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ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~  作者: 青依香伽
第3章 侍女科

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5 合同授業(お茶会)


 ついに迎えた、淑女科3年生と侍女科2年生の合同授業当日。


 この合同授業は、侍女科の技量向上を目的として催される。侍女科の主な参加者は2年生だが、就労先が決まっていない3年生の参加も認められている。


 淑女科の生徒たちは、お茶会終了後に侍女科の生徒に対して気づいたことや助言等を用紙に書く。教員は、淑女科の生徒から渡された用紙を元に、生徒に助言をする。


 教員も近くに控えてはいるが、生徒たちのやり取りを見聞きしても、口出しはしない。生徒同士で諍うことがあれば止めるが、そうでなければ見守るようだ。


 生徒にとっては試験よりも緊張する時間になりそうだ。


 お茶会は、淑女科の生徒たちが利用するサロンで行われる。

 侍女科の生徒たちが前日からテーブルや椅子を設置して、会場を作り上げた。テーブルの上には、今朝摘んだばかりの薄紅色の花がきれいに飾られている。


 侍女科の生徒たちは、教員のマノン先生から段取りの説明を受けている。何かしらの変更があったのか、ルイーズたちも真剣な表情だ。ルイーズの隣にいるエリーは、少しばかり表情が曇っているようにも見える。


 話を聞き終えた生徒たちは、持ち場へ戻ると周囲の点検からテーブルセッティングまでを確認している。ルイーズとエリーにクレアとミアの四人は、同じグループらしく協力して作業をしているようだ。


「ねえ、今の話だと、私たちは高位貴族の方たちのテーブルに着くのよね。初めてのお茶会からそれはないわ~」


「無駄話は控えて、手を動かしなさい」


 ミアが三人に話しかけるも、クレアからは注意が入った。とその時、エリーが四人に対して謝罪を口にした。


「皆、ごめんね。私たちが着くテーブルには、多分...私の姉と従姉がいるわ」


「エリーのお姉さんと従姉? それなら、そんなに緊張する必要はないわね。身内がいれば、大目に見てくれそうよね。良かった~」


「エマさんが? エリーを心配して来てくれるのかしら?」


「何も聞いていないから分からないの」


 エリーはルイーズの言葉に答えながらも何やら浮かない顔をしている。


 その時、マノン先生から、上級生が席に着くため、控室に移動をするように声が掛けられた。準備を終えた生徒たちは、控室で待機しながら必要な時に補助の役目をこなすようだ。


 控室で待機しているルイーズ達にも、上級生の移動する音が聞こえてきた。待機している生徒の中にも、顔の強張っている者たちがちらほら見受けられる。否応なしにも緊張感が高まってきたようだ。それぐらい、このお茶会に期待している生徒も多いのだろう。


 これから、生涯にわたり仕える者との出会いがあるかもしれない。きっと期待と緊張といった複雑な感情を抱えているのかもしれない。



 ♢



 お茶会は、予定通りに開始された。学院内での催しのため、時間厳守がお約束である。


 制服を着用した淑女科の生徒たちは、全員が時間前から席についていたようだ。お茶会を楽しむというよりは、授業に対する意識が高いのだろう。


 侍女科の生徒たちは、淑女科の装いについては聞いていなかったようだ。きっと、色とりどりな光景の中で、給仕をすると思っていたのだろう。彼女たちは、何かを思案する顔つきだったが、自分たちの黒いメイド服と白いエプロン姿を確認すると、速やかに動き始めた。


 ルイーズたちの四人も、担当テーブルに着き、紅茶を給仕する。今回担当するのは、クレアのようだ。クレアが紅茶を出し終えた後、エリーにはそのまま残ってもらい、ルイーズとクレア、ミアの三人は控室に戻ったようだ。


 ルイーズとミアが、茶葉とお菓子の確認をしていると、後ろからクレアが話しかけてきた。


「ねえ、私たちのテーブルなんだけど、ティースタンドの下段を見て。サンドイッチが既にないわ。あの方、何だかすごい勢いで食べているわ」


「あんなきれいな人が……、すごいわね。えっ、これってもしかして何かの引っ掛け?」


「本当ね。すごい勢いで食べてるわ。普通にお腹が空いているのかしら? 私、軽食を補充してくるわ」


 どうやらルイーズが軽食の補助に向かうようだ。三人は急いで軽食を準備する。


 スコーンとクロテッドクリーム、そしてサンドイッチ。それらをティーワゴンに乗せて運ぶようだ。ルイーズは、急ぎ足でテーブルに向かった。


 テーブルに着くと、上級生に声を掛けて、ティースタンドのお皿にサンドイッチとスコーンを補充する。


「ありがとう。もう少し頂くよ」


 辺境伯令嬢のレアは、補充したばかりのサンドイッチを手に取りながら、ルイーズにお礼を伝えた。 


「もしかして、君がルーちゃん?」


「はい。エマさんからは、そう呼ばれています。ルイーズと申します」


「そう。ルーちゃん、ありがとう。朝から剣の稽古をしていたから、お腹が空いてしまってな。助かったよ」


「剣……、ですか? あ、申し訳ございません。喜んでいただけて良かったです。どうぞごゆっくり召し上がってください」


 ルイーズはお辞儀をすると、動揺を抑えながら目の前の給仕に専念した。


 しかし、その様子を心配そうに見守るエリー。ルイーズが補充を終え、控室に戻っていくと、エリーはレアの横にいるエマをじっと見つめた。


 エリーのもの言いたげな様子に気づくと、エマは声を出さずに「ごめん」と口を動かした。


 その後、クレアとエリーが配置を交換して給仕をすると、ルイーズとミアも交代で補充を繰り返した。


 他の侍女科の生徒たちも、大きな失敗をすることはなく、無事に終えられたようだ。

 

 こうして初めての合同授業(お茶会)は終了した。




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