートのB級冒険者の方が都合が良いってこと。だから、俺達も銀プレートを身につけて、本当のプラチナプレートは収納魔法の中に隠してあるんだよ」
「ドリアードとホミバードはヒマリの召喚精霊を装ってくれ」
ルートの言葉に頷いて了承するラレーヌとハンゾウ長老。私だけ理解が追いついていない。
「はは、まさか召喚士に仕立てちゃうって、そっちのB級ね」
「ルート、ファル、私は戦えないよ?!」
『戦うのはこっちで勝手にやるからポーズだけお願いね、ヒマリ』
いやいやいや、無理でしょ!
いくらラレーヌやハンゾウ長老が戦ってくれるといっても、私自身に闘争心が無いもの!しかも、ノミの心臓と言うくらい小心者なのだから。
「カモフラージュはこのくらいか」
「召喚士の格好に似せた物を着させてみる?」
なら夜に調達しに行ってくると言い出すルートに、良い服あるよと収納魔法から出した服を並べていくファル。
そうでした‥‥道具屋をやっていたから、ある程度の日曜雑貨は品揃え豊富なのよね。
明日にでもグランラードに出発するため、夕食までの間にルートとファルによって衣装合わせが始まった。
『良いわね!とっても素敵よ!』
この世界の召喚士は、私のイメージしていた格好と異なった。濃紺に銀糸の刺繍がされているローブを纏ているのだけど、中はフリフリの花をモチーフにしたカクテルドレスっぽい装いで、可愛い靴はローブと同じ色。
この歳で、こんなメルヘンな恰好をすることになるとは‥‥。
『良く似合ってるわよ、ヒマリはこの世界に来てから年相応に見えないくらい若返っているの、気付かない?』
喋り方や思考も、少しずつこちらに来る前の状態と変わってくるのだと、ラレーヌは笑顔だ。
ここでどうして笑顔なのか‥‥問いたいところだけど。秘密らしい。
「確かに、此処に来る前は、もっと小難しく考えていた気がするかも」
「良いんじゃない?ヒマリの心が自由って感じでさ!」
ご尤もだけど、これで会社に復帰したら、何方様ですか?なんて言われかねない。
「とにかく、キメラの雷鳥を探しましょ!きっと寂しい思いをしているから」
いろいろ心配はあるけど、先ずはグランラードの状態を知りたいと思った。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




