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社畜はスローライフの仕方がわからない  作者: 真白 歩宙


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精霊の加護とひとびと

 あれからシルフが伝えていた7日間の猶予が終わった。

 各国は独自の答えを出し、対応した証として加護を取り戻した。もちろん、何もしなかった国は加護を受けられず、精霊に仇なす者達は回復薬などでは到底治せない痛みに苦しめられる結果となった。

 ハッシュフル王国は奇跡的にも、第二王子とゼノン侯爵の反乱の件を解決したことが、精霊に仇なす者達の洗い出しとなったため、風の便りなどの加護が元に戻った。


「今回は本当に申し訳なかった。よもや、グロットがあのような‥‥いや、もう何も言うまい」


 私に謝罪したエサル国王は、力なく玉座に座って目を閉じた。


「ファレンシア王女は大丈夫だったのですか?」

「大丈夫とは?」


 きっとお城の王様の元に帰って来たから、無事だと思っているのかもしれない。子煩悩と聞いていたけれど、甘やかしているだけの親バカだとしたら、怖い思いをしたお姫様が報われない。


「ファレンシア王女殿下の心はトラウマ‥‥傷ついていませんか?男の人に恐怖を感じるとか」

「そうか、そこまでは確認しては‥‥ログナージ王子よ、ファレンシア王女はどんな様子か?」

「夜中になると、うなされているようです。悲鳴を上げて暗闇を怖がることも」

「王は心が疲弊しておられるご様子、ヒマリ様にお願いしては如何でしょう」


 は?何でそうなるの?

 ブロファル宰相の後ろで医官が提案してきたことは、ただの丸投げだ。


「そこまで心配してくれるのでしたら、妹に会って行かれませんか?」


 この王家も貴族も苦手な気がする。宰相も黙っているので、何を考えているか分からずかなり苦手だ。根本的に人の話を聞かない連中も、勝手に仕事をおしつける人間も、お近づきになりたくない。


「おい、自分ばかりが被害者面すんなよクソ馬鹿王、そして責任転のクソ医官。黙っているクソ宰相、お前たちがちゃんとグロットを裁いていれば、王女も心の傷を負わなかったし、私兵もそんなに失わずに済んだかもしれない」

「そうだよ。ましてやログナージ王太子、いや、エスタリーグとして動くなら、ヒマリの安全をちゃんと守るべきだったんだ。自分のドS性癖をヒマリにぶつけるなんて、グロットがヒマリに剣を抜いていたらどうするつもりだったんだ!」


 ルートもファルもかなり怒っている。


「とにかく、国のこと。家族のこと。それらを混同してヒマリに押し付けるな。俺はまだこの国を許した訳じゃないし、精霊ドリアードもまだ許してない」

「ルート、私この国を出て行くわ」

「ヒマリ?!外の国はいろいろ危ない事も多い。この国に残って‥‥」

「殿下、今回の件で分かったの。精霊の言葉をちゃんと実践した国は、少なくとも危険じゃないし、精霊の加護が働いている。貴方達は都合が言い様に私にいっているだけ。だから、他の国に行くの」


 もう、対外的な言い訳や目論見に流されない。王や宰相やその周りの人達、王太子の言葉には乗らない。異世界の休暇だと言うなら、異世界の旅行でも良い筈だ。

 正直、数カ月前の私だったら、ファレンシア王女の面倒を見たりして、なんやかんや流されてログナージ殿下のお嫁さんになっていたかもしれない。

 今回の事件で、他人のご都合主義を目の当たりにして、何か吹っ切れた。


「ルート、良かったの?」

「何がだ?俺はヒマリの守護者だ、ヒマリが他国に行くなら、俺も一緒に行くのは当然だろう」

「私も行くよ?道具屋がぐちゃぐちゃだからね。幸い、主だった品は空間魔法で収納済だから、他の国で店を始めるよ」

「ファルさんまでついて来てくれるの?」


 これには驚いたけど、ルートとファルはもともと冒険者仲間で登録もされているので、好きな時に好きな国に行けるのがSランク冒険者の強みらしい。


 後日、ギルドに出向いてお別れを言った後、私達は次なる国を目指してハッシュフル王国を出た。

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