キメラの雷鳥さがし 62
見えないサスケが食べている絵面が、なかなかだ。
「見えない人には、果物が空中で消える不思議な光景になっているのよね。中々シュールな感じ」
「ふふ、スケルトンバードだと、もっと面白いというかシュールな感じですよ」
ミヤさんは精霊が見えるので、いろいろな鳥の精霊を知っていた。中でもスケルトンバードという鳥は、ホミバードと違って隠ぺいや姿隠しに特化した性質を持つのではなく、身体が透明なのだそう。
「ご飯食べたら、ご飯だけ見えてますから。隠れる時はご飯が食べられないんですよ」
「なんと不憫な‥‥」
『最近じゃ、透明スキルを使って食べ物に透明になる魔法を使ってから食べる個体がいるからね』
精霊のスキル成長、凄っ!
必要は発明の母と言うけど、切実な環境だったんだろうなと思ってしまった。
「スケルトンって言うから、骨の鳥かと思ったわ」
「強ち違うと言い切れないです。スケルトンバードが歳をとって死ぬと、骨だけの鳥になって一族を守る”守り鳥”になるんです。その期間は10年。若いスケルトンバードにいろいろ教えを託して、一人前にしていく。とても不思議な精霊鳥です」
この異世界に来て思うのは、現代に無い精霊とのやり取りが身近にあること。そして、想像以上に精霊の持つ個性は多種にわたることだった。
「この世界は植物も面白い性質や特徴を持っているから、驚いたわ」
ミヤは私の付き人の様に常に傍にいるので、話の内容とかから私が異世界から来た者だと認識している。けど、それを直接聞いてくることも確認しようとすることもなく、話題にした内容を掘り下げて情報を面白可笑しくくれるのだ。
「ああ、ゲップ草も面白いですよね」
「ゲップ草?何それ!」
「ゲップ草は育てた主に忠実な草なんです。主の嫌いな人間が家に来ると、ゲップをして会話を邪魔します」
何それ?!面白い草?
驚いていると、ゲップ草の凄い部分は損な特徴では無く、長細いナスのような形に蓋が付いている形状らしい。日本でいうウツボカズラのような感じだろうか?
その形状でゲップ音を出し、帰れ~カエレ~と相手を追い出すのだそう。そして、窓の付近に置いておけば、光合成だけで育つので手間いらず。
しかも、害意を持った敵が侵入すると、一斉にゲップ音がアラームの様に鳴り響き、筒状の中に溜まったヌメヌメした液体(通称:ゲップ水)を敵にかけるらしい。
「その液体の臭さは尋常ならぬものなので、警備隊が直ぐに犯人の特定を出来るんです。付着して直ぐに紫の光る不気味な状態になりますし、洗っても皮膚から吸収したものは1週間、臭いと共に消えませんから!」
どの国でも、ゲップ草は窓辺に置いて防犯グッズ化しているらしい。しかも、1苗が騒ぐと他の苗も騒ぐので、至る所に置いておけば、撃退グッズにもなる優れものだと言う。
読んで下さって、ありがとうございます。
毎日、一話ずつ投稿できたらと思います。
貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。
誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。




