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どうぶつ村のエリカと妖艶なデーモン  作者: あめ野コッキー
6.庇護する者たち
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(ピー)ね!」

                    

「ふざけんな! ここまで追い詰めたんだぞ! とっとと(ピー)ねよ! (ピー)ね! (ピー)ね! (ピー)ね!」

                

「妙な飾付けしやがって! ここは○○○(ピー)にでもなったのか?!」


「その格好はなんだ! ○○○○(ピー)かよ!」


「牛女! ○○(ピー)悪魔! ○○(ピー)女!」

               

大介(だいすけ)! お前も何ぼーっとしてやがる! 早くこの○○(ピー)女を(ピー)せ!」


エリカがボス部屋に入ると、そこにはとんでもない惨状(さんじょう)が広がっておりました。

(ゆか)に力なく(すわ)()むデーモンさんは、なんだか見覚えのあるような人たちにいじめられておりますし、部屋の中なんてもっとひどいものなのです。せっかくエリカがデーモンさんにあげた家具たちは無惨(むざん)にもボロボロになっていました。


クローゼットやベッドはバキバキに(こわ)されていますし、壁紙(かべがみ)なんてビリビリとそこら中が(やぶ)れているのです。


しかし、そんなことよりもエリカにはもっと不快(ふかい)なことがありました。


それは、ピーピーと耳に(いた)い不快な電子音(でんしおん)でした。


「ピーピーうるさいのよ!」


エリカは部屋に入っていの一番に(さけ)びました。


エリカが叫ぶと、デーモンさんをいじめている人たちがエリカの方を()(かえ)りました。見覚えのある人たち、それは(かおる)大介(だいすけ)でした。


「あなたたち!」


ふたりの正体に気づいたエリカは「なにしてるのよ!」と叫びます。


「エリカ!」


直後、デーモンさんが(いきお)いよく立ち上がり、エリカの元へ()()ってきました。


「やめろ!」


そう叫んだのは薫でした。

どうやら薫は、デーモンさんがエリカを(おそ)おうとしていると思ったようでした。(あせ)った様子でデーモンさんに向かって大きな(けん)を振り下ろします。しかし、剣はポヨンっと音を立てて、デーモンさんの背中(せなか)に当たる寸前(すんぜん)で弾かれました。薫は「クッ!」とうめき声を上げて大きく()()りました。


「エリカ……!」


エリカの元へたどり着いたデーモンさんは、エリカを力強く()きしめました。


「痛いわ……」


デーモンさんに抱きしめられたエリカは、デーモンさんの大きな(むね)とお腹と(うで)の中に()しつぶされて、(くる)しそうに身動(みじろ)ぎしました。


「あ、すまない……!」


デーモンさんは抱きしめていた腕を(はな)して、エリカから一歩後退(あとずさ)りします。


「いいのよ、でも……あなたたち!」


エリカは薫と大介に向かって(ゆび)をさしました。


「そこに座りなさい!」


エリカにそのように言われたふたりは、困惑(こんわく)した様子で顔を見合(みあ)わせると、お(たが)いに首を(かし)げました。


「座りなさい!!」


三度(みたび)エリカがそう叫ぶと、その声に(おどろ)いたふたりの(かた)はビクッと()ね上がり、(ハト)豆鉄砲(まめでっぽう)()らったような顔をして、怒った様子のエリカを見やりました。そして、やがて渋々(しぶしぶ)といったふうにその場に(こし)を下ろします。大介は体育座(たいいくず)りで、薫はあぐらをかいて座りました。


