キメラの雷鳥さがし 71
教皇様の手が私の頭を救い上げてくれた。
意識はあるのに、微睡んでしまう。
「そろそろ大丈夫そうですね」
「‥‥」
「ヒマリ、大丈夫ですか?」
「‥‥あ、すみません、ありがとうございます」
ボーッとした状態で、お礼を伝えてみたけど、自分の意識がまるで夢の中にいる様な感じだ。
「エネルギーが強すぎたのでしょう。沐浴の場と水深も大きさも違いますから、いつもより濃度のある状態で浄化を受けたので、エネルギー当たりをしてしまったのでは?気持ち悪くなってませんか?」
「いえ、心地よ過ぎて、このまま眠ってしまいたいくらい、で‥‥」
なるほどと、私を支えたまま納得した教皇様は、巫女を呼んで着替えの支持を出すと、浴室近くのカウチでしばらく仮眠させるように言ってくれた。
着替えの間、朦朧とした状態で立っていたけど、促されるままにカウチに横たわると、1時間ほど爆睡するような状態で寝てしまった。
フカフカのカウチは短時間の昼寝が出来る作りなので、身体が痛くなったりすることは無く快適に寝れた。片方の手の部分が枕の様な角度に設計されているのも、外国のカウチと似ていて機能的だ。
「誰かがタオルケットをかけてくれたのね」
この歳で寝冷えなど洒落にならない。
お風呂の控室なのか、風が入るようにレースのカーテンが2重に設えてあり、月明かりも取り込めている。
「コタロウ、何か聞いてる?」
『もし身体が平気なら、次の沐浴も此処ですると言っていた。濃度が濃いから早めに終わるらしいが、身体に反動が無いか確かめながらだそうだ。それと、起きたら夕食だって言っていた』
「ということは、ここで待機で大丈夫ね?」
ミヤが戻ってくるのでは?と言われ、しばらく自分の身体に起こったエネルギーの余韻を考えてみた。
沐浴は教皇様や聖女の方々が行う儀式。居城には3か所あって、一般に開放されているのは他にあるらしい。
此処までは今までの情報ね。
沐浴の場は深さも広さも十分にある。さっき行った浴室でも沐浴は、徐々にと言うより、一気に毛穴という毛穴から聖なるエネルギーを吸収したような濃度だった。
丁度、傍にある姿見を使って自分の鑑定を行った。
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ヒマリ
個体:東峰 灯鞠
種族:異世界の人間
属性:鑑定眼の持ち主
相乗効果:
精霊との親和性が高く。
善良な魔獣との親和性にも優れている。
契約した精霊:
ドリアードのラレーヌ、ホミバードのハンゾウ長老他
雷鳥のトゥルエノ、風炎鳥の王子(予約)
懇意にしている魔獣:
カバロン(護身石)、モンキーチキン
状態異常:呪いの杭の余波で、衝動的な死への誘い状態が
浴室での沐浴によって、浄化がすすんだ
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かなり強力な物だったのね。あの規模の浄化の方が状態異常に効くなんて。
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