ログナージの立場 2
「それで、何でこんな所に来てるのさ?」
「お前は妹のファレンシア王女の結婚式の準備で忙しいんじゃないのか?」
「‥‥‥‥のんびりしていたら、お前たちがヒマリを連れて行ってしまうじゃないか」
今のは建前的な言い方だと、私でも分かった。ゼノン侯爵の件をあれだけ早く治めた彼が、意味もなく遠出するなんてありえないと思う。
「殿下、別件で動いていながら私への不埒な真似をついでに起こすなんて、内容をしっかり説明して頂かないと納得できません」
さぁ、話せ!とばかりに詰め寄ったら、私達に話しかけてくる一行が近寄った。
「お話し中、すみません。僕はマロクウェルと申します。父がファレンシア王女と婚儀をあげるまで、国外に出ているログナージ殿下に付き添うように言われ、ようやく追いついた付き人と護衛です」
「父?お前、宰相の息子か‥‥ハァ‥‥。俺はルート、こっちがファルで、ヒマリだ」
「どうやら、殿下が多大なご迷惑をおかけしたようで」
ブロファル宰相の息子さんは、とても良識がありそうな好青年に感じられた。マロクウェルと名乗った青年は5人の護衛と一緒にログナージ殿下を追いかけて来たという。
途中、エスタリークの姿に変装する彼に手こずりながらも、追跡魔法でここまでやってきたと説明してくれた。
「で、何で宰相の息子と国王の息子がここに居る?」
「より強力な精霊契約の為に、国内にいるAランク以上の魔導士に近くの国に待機してもらい。それ以下の者で、元トレントの森を死守する攻防を3日間ほど続けておりまして、あと数日堪えれば、婚儀の儀式をした際に、強力な精霊に国境となる元トレントの北の大地に来てもらえます」
「もしかして、上位精霊が守らなくてはならない程の大地と精霊に思ってもらうために、魔力が高い殿下やAランク以上の魔導士を国外に避難させているの?」
「そうです。殿下から説明されませんでしたか?」
キリリとした目でログナージ殿下を見る彼は、殿下がしっかりと説明しているであろうと信じ切っている様子だ。この真っすぐな視線を残念な状態にするのは、少し気が引けてしまう。
「ヒマリ、真実を捻じ曲げても良い事にはならない。この場合、もっとややこしくなるぞ」
「殿下は真夜中にヒマリの部屋の鍵を勝手に開けて不埒な真似を働こうとして、今まで私達から説教を喰らってたから説明なんてしていないって本音で言わないとね」
口を開けたまま驚いているマロクウェル君も、騎士達も悪くない。
「我々の告白の文化は特殊だと父から聞いています。他の国とも国交を開いている以上、常識的な付き合いを求められることも承知していますが、殿下は王族であられるのでお許しください、ヒマリ様」
「マロクウェル君、君が謝る問題じゃないから。それに、私は彼を許していないし、私の意志を無視した求婚なんて却下だし、ルートとファルが絶対阻止してくれるから」
怪我されたくなかったら、しっかり綱で縛っておいてと言ったら、マロクウェル君と護衛全員にドン引きされてしまった。
宿屋の食堂で、自分より年下の男の子に説教される魔導士姿の男って、周りの冒険者やシオンヒークの騎士達もかなりドン引きで、何とも言えない目で見ていたわね。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




