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社畜はスローライフの仕方がわからない  作者: 真白 歩宙


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シオンヒークの騎士達 1

 宿屋について、お風呂に入ってご飯を食べていたら、ルート達はいろいろな騎士から挨拶をされていた。その度に紹介されて奢りだと一品追加されるので、ご飯の時間が長引いてしまったくらいだ。それ以前に、太るかも知れない危機感があるけど。

 でも、親しみを込めて挨拶されている2人を見ていると、心がなんとなく温かくなる感じがした。


「もしよかったら、このデザートもどうぞお嬢さん、オレはザラファノ」

「ありがとうございます。では、一つ頂きます」


 丸い揚げ団子にキラキラ光る砂糖がかかった、ドーナツのような食べ物を1つ摘まんで食べてみる。爽やかな柑橘系の香りが、口いっぱいに広がってキラキラ光る砂糖が弾けている。

 面白い食べ物に、目が丸くなってルートとファルを見ると、2人も美味しそうに食べている。


「この国の名物で、味が美味しいし弾ける感じも面白いから気に入ってるんだけど、ヒマリも気に入ったみたいだね」

「砂糖が弾けるのはビックリしたわ。とても良い香りで美味しい!」

「ザラファノ、お前達がこのクオシールに来ているという事は、少し前まで緊迫した状態だったのか?」

「そうですね。あのログナージ殿下が王太子を辞退し、ファレンシア王女に立太子をさせて宰相と婚約させるとは。事態はそこから変わりましたからね。こっちはホッとしてますよ」


 黙って聞いていたけど、あのログナージ殿下がやった事なの?と驚いた。エサル王なら‥‥そう考えて、最後の抜け殻の様になったあの王様に、これだけの事を短期間で治めることは難しいと考え、本当にあの殿下がやったのだと、少しだけ見直した。


「ヒマリ、少しここに滞在するか?それとも次へ行くか‥‥」

「あの2人が戻ってから行くのはダメかな?」

「いや、その方があっちも動きやすいかもしれん」

「滞在するなら、オレが間借りしている屋敷に来られますか?この城塞都市の北側の地区で見晴らしの良い屋敷ですよ」


 ルートは少し考えて、明日から頼むとお願いした。

 宿屋に戻って、アレコレ考えたかったけど、2人から直ぐに休むように言われてしまい、仕方なく部屋に入ることにした。


「お休み、ルート、ファル」


 馬での移動で疲れ切っていたのか、私は直ぐに深い眠りについた。


 真夜中、ドアをノックする音が聞こえて、ルートかファルが何か用事でもあるのかとドアを開けようとしたら、コタロウが騒ぎだした。


『開けてはなりません!ルート殿を呼んできます!絶対に開けないで下さい』

「何?何、開けるなって、ホラーちっくなんだけど?」


 怖くて後退りしたら、カチリと音がしてドアが勝手に開いてしまった。


「何?ドアが勝手に開いてる、ありえないっ‥‥」


 怖がって逃げようとしたら、後ろから抱きしめられて捕まってしまった。声を上げようとしたら、声が出ない‥‥


「‥‥」


 何、この既視感。


「ああ、会いたかった、ヒマリ」

「‥‥(ログナージ殿下、何でこんなところに?!)」

「おい、俺は‥‥ヒマリに何度も変な魔法をかけるなって言ったよな?」


 ルートの拳が頬にクリティカルヒットしているのに、私を話そうとしない変態王子。最早、ホラーな状況でファルも起きて来た。

 コタロウが私の肩に舞い降りて、頬にそっと嘴をくっつけた。


「ルート!って、あれ?声が出る!」

『外道な魔法は解除しました』

「コタロウ、凄い!」


 鳥にしておくのは勿体ないくらいの出来る鳥。

 私が感動している間に、ガコッと変な音がしてログナージ殿下が簀巻き状態になっている。


「こいつはここの部屋に隔離だ。悪いがヒマリは俺と一緒の部屋で大丈夫か?」

「え?男の人と‥‥」

「ルートの所で寝ないと、これが行くかも知れないよ?」

「是非も無し!よろしくお願いします!」


 やっぱり、この世界で安全なのは、ルートの傍なのだと再認識した夜だった。


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