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社畜はスローライフの仕方がわからない  作者: 真白 歩宙


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キメラの雷鳥さがし 112

「私が言うのも何だけど、許せないって言っても組織だった犯罪は根深いし、危険が多いと思うよ」


 不意にかけられた声がファルだと知って、その言葉の意味を間違えない様に拾おうと思った。

 危険な目に遭わせた事への申し訳ない気持ちが見えて、話しかけてくる感じがぎこちない。


「ファルの謝罪は受け取っているから」


 このままじゃ、ぎこちないやり取りで、いろいろな事に支障が出てしまいそうだ。許すか許さないかは、今は決められない。でも、彼はラレーヌに謝った。私にも謝ってくれた。やってしまった過去は消えない。けど、それに対しての真摯な謝罪は受けたから。

 自分の気持ちの整理はまだついていないけど、相手が過ちに向き合っているのなら、その行いに対して、受け入れたいと思った。


 私はまだこの世界の常識やルールが分かっていない。

 きっと、冒険者として、商人として、この世界で生活している者として、それぞれに独特の見えない常識がある。

 それは、私の居た日本の常識が当てはまらない、想定外のルール。知らないと、とんでもない状況に陥ってしまうような、独特な価値観のあるこの世界。


「ここに載っているだけの精霊が、拉致されているのかな‥‥」

「おそらく教皇が気付いた以上、過去に遡って調査が入ると思うが、今は出来るだけ組織の炙り出しと、教皇の剣となる公爵の復活だろうな」

「ルート、ロンバン公爵の元へ行った長老たちから連絡入っていたよね?」

「ヒマリ、今ここに呼ぶのは、少し危険じゃないかな。ほら、教皇の空間封印に巻き込んじゃうと不味いから、こっちを調べて他の転移位置を決めてからの方が良いと思うな‥‥的な」


 その、“‥‥的な”ってどんな気遣いなんだか。


「ファル、もう良いって。気にしてないと言えば嘘になるけど、取り敢えず、今は頼まれた事を確実にやりたいから、言いたいことがあったらビシッと伝えあおう。連携が崩れる方が怖いもの。良い?」

「わ、分かった‥‥」

「じゃあ、ちゃんと此処から出て封印されたのを確認してからホミバードと連絡取るね。教えてくれてありがとう」

「あ、うん」


 まだ、ぎこちないけど、これで良いのだと思う。今の私たちには連携だけじゃなく、互いの知識を交換したり照らし合わせたりすることが大切なのだから。

 気を取り直して、他にも資料室に隠れた書類が無いか、帳簿以外にも目を向けて探し回ったら、思わぬものが出て来た。大きな羊皮紙風の分厚い紙に色付きで描かれたグランラード国の細かい地図だ。



読んで下さって、ありがとうございます。

毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。

貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。

誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。



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