キメラの雷鳥さがし 70
「サスケ、マフシロン大司教の護衛をお願い」
『はいよっ』
可愛い返事をして消えたサスケがいた筈であろう虚空を見つめた。これからどうなってしまうのか。
マフシロン大司教を自由にするためには、本当の犯人を捕まえるしかない。
「困ったことに、実行犯として下女や他の神官などに見られていたのは、マフシロンなのです。当然、事件が起きた以上、皆の記憶に印象も悪く残っています」
「先ずは、状況証拠から覆していくのが手っ取り早いと思います」
刑事ドラマやミステリーなどでよく見る手法だ。
「簡単に揃った状況証拠は、裏を返せばその状況に追い込んだ者の痕跡もあるって事です」
「ああ、成程ね。大図書館でマフシロン大司教以外の誰が追跡魔法をかけたか?もしくは、その魔法を分からない様に隠ぺいした者がいるかを探すのね」
流石、ミヤだ。
私が頷くと、すぐさま大図書館に向かおうとしたので、慌てて呼び止めた。
「この子はサイゾウ。それとサイゾウ、これをミヤに渡して!ラレーヌで通信できる枝だと伝えてね」
『了解した』
サイゾウに小さなラレーヌが移動できる小枝を持たせた。
「ヒマリ、何から何まですみません。どうやら、この国には思わぬ闇が蔓延ってしまったようです」
「教皇様、全てが悪い方向に傾いている様に見えますが、実際は先ほどの結果的な部分だけです。覆す術はあるし、じっくり相手の出方を見ていきましょう」
「何だか、あの怯えていた方とは思えない切り返しの鋭さですね。でも、十分気を付けてください」
そこまで考えて、教皇様と黙ったまま吹き出してしまった。
「先に沐浴からですね。とは言っても、また同じような物を仕掛けられては大変なので、少し趣向を変えましょう」
そのまま、教皇様の居住区に入り、巫女が用意してくれた沐浴の衣装に着替えると、通された場所は浴室だった。
「教皇様?」
「沐浴の場は不特定多数が出入りしますが、此処は見知った巫女のみなので安全性が高まりますし、浴槽に水を溜めて私が祈れば簡易的な沐浴の場になりますから」
来なさいと言われて、水の溜まった少し大きめの浴槽に入っていく。深さは立って腿辺りの水深なので、教皇様が祈りながら手で水を掬って頭にかけてくれた。
「ちゃんと見ていますから、出来るようならそのまま潜っても構いませんよ」
「なるべく、沐浴に近い‥‥全身が水に入る状態の方が浄化されやすいのですか?」
「そうですが、もし怖いなら」
大丈夫ですと伝えて寝る様にして水に浸かると、教皇様のエネルギーが身体を覆っているのに気が付いた。
心地よいと感じるほど、自分の身体が蝕まれていたのかもしれない。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




