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ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~  作者: 青依香伽
最終章 旅立ち

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7 ずっと一緒に


 大自然に囲まれた辺境の教会


 高く澄んだ鐘の音が響く中、生涯を誓い合ったばかりの新郎と新婦が教会の扉から参列者の前に姿を見せた。


 そんな二人を祝うように、祝福の言葉を浴びせる多くの者たちで、普段は静寂なこの場所も幸せな空気に包まれている。


 ルイーズは、ブラン家とクレメント家が用意した、総レースのウエディングドレスを身に纏っている。その隣では、濃紺のタキシードを着用したリオン。その胸元にあるブートニアにはレースのリボンが結ばれている。


 新郎新婦には、誰も入り込むことのできない二人だけの特別な雰囲気が漂っている。


 参列者には聞こえていないが、リオンはルイーズの傍らで、「女神だ」「きれいだ」「愛している」などと囁き続けている。


 ルイーズは、そんなリオンの言葉に苦笑いしながらも、時より優しい目でリオンを見つめている。


「必ず幸せにする」


「私も、貴方を幸せにしたい」


 そんな二人の姿をうっとりと見つめる女性陣たちと、リオンの甘さに引き気味の男性陣。その近くでは、しくしくと泣き出すルーベルトと慰めるエイミー。


 なんとも対照的な場面が広がっていた。



 ♢



 時はリオンが求婚した一年前に遡る。


 リオンは遠征先から急いで屋敷に戻ると、騎士団を解散させ、その足で花畑に向かったそうだ。

そこには愛しのルイーズが、一人ぽつんと佇んでいた。(リオンにはそう見えていた)


 リオンは、この機を逃すまいとばかりに早急に行動した。ルイーズから結婚の同意を得ると、クレメント家に戻り、父親へ話を通した。そして、一年後の結婚を認めさせたのだ。


 まずは婚約だということで、半月後にはルイーズと二人でブラン家を訪問した。そして、帰省と婚約の話に、ブラン家の人たちを大層驚かせた。


 大好きな姉に会えたリアムとミシェルの喜びようは凄まじく、二人はリオンから滞在延長の許可をもぎ取った。それからの三日間は、姉と共に楽しいひと時を過ごしたようだ。


 滞在中は、元婚約者のオスカーがルイーズの帰省を知り謝罪に訪れた。オスカーは、昔と変わらぬ穏やかな態度で迎えられると、もう一度やり直したいと縋ってきた。


 しかし、ルイーズから「反省したら、前を向いて頑張りましょう」と励まされ、横にいるリオンには睨まれながら静々と帰っていった。


 最後まで、弟のような存在だったオスカー。そんな元婚約者を憎み切れないルイーズは、苦笑いをしながらも最後の別れを呟き見送った。


 その後、王宮で婚約の手続きを済ませると、友人たちに報告をしてから辺境へと戻っていった。


 クレメント家の屋敷に着くと、二人はそれぞれの日常に戻った。


 しかし、隙あらばルイーズの傍にいようとするリオンは、辺境伯とレアから再三にわたり注意をされ、結婚式までの接近禁止令が出された。


 そんな予想外の出来事があったものの、同じ建物内にいるだけでも幸せそうな二人は、ようやく結婚式を迎えることができたようだ。



 ♢



 それから数年後



 ルイーズとリオンは、二人の子供を連れて思い出の花畑へとピクニックに来ていた。


 リオンとそっくりな8歳の息子が、ルイーズにそっくりな4歳の妹の手を引いている。


 二人は到着するなり花畑で遊び始めた。


「この土地に来てから、もうすぐ十年が経つのね。

十六歳で侍女科に移ることを決めてから、色々なことがあったわ。

あなたと再会して、自分の気持ちに気づいたのに会えなくて……」


「そうだったな」


「でも、侍女として、リリーちゃんにお仕えすることもできた。あの時は、リリーちゃんの笑顔を見ると本当に嬉しかった」


「ああ」


 リオンは昔のことを思い出しているのか、穏やかな表情でルイーズを見ている。

 その時、離れた場所から二人を呼ぶ声が聞こえてきた。


「お父様ーーお母様ーー見てください!」


「わたしのもみてー!」


 子供たちは、少し離れたところから二人に花冠を見せている。


「見てるぞ。二人とも上手にできたな」


 リオンは子供たちに笑顔で手を振りながらルイーズに声をかけた。


「二人のところに……、ルイーズ?」


「ずっと……一緒って…約束…したわ」


 リオンが隣を見ると、子供たちを見つめるルイーズの頬には涙が伝っている。泣き止まないルイーズを、リオンは優しく強く抱きしめた。


 しばらくして、リオンはルイーズの顔を覗き込むと、彼女の目蓋にそっとハンカチを押し当てた。


 ルイーズが顔を上げて「ありがとう」と伝えると、リオンは軽く目を見開いた。


「ルイーズ……目の色が」


「何か……おかしい?」


「いや……とても…きれいだ」



 涙ぐんだリオンを、微笑みながら見つめるルイーズ。


 その瞳の色は、新緑を思わせるような透き通る若葉の色だった。




                                    

 Fin





これにて完結です。

お付き合いいただき、本当にありがとうございました。


ルイーズやブラン家のその後については、番外編として投稿できればと思っております。

その時は、またお立ち寄りいただければ嬉しいです。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


心より感謝をこめて。




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