王女の結婚式 2
「綺麗で荘厳ね。花嫁は白い騎士服にマントを付けた騎士に囲まれて登場しているけど、お父さんでは無いの?」
「ん?ヒマリの国は父親が手を引くのか?」
「そうよ。ウェディングドレスを着て父親にエスコートされて、旦那さんに引き継ぐの。でも、騎士の方々に守られての入場も素敵ね」
「ヒマリ様、ファレンシア王女のドレス素敵ですね!」
「そうね、王女様らしいフワフワの花の花びらのような素敵なドレスね。イメージが王女様にピッタリで可憐だわ!」
デコルテが大きく開いてはいるけど、薄いレースが花びらの様に重なって肩から胸元を見えにくくしている。大人なデザインを王女様のイメージに合わせるように、デコルテを飾り立てて、花の妖精のようだ。
清楚で可憐。そんな衣装でブロファル宰相の元へゆっくり進んでいく姿は、息を呑むくらい美しかった。何よりも、大好きな思い人との結婚が、王女の幸せな表情と共に、美しさを際立たせている。
「ブロファル宰相って35歳でしたわよね」
「ファレンシア王女は18歳だから、17歳差ですけど‥‥ありですわね!!」
「たしか、ブロファル宰相には16歳になるご子息がいらした筈ですわ」
「ご子息と2つしか違わない王族後妻というのも、複雑ですわね」
メイド達の会話で物凄い情報が入って来て、画面に映る王女と宰相の笑顔が素直に見れなくなりそうだ。日本でもそういったケースは良く耳にするけど。純粋にお祝いをしたいと、少し残念な気持ちになった。
「その根拠の無い下品な憶測を止めないなら、今すぐ用事を言いつけましょうかね」
「セ‥‥セバス様、すみません!」
「申し訳ございません」
セバスさんがコホンと咳払いをして、私の傍に立った。目が合うと笑顔で冷たいジュースを入れてくれる。
「私は結婚式の美しい光景を見るのが楽しみなのです。皆、幸せを信じて歩みだすのですから」
「そうね、私も好き。2人の笑顔は本物だと思う。憧れるわ!」
「ヒマリは結婚に憧れているの?社畜だから考えて無いと思ったよ!」
「ファルの意地悪!私も一応女なんだけど?こういった結婚式は憧れるわよ。純白のウェディングドレスって本当に夢よ!夢!考えない訳ないじゃない」
意地悪く突っ込んできたファルの冗談に、本気で切り返して自己嫌悪に陥る。まぁ、自分が今まで仕事に追われて恋愛とか自分の時間を疎かにしてきたから、寂しく思えてしまうのだけど。
「ヒマリがこういった結婚式を望んでいたとは」
「ルート?」
「今から結婚証明書の記入をする、ここからヒマリの国に無い現象が起こるぞ」
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




