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社畜はスローライフの仕方がわからない  作者: 真白 歩宙


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ワイバーン事件 2

「あれがワイバーンだったなんて、恐竜かと思った!死ぬかと思ったわ‥‥」

「へぇ、ヒマリの世界にはワイバーンに似た恐竜がいるんだ!」

「いない!そんなのいたら、平和なんて言ってられない!」


 娯楽で映画やテレビという映像で、役を演じる俳優や映像を駆使して作られた創造の世界の物だと説明するのに、酷く時間を割いてしまった。

 しかも、あれから白い転移魔法陣を数個、赤い未作動の転移魔法陣を調べた。特に、赤い未作動の転移魔法陣は、ファルが作動するギリギリのボーダーラインを割り出して、私が鑑定するといった感じだった。


「ルート、ご褒美を絶対に頂戴よね?」

「分かっている。好きな物を言ってみろ」


 急に言われても思い浮かばない。というか、今欲しいのは安眠だ。あんな巨大な羽の生えたトカゲに襲われそうになった日の夜なんて、きっと、夢見が悪いに決まっている。

 そもそも、ルートが転移魔法陣が作動している時の鑑定なんて無理難題を言わなければ、夢見もこのドキドキした震えも何もなかったのだから!


「奴が出てきたら、叩き斬る。作動している時の鑑定をしてくれないか?」


 社畜の私は知っている!!その疑問詞に、選択の余地がない事を!


 それから数回‥‥恐怖心と戦いながら、転移魔法陣をワザと作動させて光った瞬間を鑑定するのに、5回ほどタイミングをずらしてしまい、6回もの恐怖を乗り越えて結果を得た。


『話は長くなるな、雷鳴の宮殿に部屋を用意させよう』


 少し高度が下がった場所まで飛んで行き、宮殿の入口で出迎えた雷鳥たちが頭を下げて平伏している。雷鳥様、王と呼んだ方が良いのかな、雷鳥王の帰還に喜んでいるようだった。


『父上!』

『王子よ、変わりないか?』

『ありませんが、皆‥‥自分が婚約者だというのです』


 悲しそうに言う雷鳥の王子は、首を振ってやるせない表情でいる。これは、精神的に良くない状況かもしれない。

 そんな王子の前を通り過ぎつつ、私達は案内された部屋に行くことにした。


「雷鳥様、雷鳥様方は婚約者を見極める何かがあるのですか?」

『‥‥‥強いて言うなら、絆だ』


 帰って来た答えは、なかなかに目に見えない物だった。私は鑑定結果を思い出しながら、


――――――――――――――――――――――――――――

雷鳥の卵

個体:雷鳥の卵の欠片

種族:キメラの雷鳥(王子が選んだ卵)

属性:雷・炎・水

相乗効果:

仲間になると属性を付与できる個体もいる

悩み事:

孵化している最中に襲われた

――――――――――――――――――――――――――――


 種族の所に、王子が選んだ卵と書かれていたのを思い出し、それが絆というものではないかと1人勝手に納得してしまった。

 この卵の事は、後で話そうと思いながら‥‥


読んで下さって、ありがとうございます。

毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。

貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。

誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。



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