キメラの雷鳥さがし 63
「どうなんだろう、日本に持って行きたいけど、草だと雑草化したら厄介な事になりそうね」
「そうですね。道行く人がゲップ草にゲップ水をかけられたら可哀想かも‥‥」
「そう考えると、雷花も雑草化したら、危険地帯になりそう」
ミヤは笑いながら、そんな事にはならないと言う。
「雷花は標高の有るところじゃないと、雷を発生させないんです」
何ですって?!
標高=気圧 という図式が思い浮かび、日本に持ち帰っても雷を生成しないのであれば、意味が無いので早めに情報が入ったことに感謝した。
「ありがとう、雷花が手に入ったら気圧調整できる環境が必要だって分かったわ」
「え?雷花は雷鳥様のエリアにしか自生していないので、お許しがないと貰えませ‥‥あ、もし頂くのなら、環境を同じに整えてあげる必要があります」
ミヤの知識は凄い。助手として欲しいくらいだ。
「この世界で薬草や土壌の研究をする時に、助手に欲しいくらいの知識ね」
「ヒマリ様は薬草屋でも始められるのですか?」
楽しそうに聞いてくるミヤは、精霊たちを見ても無反応でいてくれる。だから、サスケが普段の冗談交じりの話をしていても、BGMのように聞き流してくれた。
「教皇様から、明日から少しずつ慣らしましょうって言伝を頂いてます」
「一日お休みしちゃったけど、平気かな」
「ああ、呪いの状態異常なら状況を見つつですね。魔道具でも作り手によっていろいろなんです」
此方が”呪いの状態異常”に対して心配であわあわしている分、ミヤが淡々と言ってくれると冷静になれて怖さが少なく感じるのが不思議だった。
「魔道具で呪具を作るなんて、犯罪じゃないの?」
「んーそうですね。使い手次第です。恐らく、封印具って一歩間違えると呪具になりますから」
「封印具?でも、あれは真っ当な状態じゃなかった気がするんだけど」
「解呪の際に教皇様や聖女様の聖水が必要というのと、聞いた限りでは、断末魔の呪いという名称からも、強大な何かを封印するための封印具を、悪意ある使い手が呪具化したように感じます」
何それ?!ミヤの説明では、赤い杭は本来赤ではなく、黄金の杭で魔力の凄い魔獣や魔族などを封印する際に使うものらしい。
それを闇魔法と贄を使って逆魔法陣で上書きすると、呪具の赤い杭になるのだという。
「ミヤ、何でそんなにあの杭の事に詳しいの?」
「私、侍従をやってますけど、本業は封印具や呪具の解析をする魔道具機関の者なんです。主に長生きするエルフ族の者が暇つぶしにやっている機関ですけど」
最近、この手の事件が多発しているのだと、ミヤは深刻な顔で答えてくれた。
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