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社畜はスローライフの仕方がわからない  作者: 真白 歩宙


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キメラの雷鳥さがし 146

 私のフードを咥えたまま瓦礫を飛び越えるシシドランの身体は、此方へ来た群れの中でも一際大きい個体に見える。

 覚悟を決めないといけない。

 そう思ったら、怖くて涙が出て来た。


「ルート、ファル‥‥ごめん」


 私を見下ろすガメオロンと目があった気がした。虚ろな光の無い目なのに、何か意志だけ強くあるのか、次なる咆哮を放とうと喉にエネルギーを溜めている。

 私を咥えたシシドランは、その咆哮に向かって一直線に向かっているのだ。


「あれだったら、一瞬、かな‥‥アハハッ」


 空笑いをしてみたけど、恐怖と緊張で喉はカラカラになってかすれ声だ。

 死んで消し炭になったら、誰が死亡報告書を書いてくれるのだろう?そんな事まで考えてしまった。

 次第に口の中に溜まっていくガメオロンのエネルギー。光が大きく膨れて、光の中に魔法陣が浮かび上がっている。

 魔獣が特有の魔法を使う際に浮き出る紋様を、魔法陣だとファルが教えてくれた。


 思えば、ファルには私の常識を押し付けて起こってしまった事があった。価値観の違いは誰にでもあるのに。

 そして、ルートは全てを受け入れて守ってくれた。今もハンゾウ長老とチャチャときっと、皆を救うためにトリコリオンに現れた魔獣と戦っている筈。大丈夫、ルートは強いから。

 アルはちゃんとラレーヌに手当して貰えたかな。

 トゥルエノとアレンは無事だったかな。

 みんな、ごめん。そして、今までありがとう。


 涙で滲む視界にガメオロンの咆哮が最大に膨れ上がっている。間近に迫ったそれは、大きな光の塊にしか見えない。

 瓦礫(がれき)をよじ登っていくシシドランは、大きく跳躍するとガメオロンの口に向かって私を投げた。

 近づくエネルギーの光と重力による落下で、咆哮に巻き込まれても地面に直撃しても助からないのだと。


「ルート‥‥大好き‥‥」


 最後の言葉が告白だなんて、自分でも驚いた。同時に、それだけこの異世界での出会いが大きかった。好きな人が出来て良かったかもしれない。

 私は全ての力を抜いて、重力に身を委ねた。


「‥‥!」


 死ぬ間際に、ルートの声が聞こえた気がした。


「ヒマリッ!」


 ハッキリと聞こえたルートの声に目を開けると、私の手を取って身体を抱きしめる彼の姿が映った。

 抱き留められた衝撃と温もり、微かなシトラスのような香りがして自分が彼の腕の中にいて助かったのだと理解できた。


「遅くなった、すまない」

「ううん、良いの。ルートが無事なら」

「少し俺に掴まっていてくれ、直ぐに済ます」


 言われた通り、ルートの首に腕を回して捕まると、彼は私の腰に手を回し、しっかりホールドして跳躍した。



読んで下さって、ありがとうございます。

毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。

貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。

誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。



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