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社畜はスローライフの仕方がわからない  作者: 真白 歩宙


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キメラの雷鳥さがし 133

「後回しにすることは悪い事じゃない。今やる事をちゃんと分かっていれば良いんだ」

「ごめん、ルート、皆。そして、ありがとう」


 このメンバーに感謝だ。私は恵まれている。

 ルートやファルに出会えたことも、ロンバン公爵のアレンや執事のアルと今を過ごしている事も、もしかしたら、何か大きな流れの中の必然的な巡り合わせなのかもしれない。

 先ずは尻込みしないで、やれることをやっておこう!


「ルートの作戦で、タイミングは?」

「ヒマリの情報収集がキモだ。だから、ヒマリが情報を集めたらラレーヌに伝達してもらってくれ」

「一階が終わった時点で、合図するね」

「私が火事だと叫んだら、物陰に隠れて二階から降りて来る人間の情報を掴んで。人が下りてこなくなったら、火事だ!って叫びながら、二階にある情報を片っ端から取っておいてくれる?」

「分かったわ。終わったら一階に戻って、ファルと合流してルートを追って地下へ行くのね?」


 細かく予定は立てているけど、かなり大雑把(おおざっぱ)。地下への入口は大まかにしか分かっていない。それなのに、ルートは分かると言い切っている。

 “火事だ!”の民衆心理は、異世界でも健在なのかもしれない。泥棒に入られそうになったり、暴漢に襲われたりした時に、助けてと叫んでも人は中々出てこないという。

それを火事だ!と叫べば、何処から?と確認したくなる心理が働いて、確認した人々が目撃者になるし抑止効果になる。

 現代の日本で行われているそれらの発想。

 この異世界では、火事が起こったら逃げるという意識に繋がるらしく、建物内に潜む者の情報採取にはもってこいのやり方なのかもしれない。


「じゃぁ、アレン、アル、ヒマリの事、頼んだよ」


 ファルの言葉で私たち3人が先に入る事にした。

 薄暗い店内は、疎らに人が座ってお酒を飲んでいる。唯一明るいバーカウンターの席が空いていたけど、近くの丸テーブルの席に陣取る事にした。

店内が見渡せる位置だったのと、カウンター席が明るすぎたためだ。

 入店して直ぐに鑑定を始めた。結果も頭の中で確認しながらやったけど、めぼしい情報は無く、カウンターのへと目線を映して店員を鑑定した時だった。


「何だろう‥‥」

「何か見つけたの?」

「2人とも、愚者の美酒って何?その隣の、天使の蠱惑(こわく)?」

「声を小さく、お願いできますか。それは、魔獣のコアを原材料とした、禁制のお酒です」


 うええ?!何、禁制品を置いているBARなの?

 アルが、強い幻覚作用のあるお酒で、狂乱状態を鎮静させる効果もあるから医療用途での使用しか許されていないらしく、医師のスキルが無いと扱ってはいけない禁制品らしい。



読んで下さって、ありがとうございます。

毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。

貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。

誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。



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