加護の威力 2
巨大な岩は辺り一面を爆風で吹っ飛ばした。
ゾフランの魔導士と騎士が、岩に向かって切りつけたり魔法を放っているけど、岩はびくともしなかった。
「ゾフランは精霊信仰のない国家だから、タイタンの恐ろしさを知らないんだよね。今日知ることになるとおもうけどさ」
「ヒマリ様、お茶でも如何ですか、これ以上は御目汚しになると思いますので」
セバスさんの勧めで、テーブルの方へ移動しようとした時にそれは起こった。
ドガガ—――ン!
「何?!」
驚いて画面を見たら、魔法を立て続けに喰らっていた岩が爆発して、辺りを吹っ飛ばしたのだとファルが実況中継のように教えてくれた。
「タイタンの加護は防御だと思われがちだが、攻防一体の防御が特徴だ」
「ルート様、何か軽食でもお持ちしましょうか?」
「いや、直にザラファノが戻ったら夕食だろ?俺は構わないが、ヒマリはこの音や現状を見ながら食べる勇気はないだろう」
確かに、画面の惨劇が凄すぎて、紅茶も喉を通らなさそう。セバスさんが心配そうに私を見ているけど、ルートが移動した先のテーブルの席で来るように呼んでいる。
「ルート、攻防一体の防御って何?」
ルートの傍に行くと、手を取って引き寄せられた。そのままルートの膝の上に座らされてしまった。慌てて立とうとしたら、腰に手を回されて動けなくなってしまう。
「ルート、恥ずかしいんだけど‥‥」
「そうか?」
「ヒマリ、タイタンの攻防一体の防御教わるんでしょ?あの精霊の防御って結構面白いよ?」
ファルは自然と話しかけているけど、私は気が気でないくらい恥ずかしい。なのに、そうかの一言ですましてテーブルに角砂糖をちりばめている。
「ルート、この角砂糖は?」
「タイタンの眷族たちだ。タイタンは攻撃されれば攻撃をし返す。そして、攻撃で勝ち取った地は彼らの戦利品だ」
「え?!」
驚いて振り向いたら、目の前にルートの顔があって‥‥妙に意識してしまう。微妙に、心臓に悪い。
「さっき、ゾフランの奴らは自分の国境から攻撃として砲弾を使った。だから、同じようにタイタンは大岩の攻撃をゾフラン陣営に放った。爆撃された土地はその場でタイタンの物になる」
「ちなみに、飛んだ大岩に対しても攻撃しちゃうと、弾けて岩が増えていくんだよ!そして、その弾け飛んだ岩がタイタンの土地になるわけ」
「こわっ!」
ルートとファルの結論は、無限増殖による攻防で陣地を拡大する精霊だという。
「無敵じゃない」
「いや、攻撃さえしなければ、無駄に増えないし温厚な精霊だ」
「水に弱いけど、今回はウンディーネも参加して助力しているみたいだし、ゾフランは絶望的だね」
ほら、と指さされた画面で、水魔法を駆使しようとした魔導士の魔力が発動していない。
精霊、敵に回してはいけないのでは?と思った瞬間だった。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




