キメラの雷鳥さがし 160
「あの、ルートさん。シシドランを全て消し去ったのではないのですか?」
「アル、悪いが手本は見せても、この迷宮を踏破するのはアレンとアルの2人だ。俺達じゃない」
甘えた事を言うなと、新たに出現したシシドランに向かうよう、アルを冷たく突き放している。
そうは言っても、彼らは強くなることを望んだのだから、この状況を変えるには自身が強くなるしかないと分かっている筈。
「トゥルエノ様、もう一回お願いします」
「アレンはやる気が出たね。まぁ、ルートのあの技を見たら、自分に可能性がある以上やりたくなっちゃうよね」
アレンは素直に上達を目指している。けど、問題はアルのルートとファルへの依存が無意識にあるってことなのかな。
「体力が無いとさ、前衛の騎士や剣士とかに魔法士は依存しちゃうんだよ。守ってくれるって」
「ファル?でも、アルはアレンの専属護衛で執事ってだけだよ?」
「ふーん、ヒマリもアルに問題があるって分かってるんだ」
ファルの言う通り、頼りになる人がその場にいたら頼りたくなる気持ちが出るよね。それが問題なのかな?
「普通、公爵家の執事で護衛も兼任あれば、何某かの継承スキルがあった筈だ」
「あ!まさか、継承スキルの問題ってアレンだけじゃなかったってこと?」
「ヒマリは鑑定する人物に関与する情報が増えると、鑑定結果の内容も大幅に変るだろう?」
確かに私の鑑定は自分の情報量に左右される。特に本人が秘密にしていることや、自覚していないこと秘匿されているような事は、私がそういった情報を知らないと出てこない。
「ヒマリ、次の部屋に入ったら、出てくる魔獣を鑑定するのと、戦い始めたアルの鑑定をしてくれ」
「分かったわ。もしかして、他の種類が出てくる可能性があるの?アルには再鑑定しておくね」
普通、完全鑑定眼は最初から全てを暴けるのが完全と言われる所以と図書室の資料にあった。
不完全なのは私が異世界人で常識や考えが日本人の知識を主としているからだと思う。此方の常識や知識が多かったら、2度手間、3度手間をしなくて済むようなスキルなのかもしれない。
ただ一概に、不完全な状態が不利だとは言い切れない。
完全鑑定眼が手間を必要としても、異世界の知識や常識があるからこそ、スキル創造なんてスキルが私に振与されたっぽいから。そうとしか考えられないスキルだし。
あ‥‥スキル創造、そうだった。私に便利なスキルあったわ。
確か内容は、自分より上位の者に施された魔法を受けて獲得していく、私の探求心が作り出したものだった筈。
ただ、必要に迫られた時に意志に関係なく発動するって私のスキルに書いてあったよね。
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