2話 魔物発見
皆さんこんちは
分かりにくかったと思いますが体を動かすのは基本的に弘です。
しゃべり方は興奮したり感情が高ぶったりすると少し変わることがあります。わかりにくいと感じたらご報告お願いします。出来るだけ急速に対処させていただきます。
蒼がやっと落ち着いた。
「お前どんだけ興奮してんだよ?変にお前が体を動かしたせいでめちゃくちゃ痛てぇんだが」
「うぅぅ、本当にごめん。ここが異世界で地球にはいなかった魔物とかに会えるかもと思うとうずうずしちゃって・・・ごめん」
「本当に気を付けなよ・・・ここにも枝が絡まってる」
蒼が興奮して地面を転げまわった結果僕たちの毛に木の枝や葉っぱが絡まり、木や岩に体をぶつけた。そのせいで体のところどころが痛いし、汚れて毛にいろいろ絡まっているので違和感がすごい。
「毛が汚れて絡まるとこんなに違和感すげぇんだな。こういうときってどうすればいいんだろうな?」
「自分たちは狼だし普通なら毛繕いなんだろうけどさ・・・人間の感覚が強いから汚れた体をなめるってのはあれだよね・・・」
「森の探索ついでに川とか探すしかないんじゃないかな?」
蒼の行動の結果僕たちの予定がまた一つ増えた。
「それはそうとして一回立ち上がらない?」
「そうだね、僕が動くから二人はじっとしててね」
こうして僕たちはやっと立ち上がることに成功したのであった。ちなみに此処で目覚めてからすでに二時間近くが経っていた。
「これからは役割を分担して行動しないか?そっちのほうが楽でいいだろしな」
「自分は賛成だよ」
「俺も異議なし」
「それじゃあ二人とも基本的には僕が体を動かすから観察はお願いしてもいいかな?」
「別いいけどどうしてだ?」
「真ん中の僕よりも左右が二人のほうが見えている範囲が広いってのとさっき動いてみて思ったんだけど多分二人と違って僕のほうがまだ前方の確認が二人よりしやすいだろうからね」
「なるほどね、それなら弘に移動は任せるよ」
「頼んだぞ弘、ついでに川の匂いとかもかぎ取ってこの体を洗わせてくれ」
「えぇぇ、頑張ってはみるけど多分無理だよ?」
「それじゃあ出発するか」
「それと弘、ここに戻ってこれるように木に印とかもつけといて」
「わかった」
こうして役割分担した僕たちは森の探索を始めるのだった。
・・・
「進んでも進んでもずっと同じ景色でつまんねぇな」
「そう?細かいところをしっかり見れば花が咲いてたり他とは違う種類の木が生えてたりで面白いけど」
「僕はそもそも歩くことに集中しないとだからあんま面白くないんだけどなぁ」
森を歩き始めてから三時間がたち僕は体の動かし方にだいぶ慣れてきた。
「木はトウヒやブナが多いみたいだね。けど知らない植物もたくさんあってわくわくするなぁ」
「蒼、頼むから落ち着いてよ。ここさっきの広場より狭いんだからまたあんな動きされたらたまったもんじゃないから」
「わ、わかってるよ!」
「だといいんだけどな」
「二人ともなんか冷たくない!?」
さっきの一件で蒼に対して僕たちの警戒度は上がっているため少々冷たい態度を取っていたようだ。
三人でふざけあいながら森を進んでいるとなんだか知らない森でもあまり怖く感じず、僕は探索を楽しむことができていた。
「にしてもここ異世界だよな」
「そうだと思うんだけど」
「もしかしたら怖ーい魔物とかが出てきたりして」
「おい弘そんなこと言うなよ!」
「ごめんって」
ガサガサ
「「!?」」」
そんな話をしていたためか僕たちの右後ろの茂みから音がした。
僕らは即座に警戒をはじめ、その茂みを凝視した。
「弘がフラグ立てるから出て来たかもしれないじゃん!」
「僕のせ!?」
