1話 異世界・・・転生?
皆さまこんにちは。この話のかっこ内についている / は同時の発言の際それぞれの一人称などが違うため分かりやすくするために書いているものです。間違いではないためご安心ください。例えば「「僕/俺が来た!」」の場合は二人が「僕が来た」と「俺が来た」と同時に言っているような状況です。改善してほしいという意見が多ければ改善するため報告お願いいたします。
僕が叫ぶと同時に両隣の狼も叫んだところで違和感に気が付く。そう二匹が鳴き声でなく叫び声を上げたと感じたのだ。もしかしたらほかの鳴き声も意味が分かるかもしれない。といっても叫び声だけなので本当に理解できているかは怪しいところではあるが鳴き声ではなく叫び声として認識しているので多分そうだろう。信じられないことを目の当たりにし、なぜか冷静になりそんなことを考えていると左の犬が泣きそうな声でまた叫んだ。
「なんでこんなところに大きい狼が二匹もいるのー」
狼の言葉が理解できているとはっきりと理解できた瞬間だった。
何かすっきりしないもやもやはあるのだがそれはそうとまず一言いいたいことがある。
「「それは僕/俺のセリフだ!」」
僕と同じタイミングで右隣の狼も叫んだ。何が何だか分からなくなり深いため息をついた。するとさっきまでうるさかったはずの両隣の狼が静かになっていたことに気が付き、左右を見てみるとそこには目を見開きら口をあんぐりと開けた二匹の姿があった。
「ねえどうしたの?さっきまで叫んでいたのに急に黙りこくって」
「・・・」
「・・・」
「ねえどうs「「狼がしゃべたぁぁぁぁ」」」
「今更かよ⁉」
狼同士のくせに同族の言葉が理解できていることに今更気が付いた様子の二匹にあきれていると違和感に気が付く。
「さっきから狼が二匹いるって言っているけどあんたら二匹以外に狼はいないぞ?しかも同族なのに驚く必要があるのか?」
そう尋ねると二匹は困惑した顔でこちらを見てきた。
「お前なに言ってんだ?俺は人間だぞ」
「え?君たち二匹ともどう見ても狼だよ?それに自分は人間だし・・・」
二匹の言葉がうまく理解することができず、戸惑うことしかできなかったが一つのことが頭を横切り、二匹に尋ねる。
「あんたたち今それぞれがどんな風に見えてる?」
そう聞くと二匹は僕がどのような意図でこの質問をしたのかわからなかったようだが答えてくれた。
「「白銀の毛並みの青い目の狼だよ/な」」
僕は嫌な予感が的中したことに頭を抱えた。そしていまだ現状を呑み込めていないような二匹に説明を始めた。
「あのなあんたたち、僕たちは今理由は不明だけど狼になっているみたいだ」
「何言ってんだお前?」
「そうだよそんなことが起こりうるのは物語の中だけでしょう?」
「その物語の中でしか起こりえないことが起きてるんだよ!」
二匹はそれが信じられておらず、訝しそうにこちらを見てくる。そこで僕は馬鹿げた仮説を思いつき確認のため二人(匹?)に質問した。
「僕はトラックにはねられて死んだのが最後の記憶だ。あんたたちの最後の記憶は?」
「奇遇だな、俺もトラックにはねられた」
「嘘⁉自分もそうだけど」
どうやら僕たちは全員がトラック事故が原因で死んだようだった。この状況の原因はトラック事故での死亡であり、転生したのだと自分の中で納得した。
「ところでだけどさ・・・弘に煉?」
「「なんでお前が僕/俺の名前を⁉」」
左の狼から衝撃的な名前が出てきた。右の狼も衝撃的だったようで驚いている。
「「もしかして蒼か?」」
「やっぱり二人だったんだ。間違ってなくてよかった」
どうやら右の狼は煉で左の狼は蒼だったらしい。
「なんで僕たちだってわかったの?」
「そうだぞ!俺たちが俺たちだってなんでわかったんだ?」
「確信があった訳じゃないけど全員がトラック事故で死んだってのと話し方、あと声帯が変わってすぐには分かりにくいけど冷静に聞くと声もほとんど同じだし」
「「確かに⁉」」
よくよく聞いてみると二匹の声は人間から狼になった影響で多少は変わっているものの、大きな変化がなく、少しこもったように聞こえるくらいだった。横に大きな狼がいることで混乱していたようで全く分からなかった。
「や・・・」
「や?どうしたんだy「やったーーー!自分で転生を体験できたーーーー!!!」」
「よろこぶことか⁉」
「本当に転生ってあったんだーー!いやっふーー!」
転生ものが大好きの蒼からしたらとてもうれしいことだったようで落ち着かせるのに5分はかかった。
・・・
やっと蒼が落ち着き、これからどうするかを決めることにした。
「弘に煉、ずっと伏せたままるのもなんなんだしここら辺の探索してみない?」
「そうだな。俺たちが落ち着いて話をするにしてもここら辺が安全かどうか確認した方がいいだろうしな」
足がすくんでいたのか体の変化でうまく力が入らなかったのかわからないが僕らはずっと伏せたままだった。しかしいつまでもそうしてはいられないため立ってここら辺を探索することにする。
「ならこの広場を中心として三つのエリアに分けてしようか」
「自分たちこの世界のこと何もわかってないし別れるより固まって行動するほうが安全じゃない?」
「あー確かにそうだね。じゃあ固まっていこうか」
「よし!じゃあ行くか」
「そうだねぇぇぇ!」
「いったーー」
どのように行動するかが決まり僕らは立ち上がろうとしたが失敗した。なぜなら
「は⁉どうなってんだこれ!なんで体がくっついてんだよ!」
僕らの体はくっついていた。大きな一つの体から三つの首が生えているのだ。さっきはそれぞれがバラバラに動いたためにバランスを崩して転んだようだった。
「体がひとつで首が三つの生物って・・・ケルベロス?」
「みたいだな」
どうやら僕らはただの狼への転生ではなくケルベロスという神話上の生物に転生したようだった。このことからここが地球ではない異世界だと判明できた。そして異世界転生ものが一番好きな蒼は・・・
「ただの転生じゃなくて異世界転生だーーーー!神様ありがとうございます!夢がかないました!いいぇぇぇぇぇぇい!」
テンションが振りきれ、壊れておかしくなった。
「蒼!うるさいから少し静かにして」
「頭が近けぇからきちいんだよ!」
「だって異世界転生だよ!ケルベロスだよ!こんなにうれしいことがあるのに何で落ち着いてられるのさ!」
そういえば蒼は異世界の生物の中でもケルベロスが大好きだってことを僕たちは完全に忘れていた。
「痛い痛い痛い」
「蒼!頼むから変に体を動かすのはやめてくれ!早くここら辺を探索しないと日が暮れちゃうから!」
「いいぇぇぇぇぇぇい!」
蒼は一切落ち着く様子がなく、僕たちも体を動かすとさらに危険なため声をかけることしかできなかった。まさか蒼がここまで興奮するとは思っていなかった僕と煉は、蒼の認識を異世界好きから異世界狂いに変えたのだった。
最近読んでいる真打様の小説の「転生したら狼だったけど、仲間を信じて生き抜きます~これは従魔契約の礎になった物語~」で久しぶりに大号泣しました。皆様も読んでみてください。