キメラの雷鳥さがし 97
『はい、完成!』
「これはドリアードの“祝福の蔦”ではないですか!」
『ふふ、良く知っているわね。でも、それは見た目だけ!』
うわー、何だか変身グッツを買った時の既視感がするのは何でかしら‥‥。
魔女っ子の変身をテレビで見て憧れた子供が、玩具を買ってもらって喜ぶけど、魔法が使えない現実に引き戻される感覚に似ているのよね。
『魔力を通したのは、貴方だからその子は貴方の心に報告するわよ。報告を受けても驚かないことね』
「便利な種を持ってるのね、ラレーヌは」
ラレーヌが言い終わると、ニノンさんの跳ねた髪に1枚の葉っぱが現れて消えた。顔が赤く興奮気味の彼は、嬉しそうにラレーヌにお礼を伝えている。
『ホミバードはどうする?』
教皇様を守るホミバードが欲しいと言うと、ラレーヌはテーブルに蔦と葉っぱの器を作って水を溜めた。
『直接話して、決まったら呼んでね』
繋がった状態なのか、ノウヒメが水の中に写った。
『ヒマリ様、もしホミバードが足りない様でしたら何なりとお申し付けください』
「ノウヒメ、ハンゾウ長老や貴女の旦那さんのコタロウをずっと引き離しちゃってごめんなさい」
『あら、謝らないで下さいまし、ホミバードとして、とても栄誉なことですもの!』
ノウヒメは私が補充したいと言い出す前に、サイゾウの妻オイチと、サスケの妻チャチャを送ると言ってきた。
これには私も驚いて、子供を育てないと!と言ったら、雛の時期の子育ては1週間で終わるのだと言われてしまった。
「女の子を危険な任務に就かせるって、どうも‥‥」
『精霊の戦いは保有する魔力量が絶対的に多い方が勝利します。そして子に分け与える為、メスの方が魔力量は倍近く多いのです。群れの王や長はもっと魔力量が多いですが』
え?!ハンゾウ長老>ノウヒメ妻たち>コタロウたち? まるで尻に敷かれている図式が浮かんでしまった!
何だかごめん、コタロウたち。
「ラレーヌ、お願い出来る?」
『ええ、オイチとチャチャね。私との絆も渡しておくわ』
何から何までラレーヌ任せで申し訳ない。そう思って彼女を見ていたら、オイチとチャチャが私の目の前に現れた。
『ヒマリ様、ごきげんよう!チャチャです。私、護衛や気配察知と結構戦えますよ!』
『チャチャったら、ヒマリ様、すみません。私はオイチと申します。護衛や結界、転移も使えます』
まるで個性が正反対のオイチとチャチャに圧倒されてしまったけど、これはこれで欲しい逸材だったから、ノウヒメはかなりの切れ者なのかもしれない。
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