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社畜はスローライフの仕方がわからない  作者: 真白 歩宙


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キメラの雷鳥さがし 42

 甘いジュースの果糖が身体に染みわたる感覚に、脱力全開で気を抜いていたら思わぬ反撃にあってしまった。


「ルート殿、ヒマリ様は異世界人ですね?」

「‥‥なぜそう思う?」

「ヒマリ様の周りには精霊が多く、魔獣と心を分かち合える者は少ないからです。嫌悪や抵抗を感じずに素直に向き合える心の清らかさは、稀有な者でしょう」


 ジェスファーノさんの視線に耐え切れず、私は身体が硬直したまま動けずに、ただ冷や汗だけがジワリと噴出していくのを感じていた。


「もし仮にヒマリ様が異世界人だとしても、ヒマリ様を縛り付けるような事はしません。すれば、多くの精霊から怒りを買う事になりかねませんから」


 そう言われては、否定する根拠が無くなったけど、ルートは目を閉じたまま何か考えている。

 でも、この場合の質問で沈黙することは、肯定を意味しているのに等しく、結果的に”答えない”という選択肢を取ったのね。

 質問に質問で返して、決定的な回答をしない方が両者にとって良い結果になると、ルートは答えを導き出したと解釈した。


 後から来たファルが場の雰囲気を読み取って、これからの事を話し合う話題を切り出した。

 ジェスファーノさんも追及する気は無いのか、ファルの話に乗るような形で報告会と、偶然摘発してしまった精霊への蛮行をする者達に対しての話をし始めた。


「あれだけ大掛かりな地下の内部構造をつくっていたんだ、組織的犯行だろう」

「確かに。教皇様にも先ほど報告しましたが、同じようなご指摘を頂きました」

「でもさ、地下の改造だとしても、このスクエノを見回る聖騎士の目を搔い繰るれるわけ?」


 ファルの言葉にジェスファーノさんが唇を噛みしめた。

 何かあるのだろうか?

 そう思っていたら、居酒屋の入口が開いて3人の聖騎士が入って来た。迷わず奥にある見えにくい席に座っている私達の所に来て一礼すると、ジェスファーノさんに耳打ちをしている。

 徐々に険しい顔つきになっていく彼の表情から、内容は良くない事だと分かった。


「引き続き、調査をしてください。貴方方3人だけで行うのです。それ以上の動員は、大きな話になりますし何処に耳があるか分からない今は軽率な行動はしないように」


 来た時と同様に一礼をして去っていく聖騎士の3人。


「話の腰を折ってしまいました。今の3人の聖騎士に西区の見回りを担当していた者を調査してもらっていたのです。残念ながら、ここ2年ほど同じ者達が見回りを担当している様なので、懐柔(かいじゅう)されたと思われます」


 そう言ったジェスファーノさんの表情は暗い。


ここまで読んで下さって、ありがとうございます。

貴重なお時間を使って頂き、心から感謝します。

読んで頂けることが、執筆活動の励みになります。

誤字脱字に関しては、優しく教えて頂けましたら幸いです。

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