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社畜はスローライフの仕方がわからない  作者: 真白 歩宙


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キメラの雷鳥さがし 3

「ところで、昨日の夜に話に出ていた、ヒマリ精霊ギルドって何?」

「ああ、ヒマリは精霊に好かれているし、常に誰かしら協力しているからさ、ヒマリ自体がグループの中心っていうか、旗印みたいな感じだよね。それで、だんだん軍団っぽくなってるから、そう表現してみたんだけど、ネーミングが悪かった?」


 そうファルに茶化されてしまったけど、確かにホミバードも卵が孵って1つの団体が大きくなっている。ラレーヌのドリアードがどのぐらいの集団なのかは皆目見当もつかない。

 そんな事を考えつつ、ハンゾウ長老にルートはずっと調査に行っているのかと聞いてみた。


『昨夜、ヒマリ様が寝る時に帰られましたぞ』

「そうだよね。でもそれ以外はずっと調査中でしょ?ルート、調べものに時間が必要なのかな‥‥」


 ハンゾウ長老の言った通り、夕べも私が眠る頃に帰って来て、私のトラウマが出ない様に傍で過ごしてくれてから、また出かけたようだった。


『そろそろお戻りになるようですぞ』

「ありがとう!」


 彼が戻るということは、ルートの情報網で何か情報が掴めたのかもしれない。S級冒険者は腕前もだけど、持っている情報の伝手が凄いのだとファルが昨日教えてくれた。


「‥‥ヒマリ、少し不味い事になっている」

「ルート?」


 ファルやラレーヌとハンゾウ長老だけでなく、トゥルエノのまで呼んで話始めたルートは、眉間に皺を寄せて難しそうな顔をしている。


「ギルドの上層部で奴隷販売と精霊販売の案件が依頼に出されようとしている。この2つの件は違う様に見えて同じ時期に蔓延っている案件だ」

『精霊販売だと?!』

「奴隷販売が行われているのはゾフランだったよね?精霊販売ってそんな精霊を敵に回すような事をしている者達がいると、ギルドはそこまでの情報を持っているんだ?」


 各地に拠点を持っているギルドは、国絡みの案件を請け負う事が多い。ルートが調べたのは、精霊の幼体が各地で消えている事件が多発していること。そして、許可していない国で奴隷販売も行われている情報だった。


「ヒマリは安全な場所で待っていてもらった方が良さそうだ」

「どうして?卵が孵っていたら、私の鑑定が無いと見分けられないのでは?」

「ヒマリ、奴隷ってさ、かなり惨いんだよ」


 ファルもラレーヌ達やトゥルエノも口を噤んでしまった。ハンゾウ長老は目まで閉じている。これは、私に聞かせたくない話なのかと、ルートに視線をやると‥‥


「ここ数カ月、奴隷として見つかったのが、異世界人だからだ」


 かなりショッキングな内容に、顏が引き攣ってしまう。 


「ここで、もう一つ私からも報告があるんだけど‥‥後にした方が良さそうね」


 ラレーヌが申し訳なさそうに報告しようとしているけど、何だか物凄く嫌な予感がして、ルートの上着をぎゅっと掴んでしまった。


読んで下さって、ありがとうございます。

毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。

貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。

誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。



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