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社畜はスローライフの仕方がわからない  作者: 真白 歩宙


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キメラの雷鳥さがし 136

「おかしいなぁ、此処での発言ってお酒の事しか言ってないんだけど、それが純粋だったってこと?まぁ、純粋にお酒は好きだけど」

「ヒマリ、アルが睨んでいる」


 何なの?!アルが小姑化している?


「と、取り敢えず、席に戻ろうか」


 慌てて戻ろうとしたけど、視線を感じて振り返ったら、さっきの男性が座っていたボックスに2人居る。

他のボックス席の人は、私たちに構わず飲んでいるのに、視線を向けて来るこの人たちは真っすぐ私を見ていて、少し怖い気がした。

ボーイさんにお礼を言って、席に戻って来ると少し気持ちが落ち着いて来た。


「ヒマリさん、良さそうですか?」

「え、あ、うん。大丈夫」


 怖いと思いつつも、情報を集めてしまう自分の律義さに社畜根性は未だ健在だとガックリしてしまったけど、ラレーヌに合図を送ってもらった。

 薄っすらと店内に煙の様な物が立ち込め始めた。

ファルの幻影魔法だ!


「フードを被りましょう」

「そうね。階段の方に移動する?」

「もう少し煙が濃くなってから近くに移動しましょう、幸い階段は中央カウンターの傍にありますから、今から隠ぺいと隠密のスキルを発動させておいてください」


 ふと、自分に隠密スキルがあったか考えたけど、不安な顔をしていたらアルが出来ていると言ってくれた。そうだった、ハンゾウ長老の隠密スキルと隠ぺいスキルは、契約時に自動付与されていると長老が言っていた気がする。

 私たちはファルの声が上がってから、カウンターの前の部分にしゃがんで身を隠して、階段に行く準備をした。


「火事だ!煙が上がっている!火事だぞ!」

「今ですね、行きましょう!」


 カウンターの店員が奥の客を外に逃がそうと、あらゆる出入口へ誘導している。その内の1人が2階へと駆け上がって行った。

 そのまま、私たちも彼の後を追って2階に上がった。


「皆様、火事です!外へ避難して下さい!」


 学校や職場の避難訓練を思い出してしまうような状況。1人、2人と人が出て来て、階段へと雪崩れ込んだ。

 柱の陰から、彼らの情報を手に入れて、店員が去った後にそれぞれの部屋に入った。すかさず、手あたり次第、部屋に有るモノの情報を鑑定していく。

 ふと、手に入れた情報は何処にあるのか気になった。ここに来るまでに、物凄い情報量を手に入れているけど、別段脳がパンクしそうかと問われたら、全然そんな兆候は無いと言える。


「2階は終われそうね」

「そろそろ、落ち合いましょう。まだ地下が残っています、アルそれは?」

「気になるモノを見つけましたから、彼らに見てもらった方が良いかと」


煙の中を進んで行くと、ルートがカウンターの棚に入り口を見つけたと、ファルが手を振っている。



ここまで読んで下さって、ありがとうございます。

貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。

読んで頂けることが、執筆活動の励みになります。

誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。

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