キメラの雷鳥さがし 87
「すまない!この埋め合わせは何処かできっと!」
サッとシャワーを浴びて来たジェスファーノさんに、手を合わせて謝るファル。
急いでいるのに、この状態‥‥物凄く話があっちこっちに飛んでて、少し整理が必要かも。
「ルート、全員が共有していた方が良い情報、結構あるよね?」
「そうだな。さっきみたいな事が起きても困る。教皇の言うところの側近はジェスファーノとミヤか?」
「そうです。後は乳母の巫女たちとその息子の神官たちです。この居住区に居ますが、私が与えた魔道具、守護のネックレスをしています。ジェスファーノとミヤも持っています」
身内であり味方だと分かる様にしているらしい。
ここまで、守りが固いのに何で人も通らない回廊を一時避難場所指定しているのか不思議だ。
「あの回廊には、特定の人しか転移できない?」
もしかして‥‥
「良く判りましたね。あの回廊自体が結界になっているのと、私の居住区に転移できる隠し転移陣があるのです。魔道具の守護のネックレスをした者しかできませんが」
「ルートやファルは持ってないよね?それなのに、直接ここに来れているのは、もしかして教皇様のおはからい?」
「ええ。彼らが使っている転移とは種類が異なるものです。ルートさんたちには、私が渡した強力な転移石がありますから、ここに直接飛べるわけです」
むむ。話は最後まで聞かないと分からないって言うけど、今回のが正にそうね。異世界常識と教皇様の住んでいるこの国の仕様というか、予想の斜め上をくる感じ。
でも、ミヤがサイゾウに話してくれていたお陰で、そこまで転移できたのだから今回はマルなのかも。
「教皇、マフシロン大司教をどうする?」
「そうですね、此処にはルートさんたちの件が終わってから、此方に連れてきた方が良さそうです」
「筆頭聖女の件も、マフシロン大司教の件も後で良いんだな。ヒマリの解呪をしてから明日は精霊捜索のために日中は帰ってこれない」
「ルート、ロンバン公爵にも今までの事を聞いておかないと不味いよね?」
「困りましたね」
「教皇、親書を頼む。内容は”内密に会いたい”と。そして、ハンゾウ長老、コタロウ、ロンバン公爵に親書を渡して欲しい。出来る事なら、公爵の人となりを分析して、善ならこの転移石で俺の所に飛んで欲しい」
『人となりか、随分、ホミバードを信じて下さっている。応えましょうぞ』
あれ、変化と言えばここにも!
いつの間にかルートやファルが長老たち精霊を名前で呼んでいる!仲間って感じでほっこりするな。
「教皇様、私に浄化魔法をお願いします」
「流石に後数時間置きたいのですが」
でも、解呪しないと、先にも前にも進めない。
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