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社畜はスローライフの仕方がわからない  作者: 真白 歩宙


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認識阻害と錯乱魔法

 ホミバードのハンゾウ長老が私の後ろに現れて、可愛い仕草で首を傾げている。言葉が微妙にミスマッチな気もするけど、隠密や認識阻害、隠ぺいなどのスキルについて尋ねるのにタイムリーな相手だ。

 ずっとそばに居たのだろうか?


「ハンゾウ長老、聞きたいことがあるの。」

『なんなりと』

「もしもなんだけど、錯乱魔法をかける相手と渡り合うには、ハンゾウ長老ならどうする?」

『それは錯乱や混乱といった魔法をどう防ぐか?という質問ですかな?』


 さすが長老というか、話を聞いてましたね?

 そうですと答えれば、長老はトレントの枝に移った。


『ファル殿、錯乱魔法をかけて貰えますかな』

「実地で教えてくれるって、ヒマリは凄い味方をつけたね」


 錯乱魔法を行使するファルさんが、何かを唱えた瞬間に後方へ飛び避けた。避けたというより吹っ飛んだ?


「今の凄いですね、長老さん。魔法がはねっかえるなんて思いもしなかったよ」

『鏡面という技ですな。他にも、もう少し距離があれば認識阻害で広範囲に魔法を無効化し、動揺した相手を眠らすこともできますぞ』

「うわー反則技的に強いね。ヒマリ、最高の護衛がいっぱいだね」


 ルートさんが長老に歩み寄ってお辞儀した。


「今回は浅はかな人間が仕掛けたようだ。どうやら、ドリアードとホミバードを狙った犯行らしい」

『その様ですじゃな』

「ヒマリのスキルで、毎夜錯乱をかけにくる魔術師がいるらしい。そいつを捕まえたいんだが、協力してもらえないか?」

『我々やトレントに傷をつけたくないと?』

「ああ。極力俺は剣を揮いたくない。錯乱したトレントが()()()()()()()()気持ちでいるならな」


 ハンゾウ長老が私の肩に止まって、ご命令をと囁いて来た。


「私は命令で動いて欲しくないから、これは私のお願い。協力し合って皆で仲良く過ごしたい」

『承知しました。後、ドリアード殿はこの先の湖の実のついた小さな木に擬態しておられます』

「ありがとう!じゃぁ、後で皆で作戦を考えようね」


 飛び立っていく長老にお礼を伝えてルートさんを見ると、物凄く良い笑顔で頭を撫でてくれた。

 ハンゾウ長老の教えてくれた湖目指して歩いていくと、小さな赤い実をつけた木が並んでいる。ドリアードを探そうとファルさんが近づくけど、擬態って凄い能力なのかも知れない。


「ん?この子、枯れてる‥‥トレントの枝で陽が当たらないのね。せっかくのサクランボの木なのに」

「どうした?」

「陽が当たらないから枯れてしまっているみたい」


ルートさんに説明したら、トレントに退いてもらえば良いと事も無げに言う。彼らの言葉が分かっていたら、今みたいな苦労はしないのだけど、ここはホミバードさんに頼るしかないかも。


「ホミバードさん、居る?」

『ここに』


 まさかと思いつつ、呼びかけたら居るなんて忍者みたいな。


『サイゾウの名を頂きました』

「長老の娘さん、オイチさんの旦那さん?!」

『ご用は、トレントに他の木々にも光が当たる様に密集しないで欲しいと伝えればよいですか?』

「うん、お願いできる?」


 凄く行間を読んで対応してくれた気がする。サイゾウさん、かなり出来る旦那さんだ。枝を切る発想じゃなくて、木に移動してもらう考えに至るなんて、紳士的だと思う。


「後は水やりかな」

「私がやろうか?」

「ファルさんは水も魔法で出せるの?」


 魔法を聞いていたら、トレントたちが僅かに動き出した。ちょっとずつ、広がる様に後退して、サクランボの木に陽が当たり始めた。


『ありがとう。貴女は心優しいのね』

「サクランボの木の精霊さん?」

『ええ。いつもここまで近づかないトレントたちだったのに、この間から距離感が変になって、トレントの森に棲んでいる他の木は大変だったの』


――――――――――――――――――――――――――――

トレント亜種

個体:「」

種族:サクランボの木の精霊

属性:果実の恩恵

相乗効果:

仲間になると属性を付与できる個体もいる

魔力回復の実

――――――――――――――――――――――――――――

 よく見ればトレントの亜種、サクランボの木の精霊のようだ。枝の先っちょに妖精のような姿を作って、話しかけてくれた。

 陽が当たって良かったと言ったら、クスクスと笑ってサクランボの実を取って食べろと言う。


『貴方達、あの魔術師をやっつけてくれるんでしょ?魔力回復するから3人とも食べると良いわ』

「なんか魔術師がこの森を狙うのは、希少価値のある強い精霊が手に入るからじゃないかな」

「国が愚かにも認めたのなら、国に加護は無くなるが精霊に安全な場所に移り住んでもらう方が良い」

「道具屋たたんで、冒険者に戻らないといけないね」


 どうやら、ルートさんとファルさんは精霊の安全を第一に考えているから、大惨事は免れそうだと安心した。


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