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社畜はスローライフの仕方がわからない  作者: 真白 歩宙


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ログナージの奇計 1

 私達が右手に山脈を眺めながら、北から西南へ進んでいると、道の至る所に道しるべのような物が設置されていた。”ここからシオンヒーク”なんて道しるべがされている。


「国境って仕切られていないのね、ちょっと意外」

「トルリアーナ・グランラード・シオンヒーク・ハッシュフル王国・トランジットの5カ国間は軽い標識で区切っているだけで、重たい国境警備なんて無いよ。この5カ国は精霊信仰がある国で、精霊同士が取持っているからさ」


 精霊同士の取持つ国境、なかなか凄いことだと思う。聞けば、国境付近に住む民には税金を免除しているらしい。暗黙の了解なのか、辺境の地に住む不便さの代わりに納税免除という形らしい。

 納税免除を皆がするのではと思ったけど、しっかり規定はあるようで、便利さを求めて市民になる者は多い。


ヒヒ―――ン!


「朝から30台は通り過ぎている気がするんだけど」

『貴族と商家の馬車がシオンヒークに36台で、黒い紋章入りの馬車が貴族です』


 私の肩に乗って、馬車の台数を調べているコタロウは、ちょっと精悍な顔つきをしている感じだった。鳥相手にイケメンとかどうだろうと思われるかも知れないけれど、人間に擬態したらきっとカッコイイと思うのよね。

 それにしても、あの2人は大丈夫かしら?


「ホミバード、今のハッシュフル王国の城や首都コラッテの状況は分かるか?」

「コタロウ、出来ればハンゾウ長老とラレーヌが何をしているかも知りたいのだけど‥‥心配なの」


 しばらくしてから、コタロウが話した内容は驚くものだった。

 ブロファル宰相とファレンシア王女が婚約し、宰相ブロファルが次代の王配となってファレンシア女王を支えられるようにエサル王から指南を受けているという。


「こりゃ、精霊の祝福を受けて、戦争を回避する為の布石だな」

「何それ?!」

「精霊を信仰する王族の結婚には、精霊の加護が付与されるんだよ。通称、精霊の祝福って言われているんだけどね。多分、エスタ‥‥ログナージは国政より国を守る戦力に自分の身を置いたのかも」

『ファレンシア王女が誘拐された事で、グランラードの王族から婚約を保留にする話が出ため、第二王女のセレンティーナ姫が代わりに輿入れされること。』


 誘拐されただけで婚約破棄の決定と、直ぐにセレンティーナ姫に切り替えることに驚いていると、ファルは普通だという。


「微妙‥‥国の為とはいえ、物凄く不毛に感じる」

『悲劇でもなさそうです。セレンティーナ様とグランラード国の第二王子は留学先で出逢っているのです。そして、ファレンシア王女の懸想する相手はブロファル宰相だったのをログナージ殿下は知っていて、今回の奇策に出たと』


 確かに記憶にあるブロファル宰相は、長身で洗練された仕草と金髪に切れ長の碧眼。そして、賢い大人で強かな部分を持っている男性だと記憶している。おそらく30代だと思われる彼を懸想する18歳の少女。


『ブロファル宰相は15歳になる子息、跡継ぎがいますが奥方は4年前に亡くなられています。36歳で王女とは倍の年の差です』

「歳の差婚なのね。ブロファル宰相は寡黙な方よね?」


 私の記憶では、寡黙な感じで周りの動向を良く見る感じの方だったような。医官の丸投げ言葉と王子の急な告白で彼の印象は、全部一緒になってしまっている。


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