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社畜はスローライフの仕方がわからない  作者: 真白 歩宙


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雷鳥のいかり

 謁見の間に響き渡った声は、低いながらも綺麗なテノールの声だった。ただ、その声は怒気と覇気に溢れて聞くものを震え上がらせた。

 眩しく光る球体が、徐々に大きな鳥に変貌していく。日本の雷鳥と色や模様は同じでも、人の2倍くらいの大きさだ。そして、何よりも威厳が凄い。


『雷鳥様!』

「‥‥初めまして、雷鳥様」


 鋭い目で威嚇されて足が竦んでしまったけど、ルートが私の傍に立っていつでも守れる体制でいてくれるのが救いだ。


『ホミバードとの約束は守ってやった。それ以上に何を望むのだ。ギルドに関わる者を許すわけにはいかぬ』

「2つだけ質問させてください」

『小娘、お前は休養をとることが本来のすべきことではないのか。一応聞いてやるが、期待しないことだ』


 何となく私は思ってしまった。雷鳥様は怖いように振る舞っているけど、本当は人間が過ちに気付いて元の関係性を復活させたいのではと。


「ギルド関係者とは、ギルド職員や冒険者も含まれてしまうのですか?善良な王族や貴族も含まれるのですか?」

『何故我等がそこまで加味(かみ)せねばならない。人間は欲のためにトレントやホミバードを襲うではないか。他の国でも、似たような事が起こっている』

「それでも、ギルド職員にも冒険者にも平民がいるからです。平民の生活は守って下さるとお約束頂いた事が反故(ほご)されてしまいます。それに、心ある人を同じように扱っては、誤解を生みます」


 多分だけど、風の便りが使えないだけでも大混乱だと思う。


「もし、雷鳥様やシルフ様がご猶予(ゆうよ)を下さるのであれば、数日だけ懲らしめる為に加護をストップして、その期間内に、各国に悪い人たちを処罰させてはどうでしょうか。」

『しない国とする国がでるであろう』

「ちゃんと対処した国は元に戻した上で、悪人がいた国に対し何らかの制約を設けて、悪人がいなかった国には、精霊を身近に畏怖、敬い、愛する事ができるよう、そういった心を持っていられるように像を立てるかして感謝の気持ちを祈るとか、心が悪い方へ行かない様にしてはどうでしょうか?」


 上手く伝えられたか分からない。でも、平民や善良な人が苦しむなんて違うと思う。


『小娘と思ってはいたが、具体的に案を出されるとは思ってもいなかったな』

「なぁ、雷鳥。俺からも頼む」

『ルートか。では、人間達にも分かりやすく、7日だけ加護を無くす。その間に人間が精霊に仇なす者を捕らえ裁くのだ。対応できた国には加護を復活させよう。出来なかった国は、仇なした者にだけ一切の加護が無くなるようにしよう』

「それなら、最初から仇なしたヤツだけ加護無しにすれば良いじゃないか」


 ルートが抗議してくれたけど、雷鳥様はそこだけは譲ってくれなかった。

 そして、後から告げられた言葉は、悲しみを含んだ声だった。


『ここまで二人の顔を立てたのだ、この期に及んで仇なすなら勝手に衰退していけばよいのだ』



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