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出発は冒険者ギルドだった

異世界での手続きです。

 トンネルを抜けると雪国だったというフレーズは知っているけど、防火扉を通ったら昼間の異世界で、ギルドの受付だった‥‥のね。


「ようこそ、ハッシュフル王国の冒険者ギルドへ!」

「初めまして?えっと、こんにちはで良いのかしら?」


 ガヤガヤと騒めく人込みが一瞬だけ静かになり、その視線を奪ったのが自分だと気付く。小さく会釈(えしゃく)すると、何事も無かったように冒険者達は『依頼内容』という掲示板を見ながら話し始めている。

 ゲームや物語に出てくる雰囲気と推測されるカウンターや、隣に隣接された斡旋所のような相談窓口など、初めて見るような物ばかりでキョロキョロと見まわしてしまった。


「こちらへどうぞ。」


 斡旋所と書かれたカウンターの女性が手招きで、自分の前の椅子に座る様に促している。

 誘われるまま、彼女の目の前に座ると私のステータスが開示された。丁度、彼女からも私からも見える横の衝立部分に表示されている。


「初めまして、ミセルと申します。此方(異世界)へ来るのは初めてですか?」

「ええ。初めましてミセルさん。東峰(とうみね) 灯鞠(ひまり)と申します」

「此方は貴族以外は名前のみなので、ヒマリと登録しても良いですか?」

「かまいません」


 本当に最初の登録のような会話なので、少しホッとしながらもミセルさんの説明の中に、この国の情報がチラホラと盛り込まれている事に気付いた。

 成程、自然な形で現状把握できるようになっているのね。そこまで考えて、ついつい分析癖が出ている事に気が付いた。


「ヒマリ様、どうかしましたか?」

「ごめんなさい。つい、言われた事とか今の現状とかの分析をしてしまって‥‥」

「ああ、ヒマリ様のように『休む』や『休暇』といった目的の方は、よくそういった事をなされますね。確か、ワーカーホリックでしたか?『日本』ではそう言われているらしいですね」


 ワーカーホリック。この単語が異世界まで轟いているとは、恐るべし国民病。そのうち、社畜という言葉も出回るのではないだろうか。そんな事を考えて、苦笑いしてしまう。


「ご提案なのですが、この世界には魔物や盗賊といったものが出ます。元の世界で鍛錬を積んでいる方ならそういったスキルが自動付与されている筈ですが、ヒマリ様は『鑑定眼』ですね。攻撃スキルでは無いので、ご希望の条件に合わせてBランク以上の冒険者から護衛をつける事になります」

「鑑定眼?何ですか、それ?スキルって魔法?やだ‥‥いくら何でも魔法って‥‥」


 少しパニックになりつつ、矢継ぎ早に質問をしたのに、しっかり答えてくれるミセルさん。こう言った対応に慣れているのか対応力が半端ない。


「この世界には魔法やスキルが存在します。外からの訪問者様には、何か一つ職業や趣味に関するスキル、もしくは魔法が付与されている方が多いです」

「魔法も特殊スキルも無い世界だったから、かなり驚いてるわ」

「攻撃系や防御系ではない方には、上位ランクの方を護衛と案内役にする規定なのでご安心ください」


 なんとスムーズな説明なのかと思っていると、ミセルさんはステータスに『ハッシュフル王国』『首都コラッテ冒険者ギルド』と追加記入している。


「では、ルートさんお願いします」


チリン、チリン、チリン、と呼び出しベルを鳴らしたミセルは声高々に名前を呼んだ。


読んで下さって、ありがとうございます。

毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。

貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。

誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。


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