精霊の祝福 2
荘厳な景色の中、祭司が精霊達に向かって恩恵と感謝の意を読み上げ、新郎新婦のファレンシア王女とブロファル宰相を紹介した。
2人は大聖堂の中央の道を歩きながら、建物の左右にある台座に頭を下げて礼を尽くしていく。
「礼を尽くした時に、精霊側に願いをかなえる意志があるなら、挨拶と共に光が放たれるはずだ」
「凄い儀式なのね‥‥」
ああ、だから精霊が降り立つ数が、国の威信になると言われているのか。見れば、風の精霊シルフと岩の精霊タイタンが意志を示したようだった。
「ハッシュフル王国は戦争を好みません。悪しき考えの者は粛清されて、国民は精霊のその恩恵に感謝して日々を過ごしています。どうか国を侵略の間の手から守って頂きたいのです」
ファレンシア王女が国の状況を説明して、後ろに控えているブロファル宰相が頷いている。後は精霊が承諾するだけらしいけど、シルフとタイタンが何か王女に喋りかけている。
『人の子よ、国を守って欲しいと説くが、我々に害す者を我々は守りはしない。如何なる理由があろうとも、今後精霊に弓引く者があれあば、我々の加護は消えると心しなさい』
『我はタイタン。シルフが許すのなら力を授けよう。但し、我らが存在できる地を用意するが良い』
「風の精霊シルフ様、地の精霊タイタン様、この国の悪しき者がした事は忘れずに肝に銘じます。そして、精霊の加護に日々守られている生活があることも忘れていません。どうか、国民を守るために偉大なお力でご守護下さいますよう、お願い申し上げます」
『今一度機会を授けましょう。我等の眷族が招致される場所を示しなさい。婚儀の祝福として加護を!』
「ありがとうございます。風の精霊シルフ様、地の精霊タイタン様」
頭に響くようなやり取りの後、ドリアードとホワイトミニバードが現れ、招致の地が受け継がれた。
「ラレーヌとハンゾウ長老?!」
忙しいと聞いていたけど、こんなに凄いことになっていたとは。
『我等の守りし土地は、四大精霊のシルフと上位精霊のタイタンに受け継がれた』
『これより数日の間に、タイタンの谷が完成し、シルフの渓谷と呼ばれる地ができるだろう』
精霊タイタンの声は、お腹に響いてくるような力強さがあった。シルフは感覚が研ぎ澄まされるような感じだ。
タイタンは岩なので、表情は分かりにくかったけど、とても優しそうな感じがする。
「ありがとうございます。謹んで感謝申し上げ、招致した地を大切に管理させて頂きます」
王女の礼によって、合意され、辺りに金粉が舞い始めた。