「あなたもです」


エリカは目の前で()っ立っているデーモンさんを見上げると、眉間(みけん)にしわを寄せた顔をして言いました。


「私もか?」


「当たり前です」


そう言われたデーモンさんはトボトボと歩いてゆくと、薫の(となり)にちょこんと腰を下ろしました。


エリカは腕を組んで三人を見下ろします。


「なぜわたしが怒っているのかわかる?」


3人は首を傾げて顔を見合わせます。すると、大介が「はい」とよい返事(へんじ)をして手を上げました。


「はい、あなた」


エリカは手のひらを()し出して発言(はつげん)することを(みと)めます。


「はい、ぼくらが彼女(かのじょ)のことを……その、いじめていたからでしょうか?」


大介は横目(よこめ)で一度デーモンさんを見やると、少し考える素振(そぶ)りをして言いました。


「そんなことはどうでもいいのよ」


「え?」


そう声を上げたのはデーモンさんでした。


「やられてばかりではダメよ、きちんとやり返しなさい」


「やり返したんだ……でも私は()けてしまった……」


「じゃあもっと強くなりなさい」


「はい……」


デーモンさんは力ない声でそう返事をすると、しょんぼりと肩を落としました。


「はい!」


次に手を上げたのは薫でした。


「どうぞ」


エリカは(ふたた)び手を差し出して発言を認めます。


「私たちがうるさかったからか?」


「それもよ、でも1番は(ちが)います。部屋を見なさい、これは全部(ぜんぶ)わたしがデーモンさんにプレゼントしたものです」


「?! この○○○(ピー)みたいな部屋をか!」


「うるさい!」


「はい……」


エリカに怒鳴(どな)られた薫は、ビクッと肩を跳ね上げたあと、シュンとして小さく(ちじ)こまりました。


「こんなふうにするなら返してもらいます」


そう言ってエリカはポシェットから1本のタクトを取り出しました。


エリカがタクトをひと振りすると、部屋中にあるすべての家具たちが花や巻物(まきもの)にかわりました。


続けてエリカは、タクトを(ちゅう)(えが)くように大きくふるいます。


すると、花や巻物が宙に()い上がり、次々とポシェットの中に()い込まれるようにして入っていきました。


「よし」 


エリカは満足(まんぞく)げな表情(ひょうじょう)をすると、ポシェットを手でポンポンと(たた)きました。


「エリカ! 私はお前の村に行きたい!」


突然(とつぜん)、デーモンさんがエリカに向かってそんなことを()げました。


そして、「案内(あんない)してくれないか?」と続けます。


「ええもちろん、いいわよ」


エリカがそう言うと、デーモンさんはパーッと満面(まんめん)()みを()かべました。


そして、デーモンさんは自身(じしん)の首に()かれたチョーカーについている(かぎ)の形をした(かざ)りを(はず)すと、薫たちに向かって()げました。


()(えが)くようにして飛んできたそれを、薫は(あぶ)なげなくキャッチしました。


「それをやる」


「なんだこれは?」


「この(しろ)の鍵だ。この城のすべてをお前たちにくれてやる。だからもう私に(かか)わるな」


そう言い()えたデーモンさんは少し(かな)しそうな表情を浮かべていました。しかし、一瞬(いっしゅん)だけ目を(つむ)り、もう一度()けた(ころ)には、先程(さきほど)の表情はどこへやら、清々(すがすが)しい表情でエリカに向き直ります。そして、唐突(とうとつ)にエリカを抱きかかえました。


「きゃっ! どうしたの?!」


「お前の村に行く! 案内してくれ!」


そう言ってデーモンさんはエリカを抱えて駆け出しました。


ボス部屋から飛び出して、エリカをお姫さま抱っこで抱きかかえながら、どんどんバタバタ、これでもかと自身の足を叩きつけるようにして階段(かいだん)を駆け下りてゆきます。


エントランスホールを()()ぐに()()けて正面扉(しょうめんとびら)の前に立つと、ゆっくりと()()(にぎ)りました。デーモンさんは自分がとても緊張(きんちょう)していることを感じました。胸に手を当てなくてもわかるくらい、大きな心臓(しんぞう)の音が体の中から()こえてきたのです。


「はーふー」


デーモンさんは一度大げさに深呼吸(しんこきゅう)をしました。


そうして、期待(きたい)に胸を(ふく)らませながらゆっくりと扉を開いてゆくのでした。

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