「お前ら今はふざけあってるな場合じゃないぞ」
そうして僕たちが騒いでいる間に茂みから出てきたのは・・・一匹のウサギだった。
「なんだウサギかよ、少しビビりすぎたみたいだな」
「そうだね」
「自分漏らすかとおもっt「まって何か来るよ!」」
ウサギだけだと油断しているとなぜだかわからないが僕は何か別の危険なものが来ることが分かり二人の知らせた。
「おい弘!なにかくるってなんだよ!」
「わかんない、けどなんでかわかるんだ」
三人で警戒しているとウサギが顔を上げた。そして逃げ始めたが・・・
「ぎぎゃぁぁぁぁ」
「きゅぴいいぃぃ」
逃げることは叶わず突如木の上から出てきた緑の肌をした者のもつナイフで刺し殺されてしまった。
あたりには赤い血が飛び散り僕たちは突然のことに驚きかたまってしまった。
「あ、あれってなんだ」
「わ、わからないよ。あんな生物初めて見るもん」
「多分だけどゴブリン?じゃないかな」
「「あ!」」
蒼に言われて僕たちはあの緑の生物の正体に気が付いた。
異世界作品で最初に会う魔物と言ったらかなりの上位にいるであろうゴブリンだ。
しかし僕は気になることがあった。
「蒼、僕たちのイメージしていたゴブリンなんかより大きいし強そうじゃない?」
そうだ、今僕たちの目の前でナイフに刺さったウサギを貪っているゴブリンはよくアニメなんかで見るゴブリンの3倍ほど大きくかなりの筋肉があるように見えるのだ。さらにしっかりとした作りのナイフや丈夫そうな皮の鎧を着ており全く弱そうには見えない。
「可能性としてはそもそもこの世界のゴブリンはみんなあんな感じで僕たちの思っている弱い魔物なんかじゃないってこと、そしてもう一つはあいつが通常のゴブリンじゃなくて・・・ウォーリアやシーフといった上位種ってこと」
蒼は読み漁った異世界小説の知識を総動員してありえる可能性を教えてくれた。どちらにせよ初めて戦う可能性のある魔物があんなに強そうなのは絶望的だ。
「どうにかできないの蒼?」
「無理に決まってるじゃん。自分たち異世界に来たばっかりで戦いなんて知らないし」
「せめて人型で武器があれば何とかなったかもなんだがな」
そうしているうちにゴブリンはウサギを食べ終わり、濁った赤い目でこちらを見つめてきた。そして
「うわ、気持ちわるっ」
「本当にそうだね」
「ああ」
ゴブリンは僕たちを見て歪んだ醜悪な笑みを浮かべた。それに僕らが嫌悪しているとゴブリンは大声で叫んだ。
「るぉぉぉぉぉぉぉ」
「なになになに、うるさいんだけど」
「多分だけど仲間を呼んでるんだと思う」
「は!それやべぇじゃねえか」
ゴブリンが叫び終わると何か嫌な気配が近づいてくるのがわかった。
「二人とも」
「大丈夫、今度はわかるよ」
「さっき弘はあいつが来るのがなんでわかったか不思議だったが集中してると何かが来るのがはっきりとわかるんだな」
どうやら気配で敵が来ているのがわかるのは僕だけではなかったようで二人も気づいたみたいだ。
すると木の上や茂みの裏からゴブリンが出てきた。ゴブリンたちはそれぞれ大剣を持っていたり杖を持っていたりと様々だったが何匹かは何も持っていない貧弱そうなやつもいた。
「どうやら自分の仮説は後者が正解だったみたいだね」
「あぁ、けどそれを喜んでる暇はねえぞ」
「だね、とりあえずやれるとこまでやってみようか」
「けど数も数だしどこまでやれるんだろう?」
蒼の言ったようにゴブリンの数は100を優に超えており、僕たちは圧倒的に不利な状態だった。
「頑張って生き残ろう二人とも」
「ああ」
「うん」
僕は二人の返事に少しの安心感を感じ目の前の敵を倒すことに集中した。
次回をお楽しみに!