キメラの雷鳥さがし 98
「オイチには教皇様を護衛してもらって良い?誰が敵か味方なのか分からないの。かなりの注意が必要だし、いざって時には、教皇様やその仲間を安全な場所に転移させて欲しい」
『畏まりました。では、行って参ります』
かなり、畏まった感じだけど、オイチは周りをよく見ている。判断も良さそうだったので教皇様の護衛に抜擢したけど、オイチが危なくないように、ラレーヌにも協力してもらえるように頼んだ。
「あ、あの、そこにホミバードが居るのでしょうか?」
すっかり忘れていたけど、風の翼の冒険者グループ、ニノンさんとガッテスさん、その護衛対象のジノお爺さんが見ていたんだっけ。
チャチャの声は聞こえている筈だから、今更居ない振りをしてもしょうがない。
「チャチャ出てこれる?」
『良いわよ』
「うわっ、本物のホミバード!」
ニノンさんは目を輝かせてチャチャを見ている。
しかも、いつの間にかチャチャに自分の精霊になってくれないか頼み込んで、いや拝み込んでいる?
『私の主はヒマリ様よ。しかもサスケという旦那様までいるんだから!言い寄らないで頂戴!』
「この子、ハッキリ言うね。凄くプライド高そうなのは、気のせいかな?」
ファル、今私も同じこと考えていたから、気のせいじゃないと思う。ニノンさんの手をぺシッと叩いて、言い寄るな宣言までしているチャチャ。
幸いだったのは、そのやり取りを見てジノお爺さんとガッテスさんが笑っていたことかな。
なんか生温い和やかな視線で二人を見ている。
「しかし、ホミバードやドリアードと交流があるとは、貴女はとても稀有な逸材じゃ、決して教皇様以外にその能力を知られてはならんぞ?」
自分が狙われているのに、私の心配までしているジノお爺さん。やっぱり守りたい。
「チャチャ、貴女には風の翼のニノンさんとガッテスさんと組んで、ジノお爺さんの護衛とシオニーの監視をお願いしたいの。シオニーは何処かのコウシャクの諜報員らしくて、仲間との会合もやっていたらしいのね」
『“やっていたらしい”なんて言い方、変な追跡でもして拗らせたの?』
チャチャ、鋭いところを突いてくるなぁ。
「僕が追跡テントウ虫をシオニーに付けていたのがバレてしまったんです」
『駄目ね。そんな子供のオモチャが諜報活動している魔法士に効くわけないじゃない!』
『チャチャは容赦ないのね。私がドリアードの“祝福の蔓”を杖に仕込んだわ。但し、発芽させたのはこのニノン。だから、祝福は無いけど』
『うわー、それだとシオニーを追跡するのは私の役目ね。だって、それは盗聴専門の状態だもの』
何だか物凄く物騒な話になっているラレーヌとチャチャ。こんなことやらせて良いのかな?
ここまで読んで下さって、ありがとうございます。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
評価や読んで頂けることが、執筆活動の励みになります。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




