スパマクイーン
あれはなんだ。異様な光景だ。女王様か?
背筋をピンとさせている。ゆったりと、歩いておられる。美しいピンクのフリフリのお洋服を、お召しになられている。
スーパーマーケットには、似つかわしくない。貴族感を醸し出している。
無言だ。無言でメモを見ながら歩いている。後ろに彼氏を従えて。
一言も会話がない。彼氏は、少し離れた真後ろにいる。ただ、カートを引いているだけだ。
メモを見て、ゆっくり歩き、商品を取る。それをゆっくり、カゴに入れる。
流れるように、ゆったりと。しかし、服従感は否めない。
そんな光景に、ずっと見入ってしまった。気付けば、特売のたまごの棚は、ガラガラだった。
「今日は、たまご無し親子丼かな」